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共産教育論(連載第16回)

2018-11-19 | 〆共産教育論

Ⅲ 基礎教育課程

(5)基礎教育課程の科目編成
 通信教育を原則とする基礎教育課程に学年はなく、標準で1年を単位とする13か年一貫のステップがあるのみである。また自習を基本とするため、全員一律に適用されるカリキュラムも存在しない。ただし、基本となる七つの科目―基本七科―が存在する。
 基本七科の各内容については後に詳論するが、ここで項目のみ列挙すると、①言語表現②数的思考③科学基礎④歴史社会⑤生活技能⑥健康体育⑦社会道徳の七科目である。これら基本七科は、標準13か年にわたる基礎教育課程の中で、生徒の発達度に応じて段階的に割り振られていく。
 例えば、基礎教育課程の初等段階(おおむねステップ1乃至2)では、すべての知の基礎となる①言語表現と②数的思考が中心となる。③科学基礎は抽象的な思考力が発達し始める中等段階(おおむねステップ3以降)からスタートする。④歴史社会は社会的な関心が芽生える中等段階後期(おおむねステップ6以降)からスタートする。
 もちろん言語表現や数的思考は全課程を通じて、徐々にレベルアップさせながら通年的に提供されるし、⑤生活技能や⑥健康体育などの通学制で提供される実技科目や、通信制と通学制が組み合わされる⑦社会道徳についても同様である。
 なお、障碍者統合教育が実施される基礎教育課程では、障碍者にも基本七科が提供されるが、障碍の内容や発達度に応じて、適切に修正された内容となり、場合によっては、科学基礎や歴史社会のようなアカデミックな性格の強い基本科目が免除されることもある。
 他方、生活技能では、非障碍生徒も共通内容として障碍者の生活について学ぶが、実際の障碍者の生活設計にとって必要な補助具の使用法などについては、障碍者コースに特化した形で提供される。
 基礎教育課程には、以上のような教科科目のほかに、職業導入科目が組み込まれる。これは、教科科目とは全く別立てで、おおむね中等段階からはじめは職場見学の形でスタートし、高等段階に入ると、提携する指定職場でインターンとして実際に職業体験をする。
 職業導入科目は教科科目のような細分化された科目制を採らないが、工業、情報、事務、公務、農林、水産、研究といった代表的な職域ごとに、職業理解に関する通信教育と上述のような実地教育の組み合わせによって提供されることになる。


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