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共産法の体系(連載第26回)

2020-04-19 | 〆共産法の体系[新訂版]

第5章 市民法の体系

(3)市民権法②
 共産主義的市民権法の三番目の要素は親族権である。これは住民権・公民権に対して私的な身分にまつわる権利であり、資本主義的法体系では、民法に属する親族法がカバーする領分であるが、その内実は相当に異なる。
 すなわち親族法が婚姻家族関係を中心に組み立てられているのに対して、共産主義的親族法は婚姻制度に代わる公証パートナーシップを中心に組み立てられる。
 近代的な婚姻制度が伝統的な家ではなく、個人間の結合という本質を次第に強めながらも、家と家の結合という前近代的慣習をなお引きずっているのに対し、公証パートナーシップは個人と個人の純粋に対等な結合を本質とする。
 従って、公証パートナーシップは異性同士か同性同士かの性別組み合わせを問わず、かつ両パートナーは異姓を原則とする(任意に同姓を選択することも可)。また、このような公証パートナーの親族間にいわゆる姻族としての親族関係が発生することもない。
 公証パートナーシップはパートナー関係の成立を法的証明力のある合意書で証明されて初めて有効に成立する。自治体への届出は義務的ではないが、届け出ない場合は行政サービス上単身者としての扱いを受けるので、届出が推奨されるであろう。
 離婚に相当する公証パートナー関係の解消も合意書をもってし、自治体に届け出ている場合は、解消の届出も要する。解消の事由に制限はなく、両当事者の合意だけで可能である。
 公証パートナー間の子(養子を含む)は、原則どおりにパートナーが異姓を名乗る場合は両パートナーの姓を名乗る復姓となる。例えば、鈴木氏と山田氏の間の子・某であれば、「鈴木山田某」となる(復姓の順序は五十音順なりアルファベット順なり、各公用語の文字配列順とする)。
 公証パートナーシップにおける親権は両パートナーが共同で保持するが、「子どもたちは社会が育てる」共産主義的教育理念のもとでは(拙稿参照)、親権は社会の付託を受けて子を養育する義務的性格が強いものとなる。
 従って、養育能力の欠如や不適切な養育を理由とした親権の停止・剥奪の余地は広い。反面、子の家庭的保護の制度として、認定里親や保護養子の制度は拡充され、広く活用される。

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