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持続可能的計画経済論(連載第32回)

2018-07-31 | 〆持続可能的計画経済論

第7章 計画経済と消費生活

(4)計画流通と自由流通
 マルクスは「流通そのものは、ある一定の交換の契機にすぎないか、あるいはまたその総体として考察された交換である」とし、流通の重要性を相対的に低く評価していた。だからというわけではないが、マルクス主義を公称した諸国での計画経済は流通に弱点があり、特に流通システムの欠陥や腐敗により生活物資の入手に困難が生じる傾向が見られた。
 しかし本来、流通は交換一般に回収できない独自の意義を持つプロセスとして、そのシステム構成が具体的に考案されなければならず、計画経済を成功させるためには、流通の問題は避けて通れない課題である。
 持続可能的計画経済で消費計画の主体となる消費事業組合は消費計画を策定するのみならず、物品供給所を直営する。物品供給所には、規模に応じてコンビニ的な軽便供給所、スーパー的な包括供給所の区別がある。
 軽便供給所は商業的なコンビニエンスストアのように過密状態とならないよう配慮されつつ、高密度に計画配置され、まさにコンビニ的な末端供給機能を果たす。それに対し、包括供給所はより低い密度で同様に計画配置される。これらの供給所には、高齢者や障碍者など供給所に出向くのが困難な条件を持つ消費者のための宅配サービスも用意されるだろう。
 一方、消費事業組合は生産企業から搬入された生産品を各供給所に確実に配送するための独自の輸送部門を配備する必要がある。計画経済は分業体制を否定するものではないが、分業をある程度相対化するため、輸送のようなサービスは内部化されることになるのである。
 こうした日常的な物品供給所とは別に、消費事業組合は災害等の非常時に対応する備蓄倉庫も管理し、災害時には災害救難機関とも連携して、非常用物品の円滑な供給に当たる。
 以上の消費計画に基づく計画流通は実は流通の一部にすぎず、日常的な生活物資以外の驕奢品の生産・流通は自由である。このように、持続可能的計画経済における流通は、基本的生活物資の計画流通とそれ以外の自由流通の混合体制で成り立つことになる。
 ただし、自由流通といっても、貨幣経済は廃止されているから、貨幣交換による流通はないが、無償または物々交換による流通システムが発達するだろう。従って、こうした分野では、個人商店型の私設供給所ないし交換所が電子上を含め、広く認められる。


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