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共産法の体系(連載第17回)

2020-03-21 | 〆共産法の体系[新訂版]

第3章 環境法の体系

(5)環境法の執行
 環境法の執行という場合、まず世界共同体(世共)レベルのものと世共構成領域圏レベルのものとが区別される。
 世共レベルの法執行体制とは、すなわち世共機関である世界環境計画による領域圏レベルにおける環境法執行状況の監督がそれである。
 世界環境計画は、世共主要機関である持続可能性理事会の下に下部機関として置かれる世界レベルの環境政策の立案・執行機関であって、定期的に各領域圏における環境法執行状況を審査し、必要に応じて勧告やより効力の強い警告を発する権限を有する。
 当該領域圏が警告に応じない場合、環境査察団を派遣し、強制的な調査を行なう。査察の結果、問題点があれば、世界環境計画は、改めて強制力を伴う是正命令を発し、従わない場合は、世共総会に対し当該領域圏の世共構成資格の停止を勧告することができるものとする。
 以上に対し、領域圏レベルの執行は、政府機構を持たない共産主義社会にあっては民衆代表機関である民衆会議が直接にこれを担うことは、環境法にあっても同様である。
 その場合、環境法執行機関の中枢を担うのは、民衆会議の常任委員会の一つでもある持続可能性委員会である。同委員会は環境政策の立案・立法の中心であると同時に、領域圏から地方自治体の民衆会議それぞれに各個設置され、環境影響評価から環境法の執行までを一貫して担当する環境法の統括機関となる。
 特に領域圏民衆会議の持続可能性委員会の下には、法執行の現場を担う機関として各地方に環境事務所が設置される。同事務所は持続可能性委員会による環境影響評価の実務機関であると同時に、環境法違反事犯を摘発する環境法執行機関でもある。
 同様に、地方自治体または連合領域圏の準領域圏の持続可能性委員会の下にも、独自の環境法執行機関を設置することができる。 


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