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世界共同体憲章試案(連載第32回)

2020-05-31 | 〆世界共同体憲章試案

第19章 憲章理事会

【第110条】

1.憲章理事会は、総会で抽選された15の世界共同体構成領域圏で構成する。

2.理事会の理事領域圏は、五年の任期で抽選される。退任する理事領域圏は、引き続いて抽選される資格はない。

3.理事会は、各理事領域圏の民衆会議が任命した法律家の資格を有する特別代表によって構成される。

4.特別代表の中から、抽選により、議長及び議長代理を各一年の任期で選任する。

[注釈]
 憲章理事会は、世界共同体憲章の終局的な有権解釈を中心的な任務とする司法機関としての性格を有する特別な理事会である。よって、その構成も他の各理事会とは大きく異なり、各理事領域圏が任命した法律家資格を有する特別代表で構成される。その結果、憲章理事会特別代表は、判事としての任務を遂行することになる。

【第111条】

1.理事会は、世界共同体構成主体における終局的な司法機関の下した司法的決定が世界共同体憲章に違反している場合、紛争当事者の審査請求に基づき、憲章の正当な解釈を通じて、当該司法的決定を是正する権限を有する。

2.理事会は、世界共同体構成主体における終局的な司法機関が世界共同体法の解釈を誤っている場合、紛争当事者の審査請求に基づき、法の正当な解釈を通じて、当該司法的決定を是正する権限を有する。

[注釈]
 本条に示されるように、憲章理事会の任務は、世界共同体憲章及び世界共同体法(条約)の最終的な有権解釈を示すことにある。
 いずれにせよ、憲章理事会が判断を下せるのは、世界共同体構成領域圏をはじめとする各構成主体の終局的な司法機関の司法的決定に瑕疵が認められる場合だけである。逆言すれば、紛争当事者が世界共同体構成主体内の司法機関による終局的な審査を経ずして、跳躍的に理事会に提訴するようなことはできない。

【第112条】

1.理事会特別代表は、自身が属する世界共同体構成主体の市民が当事者である案件の審議及び評決に参加することはできない。

2.理事会の評決は、15人の特別代表の多数決でこれを行う。ただし、多数意見に反対する特別代表は、個別に少数意見を示すことができる。

3.第1項が適用されたことにより、評決が可否同数となったときは、議長が、議長が参加しない場合は議長代理が裁定する。

[注釈]
 憲章理事会は司法機関としての性格を持つ関係上、中立性の観点から、特別代表は自身が属する構成主体が関わる案件の審議・評決からは外れる。

【第113条】

理事会の決定は終局性を有し、評決に反する世界共同体構成主体の司法的決定は効力を失う。

[注釈]
 憲章理事会の決定は、それ自体が司法的な決定の性格を持つ。なおかつ、終局性があるため、これを覆すことはできず、理事会決定に反する世界共同体構成主体の司法的決定は無効とされる。


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