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民衆会議/世界共同体論(連載第31回)

2018-02-19 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第7章 世界共同体の組織各論①

(3)世界共同体と汎域圏
 世界共同体(世共)は領域圏を単位とする世界民衆会議を最高議決機関として成り立つが、それとは別に、領域圏よりも広い包括的な地域―汎域圏―を内包する二重構造を取る。
 この汎域圏は文化的な共通項を持つ周辺領域圏の緩やかな連合体として構成される。その区分法は唯一ではないが、一例として、筆者は次のような五つの区分を提唱している。

(Ⅰ)汎東方アジア‐オセアニア域圏:東アジア、東南アジア、オセアニア
(Ⅱ)汎西方アジア‐インド洋域圏:西アジア、中央アジア、南アジア、インド洋域
(Ⅲ)汎ヨーロッパ‐シベリア域圏:欧州、ロシア(シベリアを含む)
(Ⅳ)汎アフリカ‐南大西洋域圏:アフリカ、南大西洋域
(Ⅴ)汎アメリカ‐カリブ域圏:南北アメリカ、カリブ海域

※1 南極大陸は世共の直轄圏とする。
※2 現行の海外州/県のような「飛び地」は認めず、厳密に隣接的な地域として区画される(海外州/県は独立の領域圏となるか、近隣の領域圏と合併する)。

 一つの領域圏は一つの汎域圏にしか参加できないが、境界域にある領域圏は別の汎域圏にオブザーバー参加することができる。これら汎域圏は世共内部の地域分権機構として機能し、地域的に処理すべき事項については汎域圏のレベルで決定される。
 汎域圏は、今日の欧州連合やアフリカ連合等の地域統合体と重なる部分もあり、類似性も認められるが、各汎域圏は相互に自立競合する地域ブロックではなく、あくまでも世共内部の分権体であることに留意されなければならない。
 汎域圏は、それ自身も民衆会議を最高議決機関とする共同体である。しかし、地域ブロック化を避ける趣旨からも、汎域圏民衆会議の代議員の選出法は、構成領域圏内の広域圏(連合領域圏の場合は、連合を構成する準領域圏)の民衆会議で各一名の代議員を選出するものとする。
 その場合、領域圏内の広域圏の数は各領域圏によりまちまちであるので、公平を期するうえでも、汎域圏民衆会議に代議員を送ることのできる広域圏の数を、例えば20圏までとする。その20圏の選抜法については各領域圏の裁量に委ねられるが、これについても、二期連続での当選を排した抽選制とするのが最も公平かつ紛議を招かない方法と考えられる。
 さらに、地域ブロック化を避ける上述の趣旨からも、汎域圏民衆会議の議決では領域圏ごとにまとまって投票することは禁じられ、代議員を擁する広域圏ごと個別に投票しなければならない。


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