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共産教育論(連載第27回)

2018-12-24 | 〆共産教育論

Ⅴ 職業導入教育

(1)基礎教育課程と職業導入教育
 共産教育における基礎教育課程の特色は、職業導入教育が組み込まれていることである。その点、伝統的な学校制度における義務教育課程では職業導入をほとんど顧慮せず、一般教養的なリベラルアーツ教育をミニチュア化した教科学習に特化しがちなこととは異なる。
 伝統的学校教育では多くの場合、義務教育課程修了後の継続教育課程で大学進学適格者と就職適格者とを振り分け、後者については何らかの職業校を提供するといったふるい分けが行なわれるが、このような早期分断政策は学歴を基準とした知識階級制の元凶となる。
 知識階級制と無縁な共産教育はそもそも大学制度を有さず、標準13年間の基礎教育課程を修了すれば、ひとまず全員が何らかの職業に就くことを前提に組み立てられるため、職業導入教育は基礎教育課程における基本七科と並ぶ主軸的プログラムとなるのである。
 職業導入教育の目的は生徒一人一人の適性と関心に応じて、適職へと導くことにあるが、就職活動のコツを伝授するハウツー講座ではなく、労働に関する深い理解のもとに、自ら人生設計することを手助けするものである。
 そのために、基本七科の各科目と同様に、職業導入教育にも、専門の免許によって認定された専任の教員が充てられる。職業導入教員は、生徒一人一人と向き合い、カウンセリングを通じて生徒を適職へと導く橋渡しの役割を負うので、心理学や社会学の素養も必要とする。
 職業導入教育は、生徒に職業への関心が芽生え始める基礎教育課程中期(ステップ6以降)から開始し、最終段階では、職業紹介所と連携した就職支援が用意される。そのプロセスもいくつかの段階に分かれるが、これについては改めて見ていくことにする。


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