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民衆会議/世界共同体論(連載第32回)

2018-02-20 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第6章 世界共同体の組織各論①

(4)汎域圏代表者会議
 現行の国際連合の組織構制にあっては執政機関に相当するものが存在しないことが、世界的な問題を国連主導で処理するうえで大きな弱点となっている。
 もっとも、事務総長が指揮する事務局は存在するが、その本質は官僚制であり、事務総長も五大国が仕切る安全保障理事会の推薦により総会が任命する五大国の総代理人的性格が強く、国連事務局の執政機関としての性格は弱い。 
 反面、国連の枠外で主要国首脳会議が一種の国際執政機関として代行的に機能している面もあるが、経済大国中心の偏った構成で国連の頭越しに国際的な問題を決するのは寡頭制的であり、民主的ではない。そこで、世共にあっては、より公平性が担保された民主的な執政機関を擁することが要請されるのである。
 領域圏レベルの民衆会議はそれ自身が議決機関であると同時に執政機関でもあるが、世共の議決機関となる世界民衆会議は世界中の領域圏で構成される関係上、このような一元的構成を採り難い。そこで、世共の執政機関は民衆会議とは別途立てる必要がある。
 その方策にもいろいろなものが想定できるが、前回述べた五つの汎域圏の代表者で構成する汎域圏代表者会議をもって世共の執政機関とするのがさしあたり最も簡明妥当と考えられる。 
 汎域圏代表者の地位や選出法もまた様々に考えられるが、領域圏レベルのように民衆会議議長をもって単純に代表者とするのは世界の問題を扱う役割の重要性に鑑み適切と思われないので、汎域圏民衆会議が選出する常任全権代表をもって汎域圏代表とする。よって、汎域圏代表者会議はこの汎域圏常任全権代表五人で構成されることになる。
 汎域圏代表者会議は、世界民衆会議に条約案を提出したり、成立した世界条約の履行を確保する任務を負うほか、大災害や感染症パンデミック、民際紛争などの緊急的な問題について討議し、対処方針を決定する権限も持つ。
 なお、世共には事務局も設置されるが、事務局は汎域圏代表者会議の下にあって、その任務を補佐し、他の主要機関、専門機関との調整を担う(詳細は次章で述べる)。


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