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世界共同体憲章試案(連載第14回)

2019-11-09 | 〆世界共同体憲章試案

〈世界天然資源機関〉

【第49条】

1.世界天然資源機関は、地球上における鉱物資源の保存、開発及び利用を統一的かつ包括的に行なう専門機関である。

2.世界天然資源機関は、執行理事会及び事務局によって運営される。

3.事務局長は、世界経済計画機関の上級評議員を常に兼任する。

[注釈]  
 世界共同体による共同管理下に置かれる天然資源のうち、石油や石炭のような燃料ともなる鉱物資源の管理を行なう実務機関が、世界天然資源機関である。生産活動の燃料や材料を担う鉱物資源の管理は世界経済計画においても土台となることから、世界天然資源機関事務局長は世界経済計画会議の意思決定機関である上級評議会のメンバーを常任で兼任する。

【第50条】

1.世界天然資源機関は、石油資源の生態学的に持続可能な管理を担うため、下部機関として、石油資源委員会を設置する。

2.石油資源委員会は、石油エネルギーへの依存率を低めるため、油田開発の調整を行なうことを主要任務とする。

[注釈]  
 生態学的な持続可能性を維持するうえで、石油エネルギー依存を脱却することは世界共同体の存在理由の一つであるゆえに、世界全体での統一的な油田管理に特化する下部機関として、石油資源委員会が設置される。この委員会は、単に油田開発を行なうのではなく、むしろ油田開発を抑制するために、全世界規模で油田開発の調整を行なうことを主任務とする。

〈世界水資源調整機関〉

【第51条】

世界水資源調整機関は、世界における水資源の持続可能性を確保するため、流域領域圏の共同管理機関の活動をあらゆる可能な方法で支援する。

[注釈]  
 水資源も一個の天然資源ではあるが、埋蔵資源とは性質が異なるため、世界天然資源機関の管轄からは外し、独立した専門機関が設置される。この機関は、現地で水資源の流域領域圏で構成する共同管理機関の活動を支援することを目的とする調整機関である。支援の方法としては、技術支援のほか、対立の調停といった物理的及び非物理的方法の一切である。

〈世界生物多様性機関〉

【第52条】

1.世界生物多様性機関は、世界における遺伝資源の多様性を確保するための行動計画を実施する専門機関である。

2.世界生物多様性機関は、前項の行動計画を実施するため、各領域圏または汎域圏の専門機関と連携する。

[注釈]  
 野生動植物の保護に象徴される生物多様性の確保は、野生動植物が生息する領域圏または当該領域圏を包摂する汎域圏がその最前線となるが、世界生物多様性機関はそうした地域的な活動を束ねる統括機関の位置づけとなる。

〈連携関係〉

【第53条】

世界天然資源機関及び世界水資源調整機関並びに世界生物多様性機関は、その活動に当たって、相互に連携しなければならず、そのために合同協議会を常設する。

[注釈]  
 これら三機関の活動は、広義の天然資源の生態学的に持続可能な管理として相互に密接に関連し合っているため、合同協議会を常設して、常に連携して活動する。


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