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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第29回)

2024-05-19 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

四 汎アフリカ‐南大西洋域圏

(8)ソマリ合同

(ア)成立経緯
1990年代より内戦により分裂状態にあった旧主権国家ソマリアから分岐したソマリア、プントランド、ソマリランドの三つの分国がそれぞれ単独の領域圏として成立したうえ、合同して形成される合同領域圏

(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の3圏である。いずれも統合領域圏である。

○ソマリア
合同全体の南部に位置する領域圏。

プントランド
ソマリアから事実上自立化していた北部プントランドを継承する領域圏。

○ソマリランド
合同全体の最北部に位置するソマリランドを継承する領域圏。合同全体の北部に位置する。

(ウ)社会経済状況
長期内戦で壊滅状態にあった経済が回復される。合同共通経済計画に基づく持続可能的農業畜産業が主軸となる。遠距離通信システムの発達基盤を継承し、アフリカにおける通信産業の中心ともなる。紅海での海賊活動も根絶される。

(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、各領域圏の政治代表都市で交互に開催される。世界共同体と共同で、武装組織の武装解除・社会復帰の支援プログラムが運用される。

(オ)特記
旧版ではプントランドはソマリアと統一される形で2圏の合同としたが、プントランドの自立化状況に鑑み、別立てとした。

☆別の可能性
プントランドがソマリアと連合領域圏を形成する可能性もある。また、可能性としては極めて低いが、ソマリア全体が連合領域圏として再統一される可能性もなしとしない。

 

(9)エチオピア

(ア)成立経緯
主権国家エチオピアを継承して成立する連合領域圏

(イ)社会経済状況
豊富な水資源を利用しつつ、環境的持続可能性に配慮した計画的農業が成功し、アフリカにおけるモデル例となる。また水素自動車生産事業も軌道に乗り、汎アフリカ‐南大西洋領域圏全体での自動車生産の軸となる。

(ウ)政治制度
主権国家時代の州と自治区を基準とする準領域圏から成る連合領域圏で、連合民衆会議は共通に50人、さらに人口100万人ごとに10人を追加選出する独特の方式で抽選された代議員で構成される。

(エ)特記
1993年までは統一国家だった隣接のエリトリアとは個別に共通経済計画協定を締結し、合同経済計画会議が策定する共通経済計画の下に経済運営を行なう。

☆別の可能性
望ましくない可能性として、北部のティグライ州をはじめ、いくつかの州が分離独立し、連邦が内戦を経て事実上解体される可能性もある。その場合、ソマリと同様、改めて合同領域圏として再生することも想定できる。

(10)エリトリア

(ア)成立経緯
主権国家エリトリアを継承する統合領域圏

(イ)社会経済状況
小さな領域圏のため、自力経済に限界があり、上述のように、エチオピアとの共通経済計画が経済運営の柱となることから、経済的にはエチオピアと一体的となる。

(ウ)政治制度
主権国家時代の独裁政党は解体される。国外避難民を出す要因でもあった賦役的な国民皆兵制度も世界共同体憲章に基づく常備軍廃止に伴い、廃止される。

(エ)特記
南で隣接するジブチとの間で長年境界紛争を抱えていたが、ジブチが世界共同体直轄圏となることに伴い、係争地域をエリトリアとの共同管轄地域とすることで解決を見る。

☆別の可能性
可能性は低いが、エチオピアと再統一される可能性もなくはない。


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