MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.110 「封印殺人映画」 (2006年 米 88分 スタンダード)

2007-11-21 01:16:38 | 2007年劇場鑑賞
監督 ジェフ・マックィーン
出演 ジョン・カーペンター
    ウェス・クレイヴン
    ロブ・ゾンビ



久々に興味ぶかいドキュメント映画の登場です。
今年はいろいろドキュメント映画が公開されましたが、この作品はホラー映画についてのドキュメンタリーでホラー映画の中の色んなジャンルの中でも社会的な影響が大きいと言われるスラッシャー映画についてのドキュメンタリー映画と言う事で行って参りました。

レイトショーのみの上映て事で1300円の前売券を事前に買って 韓流映画を中心に上映してるオシャレなミニシアターであるシネマート心斎橋へ!
窓口で前売券を出すと受付嬢が「本日はメンズディで1000円ですがよろしいですか?」ときた・・・あらら、そんなサービスあったんかいな?!なんか損した気分やな~ま せっかく来たんで予定通に鑑賞です。
さすがマニアぽっい連中が来てますね~観客は二十人程ですが男ばっかしです。作品の内容が内容だけに映画鑑賞と言うよりホラー映画のシンポジウム見たい(笑)

(あらすじ)

1970年代末から1980年代末のハリウッドで、熱狂的なブームとなったスラッシャームービーの数々。
1978年封切り作『ハロウィン』の監督ジョン・カーペンター、1980年『13日の金曜日』のショーン・S・カニンガム、そして2003年『マーダー・ライド・ショー』のロブ・ゾンビまで、生の証言を聞くために、重要人物たちへの接近を試みた。

なかなか見応えのあるホラー(スラッシャー)映画の歴史と舞台裏でした。
あんまり固苦しいインタビュー集とは違い、70年代~80年代のホラー映画の名場面(殺人シーン)がバンバン出てきて、それらの作品の製作に携わった関係者が当時を振り返る構成。
単なるの裏話だけでなく、グランギニョール劇場の残酷&殺人ショーあたりから紹介するあたりはスラッシャー映画史を初心者にも判りやすく解説する入門編としても見れます。

また「ハロウィン」や「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」のようなスタンダードな作品だけでなく、コアなホラーファンが喜びそうな作品も出てくるのは嬉しいですね。
個人的には「ブラッドピーセス/悪魔のチェーンソー」(それもインパクトの強いエレベーター内でのチェーンソー胴体真っ二つシーンが出てくるぞ!)が懐かしかったなぁ~

「ハロウィン」から幕を開けるスラッシャー映画というジャンルが、やがて「13日の金曜日」の登場で過激な残酷シーンが加わりますます怖さ+残酷場面のパターンが出来て行く・・・当然ここで登場するのは特殊メイクアップアーティストのトム・サビー二!
彼が得意げに語る「13金シリーズ」や「バーニング」「ローズマリー」の殺しのテクニックの数々はこれらの作品を見るうえで参考になること必至?
また彼の“巧み”としての仕事ぶりにはホント感心してしまいます

勿論、残酷シーンのネタバレなんて怖さが半減・・・て思われるが、私はその昔ホラー映画を見るに当たってこの残酷な場面を非常に注目して見ていました。
それは怖いもの見たさとか、または殺人願望があるとか、そんな大それた事でなく単にその残酷場面のリアルな作りと仕掛けを楽しみ感心したかっただけ・・・そんな事を言うと御幣があるかも知れないが、つまり作り物と判っていてこそ、いかにそれを刺激的に見せるかと言うテクニックに興味をそそられてレンタルビデオで借りまくってました。
最近は血しぶきすらCGで描かれる時代ですが、80年代頃は血種と肉やあるいはリンゴなどをダミーに仕込み頭部を破裂させたり、ダミーの体に役者が顔だけだし胴体を銛で串刺し・・・など手の込んだ仕掛けを見ると作り手たちが苦労して表現してるのが伝わりす。

またホラーを見る観客は殺人鬼を応援して見ていて、いつしか殺人鬼たちに感化されてしまうと言う意見が出てきます。
この作品の中では反対意見として観客は決してそうではなく殺人鬼と戦うヒロインを応援している・・・と言う反論が出てますが、まぁ~やはりこれは大半は殺人鬼を注目して見てるんではないかな~?
特にジェイソンやフレディのようなキャラとして確立されてるのはね~
でもあくまでも最後はそんな殺人鬼は退治されると言うのは判って見てるんですがね。
誰も殺人鬼がラストに勝ち残ってめでたしめでたし・・・何て思ってないしね。

この作品でも大きく取り上げられてるように、こういう映画の持つ社会的影響力の大きさが話題にのぼりますが、他の映画同様に“作り物”として見れば決して殺人など人間の精神に影響を与えるとは思えないんですがね・・・実際の猟奇殺人事件の犯人が実はホラーファンだったとか、自宅からホラー映画のビデオが多数見つかったとか記事に出るたびに話題になるホラー規制をいつも苦々しく思っております。

私が中学生だった頃は「ハロウィン」も「13金」「ゾンビ」「サンゲリア」も堂々と友人達と映画館で見れたけど、今の子供たちは決して劇場ではそういうホラー映画を見れないんですよね~ 何か気の毒・・・と思うのはホラーファンとしての意見だけど、あの宮崎事件以降から始まるホラー映画への規制はファンとしては新らしいホラーファンが出来にくくなる時代に寂しく思ったもんでした。(幸いホラー映画のジャンルは衰退する事なく現在も「ホステル」のような傑作も生まれてますが)

で、この映画でもホラー映画の製作者や出演者などがホラー映画バッシングに対する意見を述べてますが、ホラー否定派から見ると自己弁護的に聞こえるかも知れないけど、ある意味もっともな意見を言ってると思いましたね。
今はホラー映画以上に過激な映像が毎日のようにニュースで家庭に流れている・・・戦場での実際の人間の死に様と比べればホラー映画以上に刺激的だ・・・とかね。

この映画はさらにホラー映画が一時期映画会社に取って大きなマーケットとなり、その結果が粗製濫造につながり、いわゆる続編の連発での作品の質の低下(この風潮は今でもあるね)人気キャラクターを商品化にする事により、色んなメディアで目にするようになる事により人気が低下、やがて飽きられ衰退していく事情まで語られていく。
そして「スクリーム」の登場で再び人気は回復していき現在に到る・・・スラッシャー映画という残念ながら社会的にアウトサイダーなジャンルですが、この映画を見てると作り手たちの情熱や思いが伝わってくるのでホラー否定派の人にも見て頂きたい・・・けど映画のシーンはほとんど過激な殺人シーンだから逆効果かもな~

ちなみにビデオプロジェクターによる上映で、雰囲気もいかにDVDで充分な感じだけど、劇場のスクリーンでかけてこそこの映画の値打ちがあると思います。



☆☆☆☆ 2007.11.19(月) シネマート心斎橋 スクリーン2 20:20 中央右端