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持続可能的計画経済論(連載第30回)

2018-07-24 | 〆持続可能的計画経済論

第7章 計画経済と消費生活

(2)消費計画
 ソ連式計画経済では、生産計画はあっても消費計画はなかった。これはソ連式計画経済においては生産活動、それも重工業や軍需産業のような重厚長大産業分野に傾斜していたからである。その結果、消費財の生産・流通には不備欠陥が目立ち、消費生活の貧弱さの原因を成していた。
 しかし新たな持続可能的計画経済は、消費に留意する。消費は生産の単なる結果ではなく、マルクスも指摘したように、「それ自身生産的活動の一契機である」。計画経済は生産のみならず、消費にも及ぶ。
 この消費計画は、全土的―究極的には全世界的―なレベルでなされる生産計画とは別に、地方的なレベルで策定される。消費様式には地方的な特色があり、そうした特色を踏まえた計画的な地産地消が環境的にも持続的だからである。
 消費計画の主体となるのは、各地方圏(例えば関西地方圏とか東北地方圏)ごとに設立される共同消費組織としての消費事業組合である。その組織の実際については次回に回すとして、消費計画の内容についてここで概観しておく。
 この消費計画では基本的な衣食住にとって必要とさる標準的日用必需品に関して、地方ごとの特色を考慮しながら、3か年計画の形で需要見通しを定める。その際、製品の環境持続性や人体の安全性への配慮も規準として盛り込まれる。
 こうした消費計画は地方の民衆代表機関である地方圏民衆会議の承認を経て発効し、向こう3か年の消費財生産及び消費の指針となる。これに従い、消費事業組合と業務提携する生産企業に発注され、製品の供給が行われる。
 商業的な大量生産が行われる資本主義市場経済では全般に過剰生産傾向に向かう結果として、平常時に物不足が生じることはほとんどない反面、大量の売れ残り・廃棄物が発生するが、共産主義計画経済では厳正な需要見通しに立った消費計画に基づく適量生産が行われる。
 ただし、持続可能的消費計画にあっては、災害時の非常用物品の備蓄も常備するため、実際の需要見通しは突発的な大災害の発生をも想定して政策的に過剰に見積もられることから、相対的な過剰生産体制―余剰生産体制―を取ることになる。


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