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共産法の体系(連載第42回)

2020-05-30 | 〆共産法の体系[新訂版]

第7章 争訟法の体系

(8)法令司法
 法令司法は、司法各部で法令を適用するに際して生ずる法解釈上の争点を解決する法律審を行なう司法である。民衆会議制度の下では、法令の解釈は法令を制定した民衆会議自身が有権的に示すことにより、民主主義が徹底される。
 法令司法の中でも、最高法規たる民衆会議憲章(以下、単に憲章という)の解釈に関わる違憲審査と、憲章以外の一般法令の解釈に関わる法令審査は区別される。違憲審査は、各圏域民衆会議に設置される憲章委員会が担い、法令審査は各圏域民衆会議に設置される法理委員会が担う。
 両委員会は、民衆会議の常任委員会であると同時に、法令司法権も行使するという二重の役割を持つ。従って、憲章委員会の委員は憲章そのものの改正発議に関わる一般代議員のほかに、法律家から任命され、専ら違憲審査を担う特別代議員(判事委員)を擁し、法理委員会は全員が法律家たる特別代議員(判事委員)で占められる(特別代議員の地位については拙稿参照)。
 前回まで見た各司法分野における司法機関はそれぞれ担当する案件を処理するに当たり、憲章をはじめとする法令の解釈を迫られる場合もあり得るが、そうした場合、第一次的には自ら法解釈を示す権限を持つ。その法解釈に基づく審決に不服のある当事者は、上記の各委員会へ法令不服審査を請求することができる。
 請求を受けた委員会では、第一次的な法解釈の妥当性を審査し、これを是認するか否かを決する。是認しない場合は、委員会としての解釈を審決したうえで事件を差し戻す。差し戻しを受けた司法機関は、改めて委員会の示した解釈を前提として処理をし直さなければならない。
 ところで、憲章は世界共同体憲章を究極的な統一法源とするため、領域圏憲章(例えば日本領域圏憲章)に関して示された民衆会議憲章委員会の解釈が世界共同体憲章に違反している疑いがある場合、不服の当事者は世界共同体憲章理事会に海を越えた民際上告をすることができる。
 同理事会は、世界共同体憲章の解釈に関する最終的かつ唯一の司法機関である。その審決は、世界共同体を構成する各領域圏すべてを等しく拘束する世界共通の先例として領域圏の法令司法機関もこれを前提とした審理を義務づけられることになる。


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