ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第30回)

2024-05-27 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

四 汎アフリカ‐南大西洋域圏

(11)スーダン

(ア)成立経緯
南スーダンが分離した後の主権国家スーダンを継承する連合領域圏。油田の存在をめぐり、南スーダンとの境界紛争が続いていたアビエイ地方は、世界共同体による石油管理体制の導入により南スーダンに包摂することで決着する。凄惨な内戦が続いたダルフール地方北部は世界共同体直轄自治圏に移行する。

(イ)社会経済状況
主権国家時代は内戦や民族紛争が打ち続き、遅れていた社会経済発展も、社会の安定化と持続可能的計画経済の導入により進む。領域の大半を砂漠が占める中、主軸となる農業はナイル河周辺に限定されていたが、持続可能的計画経済の下、耕作地の拡大や工場栽培の試行もなされる。エジプトとともにナイル流域評議会の主要メンバーとして、ナイル河の持続可能的な水利管理に取り組む。

(ウ)政治制度
ダルフール地方の北部を除き、主権国家時代の州を準領域圏とする連合民衆会議による統治となる。主権国家時代にはしばしばクーデターで政治介入し、長い軍事政権の歴史を形成した軍は、常備軍廃止を定める世界共同体憲章に基づき解体され、民衆会議制度による民主主義が定着する。

(エ)特記
アラブ系武装組織による非アラブ系民族浄化が起きていたダルフール地方でも特に非人道的な事態の中核となっていた同地方北部地域を分離して世界共同体直轄自治圏とし、世界共同体平和維持巡視隊が常駐する。

☆別の可能性
ダルフール問題が平和的に解決された場合、世共直轄自治圏は設定されず、ダルフール地方全体がスーダンに残留する可能性がある。

 

(12)環赤道‐中央アフリカ合同

(ア)成立経緯
アフリカ大陸の赤道周辺と内陸中部に位置する5つの領域圏と南大西洋上の離島領域圏サントメ・プリンシペが合同して成立する合同領域圏。ただし、カメルーンから南カメルーンが分立する。

(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の6圏である。いずれも統合領域圏である。

○中央アフリカ
主権国家中央アフリカを継承する領域圏。

○ガボン
旧主権国家ガボンを継承する領域圏。

○サントメ・プリンシペ
旧主権国家サントメ・プリンシペを継承する領域圏。

○赤道ギニア
旧主権国家赤道ギニアを継承する領域圏。

○カメルーン
主権国家カメルーンの仏語圏を継承する領域圏。

○南カメルーン
分離独立を求めていたカメルーンの英語圏地方が分立し成立する領域圏。

(ウ)社会経済状況
内戦による破綻を経験した中央アフリカを除けば、おおむね安定した主権国家時代の社会経済を基盤に、農業を軸とする合同共通の持続可能的計画経済が展開される。ガボンや赤道ギニア、カメルーンの経済基盤であった石油は世界共同体の管理下に移行する。

(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。多言語のため、合同公用語はエスペラント語。

(オ)特記
旧版では、サハラ砂漠周縁のサヘル地方の四領域圏を包摂した合同領域圏を想定していたが、サヘル地方は固有の特色と課題を持つため、サヘル合同領域圏(後述)として分立させた。

☆別の可能性
南カメルーンが分立せず、カメルーン内の準領域圏としてとどまり、カメルーンが複合領域圏となる可能性もある。


コメント    この記事についてブログを書く
« 弁証法の再生(連載第12回) | トップ | 世界共同体通覧―未来世界地図... »

コメントを投稿