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MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.009 「博士の愛した数式」 (2005年 日本 117分 ビスタ)

2006-01-27 00:45:25 | 2006年劇場鑑賞
監督 小泉堯史
出演 寺尾聰
    深津絵里
    浅丘ルリ子



数学と言うものに元来苦手なものですが、この作品は数字というものに色々当てはめていくとそこには気づかないような発見が沢山あるんですね。
そんな事を教えてくれる作品でした。

交通事故で80分しか記憶が持たない数学者とその彼の身の回りの世話をする為に雇われた家政婦の杏子とのふれあいから始まる物語だが、最初は彼の奇行にとまどいながらも彼の全ての事を数字に当てはめてしまう数学者としての人間味溢れる言葉に尊敬し、彼女の息子と3人の家族にも似た絆で結ばれていく。

淡々とした流れの中で進んでいく物語に大きな展開もなく3人の心の交流が描かれていく。
一歩間違えるとダラダラと起伏のない単調な展開になりがちだが、この作品はまったく飽きることなく作品の流れに見るものも乗っていきます。
√(ルート)と名づけられた杏子の息子が大人になり数学教師となって教室で生徒たちに博士の話を聞かせると言う構成でストーリーが進んでいき、子供時代の回想と現代の教室の場面が交互で描かれてます。
このへんは上手にメリハリの利いた構成でうまい見せ方だと思いました。
また3人がそれぞれ純真な綺麗な気持ちを持ってる人間なので作品全体を包む「優しさ」が見るものに感動を与えております。
何度も同じことを聞かれたり、話しをされるけど嫌な顔を一つせず博士の話を聞いたり、質問にいつものように答える親子の姿に実に優しさ溢れる姿で清々しい印象です。
正直、私はまったく泣けるような場面なんかはありませんでしたが、これほど美しい人間味溢れる優しい作品は泣きの演出がなくても充分感動できるものだと思いました。

寺尾聰がとてもいい味を出しておりこの役は彼にうってつけでしたね。
役者として彼はホント名優の域に入ったと思いましたね。
とくに力を入れることなく自然体での演技は彼独特の個性となり見事にこの博士役をこなしてると思いました。
深津絵里も若いシングルマザーながら献身的に博士の世話もしながら、いつしか自分も博士と出会ったことで数字を通して色々なことを教わる女性をうまく演じております。
「踊る大捜査線シリーズ」の刑事役もいいけど、この作品でまた女優として大きくなってほしいものです。
義理の姉役の浅丘ルリ子はこの作品では何か怖い顔ばかりの印象。
たしか一度も笑わなかったのでは?
それもこの作品の中ではある意味一番辛い立場の女性であるわけで,その辺は悲しみに満ちた雰囲気がよく出てました
義理の弟は不幸にも記憶が80分しか持たなくなってしまったが、その半面その記憶の向こうに置いていった悲しみを義理の姉は背負い続けている・・・その辺が表情によく出ておりました。

数学とは苦手なもんだけど考えによっては面白くまた不思議なもんですね



★★★★ 2006.1.26(木) 動物園前シネフェスタ4 シネマ1 16:20 最後列右側付近