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世界共同体憲章試案(連載第12回)

2019-10-26 | 〆世界共同体憲章試案

〈計画の発効及び実施〉

【第33条】

1.総会は、世界経済計画を可決した後、直ちにこれを汎域圏全権代表者会議に送付しなければならない。送付を受けた全権代表者会議は、三日以内に発効のための署名をしなければならない。

2.汎域圏代表会議が署名した世界経済計画は、署名した日の翌日に発効する。

[注釈]  
 世界経済計画は、総会による可決後、世界共同体執行機関の位置にある全権代表者会議の署名を得て、初めて正式に発効する。全権代表者会議は、この段階で署名を拒否することはできないため、署名は形式的な認証手続きである。

【第34条】

1.各汎域圏常任全権代表は、当該汎域圏に包摂される全領域圏に対し、発効した世界経済計画を実施する指令を発する。

2.世界共同体構成領域圏は、世界経済計画を準則的な指針として、各々の経済計画を策定しなければならない。

[注釈]  
 正式に発効した世界経済計画は、条約そのものではないが、単なる目標でもなく、全権代表者会議を構成する五人の常任全権代表の指令に基づく規範性を持った準則的な指針として構成領域圏を拘束する。よって、各構成領域圏は、世界経済計画に沿って各自の経済計画を策定しなければならない。

【第35条】

1.世界共同体構成領域圏は経済計画の策定に際し、世界経済計画機関の専門家委員会に対し、見解を求めることができる。

2.前項の規定に基づく専門家委員会の見解の提示は、公式文書をもって行なわなければならない。

[注釈]  
 世界経済計画機関は各領域圏の経済計画の策定に直接的に関与・干渉することはないが、見解の照会に対し公式文書をもって回答することを通じて、間接的に関与する。この見解は、言わば施行中の経済計画に関する世界経済機関による公式の解釈を示すものである。

【第36条】

1.世界経済計画機関は、三か年計画の二年次が終了した後、計画の実施状況を監査し、六か月以内にその結果を持続可能性理事会に報告しなければならない。

2.世界経済計画機関は、前項の目的を達成するため、監査委員会を設置する。

3.監査委員会は、監査を実施するのに必要と認める場合、各世界共同体構成領域圏の経済計画の実施状況を調査することができる。各構成領域圏は、この調査に協力しなければならない。

[注釈]  
 本条は、三か年計画の二年次終了時点における中間監査に関する規定である。これは過去二年間の計画実施状況を監査し、次期計画の策定にこれを生かす趣旨である。

【第37条】

1.世界経済計画機関は、三か年計画が終了した後、計画の実施状況を監査し、一年以内にその結果を持続可能性理事会に報告し、かつ公開しなければならない。

2.前条第2項及び第3項の規定は、前項の監査についても、これを準用する。

[注釈]  
 本条は、三か年計画の終了後の監査に関する規定である。公開の必要のない前条の中間監査に対し、終了した前次計画の実施状況の事後監査を通じた結果の正確な情報公開に意義がある。


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