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MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

「SAYURI」

2005-12-17 01:00:42 | 2005年劇場鑑賞
監督 ロブ・マーシャル
出演 チャン・ツィイー
    渡辺 謙
    ミッシェル・ヨー

芸者の世界を題材に絢爛豪華な日本的な美の美しさを西洋人の目を通して描かれた日本の物語。
細かい描写はこと芸者の世界だけに見る人が見れば不自然な場面も多々あると想いますが、そこはやはりアメリカ人が描くジャパニーズファンタジー!そう言う風に見ればツッコミどころも気にせず見れます。
第一セリフが英語てことだけですでに不自然なことなので、まぁ他の場面はある程度目をつむる事が出来るのでしょう(だがたまに日本語で会話するのが解せない・・・いっその事100%英語で通せばいいと思うのだが・・・)
そして作り手がまじめに素直に感じたままの日本の世界を描こうとしてるので、よくアメリカ映画が描く日本の場面の不快感は感じません。

この作品の中で登場する芸者たちの凄まじいまでのトップに対する執念と女の情念が色濃く全編とおして感じられ、それを表現する俳優たちの熱演に圧倒されます。
不思議な魅力を持った少女千代(大後寿々花ちゃん、かわいい!)からサユリに変わっていくその姿に女の一生の大河ドラマを見てるようで見ごたえがありましたね。
チャン・ツィイーがまた可憐に演じてていいですね~だんだん売れっ子になるにしたがって風格も備わってくるとこなんかうまかったですね。
そしてそんな彼女に嫉妬と敵対心を抱く花街きっての売れっ子初桃を演ずるコン・リーがまたうまいこと・・・彼女の圧倒的存在感は主役を完全に食ってるといってもいいでしょう!しかし彼女の存在感がまた他を引き立てる事にもなっていて、ある意味重要な役ですね。
サユリに対する凄まじいまでの敵対心からやがて滅びて落ちぶれていくその汚れ具合が見事です。

またサユリを芸者として導き育てていく花街きっての一流芸者の豆葉を演じたミッシェル・ヨーも地味な中に貫禄を感じさせ、なかなかのカリスマ芸者ぶり(倍賞美津子に見えて仕方ないが)
この気品溢れる一流芸者(ミッシェル・ヨー)と何かにつけて派手な売れっ子芸者(コン・リー)の対照的な二人の対比は面白かったですね
桃井かおり、工藤夕貴も日本人女優としても堂々たる芝居を見せてくれ中国人の3人に負けておりません。

また渡辺 謙も最近はハリウッド作品に板に付いてきた感じで、むしろハリウッドデビューとなる役所広司が堂々たる日本を代表する芝居を見せてくれたのほ嬉しいですな。

決して純和風て訳じやないけど、華やかな世界の中で垣間見る人間模様は実に見ごたえありました。
日本映画ならもっとドロドロしたものになったんでしょうが、そこはアメリカ人が撮った作品、陰気になってない。

印象的なのは舞台のシーンで花道で華麗にかつ妖艶に舞うチャン・ツィイーの美しいこと!まるで「近松心中物語」を思わすようような様式美溢れる紙ふぶきの大雪の中で妖しく踊る場面はかなり歌舞伎を意識してるのが伺えます(ホント、森進一の歌が聞こえてきそうやったぞ!)やはりブロードウェイで活躍してた監督だけあって力が入ってますな

一人の男性をずっと想い続け、そしてまた他の男たちから想われ続ける・・・思いつづけるのは許されず、思われ続けるのは許される個人の人生など存在しないある種特異な芸者の世界の中で悲しくもたくましく生きていく女たちの世界を日本を舞台にファンタジックに仕上げた映画でした。

★★★★ 2005.12.15 角座1