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共産法の体系(連載第16回)

2020-03-20 | 〆共産法の体系[新訂版]

第3章 環境法の体系

(4)統一環境法典
 共産主義的環境法の世界共通法源である世界地球環境法(条約)は、世界共同体を構成する各領域圏に対し、固有の環境法の制定を義務付ける。この領域圏環境法は各領域圏ごとの環境条件に適合した具体的な環境保全の根拠法として機能する。
 領域圏環境法は個別法令の単なる集成ではなく、初めから一本の法律として制定される統一法典である。例えば日本の現行環境法は多数の個別法令の寄せ集めであるが、これら個別法令間の重複・齟齬を修正して全法令を一本の法律に包括するようなイメージである。
 こうした統一環境法典は領域圏全体の共通法であるから、連邦型の連合領域圏にあっても、連合全体に適用される連合法として制定される。
 その内容は、世界地球環境法における三つの基本原則、すなわち①生物多様性の保全②天然資源の保全③気候変動の防止を反映して、各領域圏ごとの環境条件を加味した具体的な環境保全の体系を規定するものとなる。
 こうした統一的な領域圏環境法典は単なる理念法ではなく、領域圏法体系の中で最も憲章に次いで優先度の高い法である。従って、それは次章以下で見る経済法典や市民法典、犯則法典等々に対しても指導原則を提供する。
 この全土共通法としての領域圏環境法典の枠内で、地方自治体や連合領域圏を構成する準領域圏は独自の地域的な環境法を制定することができるほか、領域圏環境法典ではいまだ規定されていない独自の環境規制を先駆的に制定することもできる(先行規制法)。
 環境保全の現場に位置する地方における先行規制法は、その内容が広く認知されれば、領域圏環境法典の内容に取り込まれ、全土的法定事項となり得る可能性を持っていることから、領域圏環境法典においても、こうした先行規制法の制定が明示的に奨励される。


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