「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

自律排便に明るい兆し、基本指圧の効果に驚く

2010年02月24日 | 素晴らしい指圧効果
 本年1月7日からスタートしている二分脊椎症Sさん(18歳女子)の、排便管理プログラムでの途中経過を報告します。彼女は、18年間に全身19ヵ所メスが入っています、さぞ大変だったと思います。指圧をしていて感じる彼女の印象は、とにかく「我慢強い」の一言に尽きます。

 初回の指圧直後に彼女の顔が可愛らしくなったことは、以前、このブログに書きましたが、実は顔の変化がその後もずっと続いています。彼女の頭部には6ヵ所メスが入っているため、頭部顔面の骨格の変形が強いのです。
 頬骨も顎の骨も出ておらず、鼻骨も凹んでいました。それらの骨格が前頸部の変化に比例して緩んで拡がり、それぞれの骨が出っ張ってきました。当初、鼻骨がないので眼鏡がずり落ちると訴えていましたが、何だかずいぶん鼻が高くなり、頬骨も顎の骨も出っ張ってきて、顔の凹凸がついてきました。ドンドン可愛らしくなっていくのには、周囲はもちろんなにより本人が大変喜んでいます。

「〇〇ちゃん、排便管理が目的の指圧だけど、嬉しいオマケが付いてきちゃったね!」
「ウン」
 嬉しそうに大きくうなずいていました。私も嬉しくて、ついジロジロと彼女の顔を見てしまいます。
「ゴメンね。ついジロジロ見ちゃって」
「いいえ大丈夫」
 ニッコリ笑って答えます。
 丹念に頭部顔面を圧してみました。まだまだかなり改善が期待できる状態だと確認できました。そこそこのところまで変化したら、写真で紹介したいと思っています。驚きですよ……。

 2月21日の施術中に、彼女から嬉しい報告がありました。プログラムスタートから6週間と3日目にあたる2月20日、肛門に内側から圧迫感を感じてトイレで腹圧をかけたら、なんと便が出たというのです。彼女にとっては、便意というものは今まで経験のないことなので、それがどういう感じであったかを一生懸命伝えようとしてくれました。
「それが便意なのよ」
「……」
 まだプログラムが始まったばかりですから、便の性状が不安定です。腹圧をかけて排便できたのは確かなのですが、直後に続けて多量の下痢があったということでした。まだまだ排便の自律とまでは行きません。
 この日、今まで何の手応えもなかった腰部にも手応えが出てきました。この手応えの先に便性の好転があると、圧しながら感じています。

 それにしても彼女は、我慢強い! かなりの頭痛があるはずです。施術後「頭痛い?」「ハイ、ちょっと」。骨格が動く時は、痛みを伴います。いかに好転反応とはいえ、辛いときは休んだらいいと再度伝えました。
 まだ13回目の施術なのに、なぜこれほどの効果が出るのか? 圧している私自信も不思議です。これはなによりも本人の強い意思がそうさせるのだと感じています。決して誰もが出せる効果ではないことも、お伝えしておきたいと思います。

 首や肩が凝ると、よく頭が痛くなります。彼女の首や肩の凝りも尋常ではありません。実は頭痛と下痢は、腹部ではほぼ同じ場所にコリがあるのです。顔の骨格の変化の中に排便の自律もあるのだと、今更ながらに部分でなく全身を圧すことの大事を実感しています。

 基本指圧を施療できることが、いよいよ楽しくなってきました。またよい報告ができるように頑張ります。

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Yちゃんの機能改善指圧がスタート

2010年02月23日 | 素晴らしい指圧効果
 2月8日に報告しましたが、縁あって二分脊椎症のYちゃん(2歳女児)の施術をすることになりました。成城学園(東京・世田谷)在住ですので、川越(埼玉)の治療所まで2時間を要します。初対面は、新年1月17日でした。それからちょうど1ヵ月後の2月17日から、週1回のペースでYちゃんの基本指圧による機能改善プログラムがスタートしました。  

 赤ちゃんの治療は、お母さんの指圧治療が改善のカギになります。Yちゃんは、初対面のときより少し大きく成長したように見えました。さっそくYちゃんを圧してみました。前回ほど背中が硬くはありませんでしたが、ミゾオチは、やはりまだまだ高い位置でした。
 一番大事な腹部にはあまり手応えがありません。奥の方にかなり硬いコリがあるはずです。「早く出てきて!」と祈るような気持で圧しました。右の足関節が頼りないと思いましたが、左の方が矯正が効かないとのことなので、左の鼠径部を圧してみるとひどく硬いのです。
「これだ!」と思いていねいに圧してみました。痛いらしく少しベソをかいてしまうので、焦らず継続の効果に期待することにしました。背中や腰はとても気持がいいようです。可愛い! ほんのわずかに緩んだので、深追いせずにお母さんの指圧に移りました。やはり親子ソックリです。ミゾオチが高く背中がコチコチで、腹部の手応えがわずかしかないのです。
 しかし健常者である母親のほうが、たとえわずかでも手応えを感じて圧すことができますが、前頸部がひどく固まってしまっています。Yちゃんの前頸部は圧せませんが、お母さんの前頸部なら圧せるので、この硬さだけの分だけ改善が期待できるわけです。この先とても楽しみ、なんとか糸口がつかめそうな気がしています。

 前回初対面時に、少し圧して状態を把握しているのでYちゃんとは、なんとか仲良しになれれば合格点までいけると思っています。なんといってもお母さんの体調改善が重要ポイントです。
 前回のわずかな指圧で、彼女には色々な発見があったようです。自分はテキパキとできない性格だと思っていたけど、そうではなく身体状態からくるものなのだと分かった、と嬉しそうに話していました。疲労をとり身体が緩めば、家事をテキパキとこなせる、というのが理解できたようです。
 この20年ほどは、味わったことがない身体の軽さだったと大変喜んでいらっしゃいました。遠路はるばる大変ですが、やる価値を感じる第1回目の施術でした。
 また報告します。

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秋保温泉で仙台地方研修会を開催

2010年02月18日 | 指圧の活動

 2月14、15の両日、指圧学校同窓会主催の仙台地方実技研修会に参加しました。1月17日、基本指圧研究会に初めて鈴木林三先生をお迎えして指導を受けて以来4週間目。寸暇を惜しんで練習に明け暮れたD君と、常に熱心に練習されるKさんと共に参加しました。
 秋保(あきう)温泉の老舗旅館岩沼屋での研修会。この温泉は奥州三名湯にあげられているそうです。これまでも鈴木先生の実技研修は、余程のことがない限り参加しています。今回は久し振りの温泉でもあり、それも楽しみの1つでした。

 新年から二分脊椎症の患者さんの、基本指圧による排便管理プログラムを開始しています。2月14日はどうしてもその仕事を休みたくないので、夕方の懇親会からの参加となりました。
 岩沼屋は露天風呂も大きく、お庭の眺めも楽しめるゆったりとした、なかなかの日本旅館でした。いくつもあるお風呂を堪能し、同室の方たちの話も面白く、日常の忙しさを忘れる一時を過ごすことができました。

 目指す鈴木林三先生の実技講習は、翌15日の朝9時開始です。今回は先生の新たな発見があることを前もって聞いていたので、どんな内容の講習会になるのかとても楽しみにして参加しました。
 長年曖昧であった指圧理論が、根本から分かりやすいものに生まれ変わりつつあるのが感じられました。視角的にも新たな試みに取り組んでいると聞いています。久し振りにとてもワクワクしています。長年色々な方たちが、試行錯誤してきたものが、今ひとつになって素晴らしい理論として生まれようとしています。期待しています。

 地方研修のいいところは、母校での研修会より参加人数が少ないので、思う存分指導が受けられることです。今回はいつもの倍の参加人数でしたので、どうかな? と心配しましたが、それも杞憂に終わりとても勉強になりました。個人的には、かなり発見もあり充実した時間を過ごすことができました。

 同窓会主催の実技研修会は、回を重ねて今回で11回目になるそうです。確か私は、1回だけ欠席したと記憶していますが、年に3回の勉強のチャンスを与えていただけることにとても感謝しています。研修会自体も成長しているのだということを感じた仙台の旅でした。
 執行部の役員のみな様、本当にご苦労様でした。ますますの発展を心よりお祈りいたします。ありがとうございました。


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「甘やかし」が原因、毅然とした対応を望む

2010年02月16日 | 雑感
「国母の服装問題」を取り上げるのは前回(14日)1度だけでいいと思っていましたが、今日も軒並みテレビ局で報道していますので、もうひと言だけ私の意見を述べさせていただきます。

 前に述べたとおり、国母クンは幼いときからなまじスノーボードが上手(うま)かったために、周囲に甘やかされ、自らを律する自覚を持てないままに成長してしまった。まさにワルガキのまま年齢を重ね、世間の常識も国の代表としての自覚もないまま、今回、選ばれてしまったのです。
 気の毒に、自宅の親までマスコミの取材にさらされました。テレビを通しアナウンサーの口から聞いた父親のコメントは、普通程度には常識ある親のそれでした。おそらく傍にいたなら折りにふれて彼に注意もしたでしょうが、彼はいま東海大学に在籍しているため会う機会もめったにないのでしょう。近くにいる監督、コーチ、先輩などが、面倒でもきちんと叱ってやるべきであろうと思います。
 東海大学が国母クンの壮行会をおこなったとき、今回と同じ服装で来たので叱ったら着替えてきた、といっていた人がいました。この経緯を聞いていると、せっかくの才能を持ちながら、高砂親方(元・大関朝潮)が手綱を引き締められずわがまま放題を容認して、ついに引退に追いやった朝青龍と重なってきます。

 テレビ局ではご丁寧にも、何人かの外国人記者に彼の服装の印象を聞いていました。「こんな格好バカだと思われるよ」(アメリカ人記者)、「ドレスコード(服装の規則)は受け入れなきゃ」(ドイツ人記者)などの発言が記憶に残っていますが、これも変な話です。聞かれて、「あれでいい」という人がいますか。共産党などが北京政府に「日本政府はこんなことを言ってますよ。どう思いますか」と注進に及んでいる光景と重なってしまいます。

 国母クンが当初から素直に反省し、その気持ちを態度に表わしていたらまったく問題はありませんでした。大衆も支持したことでしょう。「過ちて改むるに憚ること勿れ」とは論語の一節です。
 ところが彼は会見の席でテーブルに肘をついたまま、おまけに記者から問われると、「チェ」と舌打ちをし「(う)るせーな」と小声でつぶやいたあと、隣に座っていた人から何かを言われ、ニヤけながら「反省してま~す」と語尾を伸ばして嘯いたのです。これが国民感情の火に油を注ぐ結果となり、今回の騒ぎになりました。

 マスコミでは友人・知人に彼の人となりを聞いて回り、“ふだんはいい人だ”という方向へ導こうとしています。しかし自分の周りを気遣うのは、何も彼の人柄を示すものではありません。たとえは悪いかもしれませんが、詐欺師でも、自分の妻や子供、中のよい友人を詐欺被害の対象者とはしないでしょう。

 一口に言えば、彼はまだまだ子どもなのです。周囲のしかるべき人がちゃんと叱ってやるのが本当の思いやりです。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は、「自分のスタイルを通しているだけなのに、そんなに悪いことなのかという意識が国母選手にはあると思う。…JOCに『日の丸の重みが分かっていない』といった批判が寄せられるのは筋違いだ」(「毎日新聞 2.13夕刊」)などと言っていますが、こういう無責任な考えが、こういう子どもを増やすのです。  

 かつての夏季五輪で、某女子水泳選手が大方の予想を覆して、惨敗したことがありました。その成績を質問したキャスターに、「それなら自分で泳いでみたらいい」といって物議をかもしたことがありました。
 これなどもいい例で、国民の代表として、国民の期待を担って参加している自覚が乏しいのです。試合ですから思うように力を出せなかった、ということも起こるでしょう。そのことだけを誰も責めることはしません。ただ、全力を尽くしたけど及ばなかった、と素直に伝えればいいのです。
 先だって政府がおこなった事業仕分けの際、マイナーな競技にまで予算を組む必要はないのではないか、という意見を押し切ったばかりです。全日本スキー連盟(SAJ)は頭が痛いことでしょう。
 しかし今回のSAJの対応に、私は不満はありません。こういう毅然とした対応の積み重ねが、不祥事の再発を防ぐことになるからです。

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二分脊椎患者の指圧施療、財団の会報で紹介

2010年02月15日 | 基本指圧の素晴らしさ
 昨年、順天堂大学医学部主催の学会で、二分脊椎患者の排便管理効果に基本指圧を取り入れたことが画期的である、と報告されたことをこのブログでも何度か紹介しました。ところが今回、「日本二分脊椎・水頭症研究振興財団」の会報でも紹介される運びとなり、指圧についての原稿依頼が財団からありましたので、自分なりに書いて提出いたしました。

 2月6日夕方、仕事をしていると突然、学会報告で昨年大変お世話になった、藤原QOL研究所所長であり、東京都立墨東病院医師の藤原一枝先生から電話が入りました。憧れの先生からの電話です、内容は財団に提出した原稿についてでした。
 先生の許にも財団から原稿内容が送られたようです。「せっかく与えられた好機です。よりよい内容で伝えることが大事です」と先生が言ってくださいました。そもそも財団の会報自体をまったく知らない私は、何が求められているのかも把握せずに書いてしまいましたので、釈然とせずにいたところでした。
 その折、「月曜日にお寄りくだされば」とのことでした。先生は私の休みが月曜日であることをご存知です。久し振りに藤原先生にお目にかかれるのであれば、何をさておいても伺いたいと即決しました。  

  2月8日の月曜日、錦糸町の藤原QOL研究所に向かう、自分の足取りの軽やかさを感じていました。先生は相変わらずお元気そうです。小さな身体のどこにこんなパワーが隠れているのかと、いつも感心してしまいます。すでに訂正原稿の原案ができていました。とにかく仕事が早い! 驚きです。約1時間余りのやりとりの中で、みるみる内容の充実したものができ上がっていくのは、なんと小気味いいことか! 気分がスカッとしたものです。
 その後、この1週間は、毎日校正・校正でに明け暮れ、藤原先生とのメールのやりとりも繰り返し、今どうにかよりよい形でお伝えすることができそうなところまでこぎつけました。

 やはり専門分野は、専門家でなければ分かりません。細部までキチンとしたものになってきました。本当にありがたいと心から感謝しています。先生にすれば仕事以外のことであり、放っておいたらそれまでのことです。多忙を極めておられる先生、外来をこなしながらの助言です。足を向けては寝られないとの思いが湧いてきてしまいます。でき上がりが、本当に楽しみです。
 会報が手元に届いたらまたご報告します。

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国母問題、決して 「たかが服装」 ではありません

2010年02月14日 | 雑感
 バンクーバー冬季五輪が開幕しました。選手団が成田空港を出発したのが9日、それから6日間、メディアがいっせいに取り上げている問題があります。スノーボード日本代表・国母(こくぼ)和宏選手が、公式の服装をあまりにだらしない着方をしていた、しかも会見の場でも、質問した記者を小バカにした態度で終始していたというものです。
 その様子をテレビなどで知った人たちが、全日本スキー連盟(SAJ)に50件の電話と500通のメールを送り、「国民の代表としてありえない態度」という意見を寄せてきました。テレビ・ラジオから一般紙・スポーツ紙にいたるまで、いま連日大賑わいです。

 彼が批判されるのは当然ですが、マスコミに露出している人の中には、彼を擁護する発言もあります。その意見を目にし耳にするにつけ、私も黙っていられなくなりここに投稿することにいたしました。
 国母は成田を出発した際、公式スーツのズボンをずり下げて、いわゆる「腰パン」と称するはき方をし、ワイシャツのすそはズボンの外へ出し、ネクタイも首で締めずにたれ下げて胸の前でY字型にしていた。おまけにドレッドヘアという長髪にサングラス、どこかのチンピラでもしないような異様な風体で、とうてい「日本代表」の姿ではありませんでした。
 抗議が殺到したことに驚いたSAJは国母に選手村への入村式を自粛させ、直後にお詫び(?)会見を開いたのですが、出席した国母が服装について記者から問われると、「チェ」と舌打ちをし「(う)るせーな」と小声でつぶやいたあと、「反省してま~す」とニヤついていたのです。この様子がテレビで報道されたものですから、追い討ちを掛けて抗議の電話とメールが殺到したというわけです。
 SAJではこれを重大なことと受け取り、国母の開会式出席をやめさせ、競技の出場辞退と日本への召還を申し入れたそうですが、橋本聖子団長のとりなしで汚名返上のチャンスを与えることになりました。しかし開会式に出られないことを反省した様子など毛頭ありません。本人の「(開会式中は)宿舎の部屋でゆっくりしてます」(夕刊フジ 2.14)、などの言葉を聞くと何をかいわんやです。

 国民の多数はSAJの対応を支持していると思われますが、新聞・テレビでは国母の側に立つ発言も多くみられます。

「…選手団の入村式への出席を自粛させたり、開会式の参加を取りやめさせる対応は全体主義的で、明らかに大げさ。…」(教育評論家・法大教授の尾木直樹氏「サンケイスポーツ 2.14」)

「自分のスタイルを通しているだけなのに、そんなに悪いことなのかという意識が国母選手にはあると思う。…JOCに『日の丸の重みが分かっていない』といった批判が寄せられるのは筋違いだ」(スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏「毎日新聞 2.13夕刊」)

「それはそれこれはこれで、入村式には出させたらいいんちゃうん。要はメダルを取ったらいいんやろ(要旨)」(歌手の和田アキ子氏 「TBSテレビ・アッコににおまかせ 2.14」)

 尾木氏の「全体主義的」発言はなんともあいた口が塞がりません。それでは小・中学校は全体主義ですか、警察官はどうなんですか。入村式への出席を自粛させたのは、会見で「(う)るせーな」とつぶやいたあと、「反省してま~す」とニヤついていた一事を見ても、正しかったのです。まるっきり反省の気持ちがないことに対し、猛省を促したものです。
 いろいろの企業で不祥事があったとき、代表者などが「お詫び会見」をして深々と頭を下げます。「またか」という思いがあるのは事実ですが、これが「反省してま~す」とニヤついていたとしたら、果たしてそれを認めることができるでしょうか。それは反省している態度ではないからです。

 谷口氏の発言。「JOCに『日の丸の重みが分かっていない』といった批判が寄せられるのは筋違いだ」と述べているようですが、どう筋が違うのでしょうか。国母本人に連絡が取れない以上、JOCなりSAJに「こんな国辱的で、日の丸を背負った気持ちのない者は競技に出すべきではない」と意見を言うのは当然ではないですか。

 和田氏の言い草は、メダルさえ取ったら風体などはどうでもいい、と受け取れます。個人旅行に行ってるんではないんです、日本国民として恥ずかしくない立ち居振舞いを求めるのは当然のことでしょう、あんまり低レベルな発言に幻滅です。私たちの気持ちは、メダルを取れなくてもいい、世界に恥を曝したくないということなのです。

 もし、あなた方が会社を経営していたとします。ロン毛、鼻ピアス、腰パンでシャツを外に出した人を社員に雇いますか。他社へ営業に行かせることができますか。ファミレスでこんな人がオーダーを取りに来ても、違和感はありませんか。こういう者を、日本の代表として世界の桧舞台に出して、恥ずかしくないのですか。私は国母を擁護する人たちに聞いてみたいのです、国辱とは思いませんかと。

 そもそも服装というのはとても大事です。昔中国で、竹林の七賢のリーダーに阮籍という男がいました。たいへんな秀才だったのですが、長髪を振り乱し、着物の前をはだけ、乱暴な言葉を使うのを「格好がいい」と考えていました。ところが政府要人の子どもたちがそれを真似て、やがてそれが司馬氏の滅ぶ兆しになったというのです。  

 韓国へ旅をしたとき、現地の男子はみんな短髪で、また目上を大事にする姿を見て、私は日本の徳育教育に思いを馳せて暗い気持ちになりました。国母は大学生といっても、子どものときからなまじスノーボードがうまかったため、甘やかされて自分を律するということもなく、「ワルガキ」のままに育ってきたのです。
 SAJが厳しく対処することは、本人の将来を考える上からも、大いに喜ばしいのではないでしょうか。個人旅行をしているのではないのです。国威発揚のためとはいえ、国民の税金で派遣された代表です。いっそうの自覚を望みたいものです。

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「ブージヴァルのダンス」など80作品を堪能

2010年02月13日 | 私の趣味

 11日の「建国記念の日」は私の治療院はお休みです。乃木坂の国立新美術館でルノワール展が開催されているのを知っていましたので、私はこの日を心待ちにしていました。
 会場となった美術館は、コンセプトを「森の中の美術館」として、故・黒川紀章さんが設計したものです。黒川さんは日本だけではなく、世界各国に著名な建築を残してきた人です。自然との共生をテーマにした作品として有名ですが、クアラルンプール国際空港(マレーシア)など、現地でそのものを目にすると、なるほどと頷かされる
ところがあります。

 ルノワールはそのやわらかい筆遣い、愛らしく豊満な女性像で日本でもごく親しまれた印象派の巨匠です。「ルノワール ~ 伝統と革新」と題した今回の展覧会は、およそ80作品に及ぶ膨大なものでした。ボストン美術館、シカゴ美術館、クラーク美術館(以上アメリカ)、オルセー美術館(フランス)、ポーラ美術館、大原美術館(以上日本)そのほか、世界中で所蔵されているものの中からこの点数を一堂に展示したのです。
 1ヵ所でこれだけのルノワールを観たことは、これまでありませんでした。「アンリオ夫人」「団扇を持つ若い女」「ブージヴァルのダンス」など、なじみの深い作品ばかりで、心から堪能できた貴重な時間でした。
 帰途、恵比寿ガーデンプレイスまで足を伸ばして飲食、ルノワールの余韻に浸った1日でもありました。
(写真は「ブージヴァルのダンス」。 国立新美術館のホームページから)
《ブージヴァルのダンス》 1883年 ボストン美術館


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「アキレスと亀」…長い夜の暇つぶし(?) に最適

2010年02月12日 | 分類なし
「アキレスと亀」の命題は、ギリシャの哲人ゼノンが唱えた不条理なパラドックス。これに2500年の長きにわたって哲学者、数学者、科学者たちが大真面目に取り組んできました。これはすでに解かれたという人もおり、まだだという人もいますが、寡聞にして明確な解答を未だ私は知りません。また解答を目にしても、果たして私の頭脳で理解可能かどうか不安でもあります。
 外出も控えがちになる寒さにに震える冬の夜、実に奇妙なこの論理を、改めて考えてみるのも一興ではないでしょうか。

 あるところにアキレスと亀がいて、2人(1人と1匹)は徒競走をすることになりました。しかしアキレスの方が足が速いのは明らかですから、亀がハンデをもらって、いくらか先に進んだ地点から同時にスタートすることにしました。しかしアキレスは、永遠に亀に追いつくことができない、というものです。

 分かりやすくするために、亀がアキレスの100メートル先のA地点から走り始めたと仮定します。アキレスは10秒で100メートルを、亀は10秒で50メートル(例えです)を走ります。
 10秒後にアキレスは初めに亀がいたA地点まで到着しますが、そのとき亀はアキレスより50メートル先のB地点にいることになります。 
  次にアキレスがB地点まで行ったとき、亀はB地点から25メートル先のC地点に到着しています。
 アキレスがC地点地に行ったときは、亀はその先のD地点まで走っている。アキレスがD地点に着くと、亀はアキレスがCからDに達するまでの時間分その先にいる、ということの繰り返しになるわけです。
 ですから、アキレスは永遠に亀を追い越すことができない、というのが命題です。

 これはゼノンのパラドックスの中でも、最もよく知られたものの1つです。私は自分なりにこれを打ち破る「理屈」を考えてはいますが、発表して間違っていると恥ずかしいので、ここには投稿しません。
 そのほかにも、「飛んでいる矢は止まっている」などが有名ですが、冬の夜長(?)、皆さんも考えてみてはいかがでしょうか。

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「メビウスの輪」「クラインの壷」の不思議

2010年02月11日 | 分類なし
「メビウスの輪」をご存知だと思います。1本の紙テープを、ノリでつないで輪を作ってみてください。そのとき、片方の端を半回転(180度)ひねってつなぐと、でき上がったものがメビウスの輪なのです。
 メビウスの輪の上をテープに沿って鉛筆でなぞってみると、いつの間にか裏と思っていたところも通って、またもとの場所に戻ってくるのです。そうです、この輪には「裏も表もない」のです。

 紙テープを半回転ひねらずにつないだ場合は、通常の「紙の輪」です。これはテープに沿って外側に鉛筆を走らせると元の位置に戻ってきますが、鉛筆は内側を通りません。内側をなぞった鉛筆は、外側を通りません。これは裏表がはっきりしているのです。

 通常の紙の輪を、テープに沿ってまん中から切ってみて下さい。幅が半分になった輪が2つできるだけです。
 メビウスの輪ではどうなるでしょう。さらにねじれた大きな1つの輪になるのです。

 輪をテープに沿って、3分の1の幅で切っていくとどうなるでしょうか。通常の紙の輪では、幅が3分の1の輪と、3分の2の輪の2つができます。これは容易に予想ができます。
 メビウスの輪では、大きい1つの輪と小さい1つの輪が鎖状につながってできるのです。

 メビウスの輪の3次元バージョンが「クラインの壷」です。これは4次元空間に実現するそうです。表面をずーっとたどって一周すると、いつの間にか裏面にたどり着いているという、あやし気な閉曲面ができます。

 クラインの壷は知りませんが、メビウスの輪は以前、外国の自動車のファンベルトに使われたことがある、と聞いた記憶があります。裏表なく使えるので、耐久力が大きいという理由だったと思います。今、使われているかどうか分かりません。日本車は、私が知っている限りはVベルトでした。
 また、製品を研磨するテープにも使われていました。表裏使える利点があったからです。プリンターのインクリボンにも使われていた、とネットで読んだ記憶があります。これはリボンの幅の半分を使えば、倍の長さを使えるので、リボンの取り替える回数が2分の1ですむということでした。

 メビウスの輪もクラインの壷も、芸術分野ではいろいろ活用されるでしょう。一般社会でも、ここに書いた以外におそらくさまざまな用途があるのでしょう。これらの名前は、いずれも理論を発見し、そのものを作り出した数学者の名にちなんだものです。
 写真は「メビウスの輪」です。


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なが~い掛け算の積(結果)は??

2010年02月10日 | 分類なし

「脳トレ」というわけではありませんが、1問だけ出題させてください。これは数学者の桜井進氏が出した問題です。(出典・「感動する!数学」 PHP文庫)
  ―――――――――――――――――――――

【問題】
 ① (x-a)(x-b)=x²-ax-bx+ab
 ② (x-a)(x-b)(x-c)……(x-y)(x-z)=?

 ①のような展開式は中学で習いますね。では②のようにa、bのところにzまでのアルファベット26文字全部入れた、なが~い掛け算を展開すると、どうなるでしょうか?
  ―――――――――――――――――――――
【解答】正答は0「ゼロ」です、瞬時に出てしまいます。
 
 ほとんどの皆さんは正解されたと思いますが、念のため、その理由を説明します。
 (x-y)の一つ手前は(x-x)です。すなわち(x-x)=0です。乗法(掛け算)の中に1つでも0があると、その積(せき=掛け算の結果)は0になります。うっかりすると引っかかりそうな問題です。


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