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共産法の体系(連載第21回)

2020-04-10 | 〆共産法の体系[新訂版]

第4章 経済法の体系

(4)企業組織法
 共産主義的経済法の三番目の柱は、共産主義的企業組織のあり方について定める企業組織法である。企業組織法は、資本主義的法制で言えばほぼ会社法に対応するものであるが、共産主義社会にはもとより株式会社に代表されるような営利会社は存在しない。
 従って、共産主義的企業組織の法的な性質は社団法人であるが、営利法人ではなく、非営利的な生産法人である。生産法人には法人格が付与され、法の認める範囲内で一定の権利も保障される。
 共産主義的企業組織法の大きな特徴としては、労働者組織法を内包していることが挙げられる。すなわち、共産主義的企業組織では労働者自主管理または労使共同決定がその運営の基本理念とされるので、それに対応した内部的な労働者機関が常置されるのである。
 共産主義的企業組織として具体的にいかなるものがあるかについては、すでに『持続可能的計画経済論』(特に第4章)にて論及してあるので、ここでは法的な観点からの総まとめにとどめる。
 共産主義的企業組織を法的に分類すると、大きく社会的所有企業と自主管理企業とに分けられ、前者には生産事業機構、後者には生産協同組合が該当する。運営方法から言えば、規模の大きな生産事業機構が共同決定企業に相当する。計画経済が適用されるのは前者の社会的所有企業‐生産事業機構に限局される。
 後者の自主管理企業‐生産協同組合は計画外の自由な生産活動に従事し、ここでは物々交換も行なわれるため、その限りで営利企業に近い性格を持つが、株式会社のように利益を会社所有者としての株主に配分するという法的な意味での営利性は持たないことは、上述のとおりである。
 この両者の中間的な形態として、生産企業法人がある。これは計画外生産に従事する点では生産協同組合に近いが、大規模なため自主管理が技術的に困難であることから、生産事業機構に準じた共同決定型の内部機構を持つ大企業である。
 また生産協同組合よりも小規模な零細事業組織として協同労働集団(グループ)があるが、これは法人でなく、労働者の集団である。ただし公的に登録されている限り、事業展開に当たっては便宜上法人格に準じた一個の法的集団としての資格が与えられる。


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