「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

国母問題、決して 「たかが服装」 ではありません

2010年02月14日 | 雑感
 バンクーバー冬季五輪が開幕しました。選手団が成田空港を出発したのが9日、それから6日間、メディアがいっせいに取り上げている問題があります。スノーボード日本代表・国母(こくぼ)和宏選手が、公式の服装をあまりにだらしない着方をしていた、しかも会見の場でも、質問した記者を小バカにした態度で終始していたというものです。
 その様子をテレビなどで知った人たちが、全日本スキー連盟(SAJ)に50件の電話と500通のメールを送り、「国民の代表としてありえない態度」という意見を寄せてきました。テレビ・ラジオから一般紙・スポーツ紙にいたるまで、いま連日大賑わいです。

 彼が批判されるのは当然ですが、マスコミに露出している人の中には、彼を擁護する発言もあります。その意見を目にし耳にするにつけ、私も黙っていられなくなりここに投稿することにいたしました。
 国母は成田を出発した際、公式スーツのズボンをずり下げて、いわゆる「腰パン」と称するはき方をし、ワイシャツのすそはズボンの外へ出し、ネクタイも首で締めずにたれ下げて胸の前でY字型にしていた。おまけにドレッドヘアという長髪にサングラス、どこかのチンピラでもしないような異様な風体で、とうてい「日本代表」の姿ではありませんでした。
 抗議が殺到したことに驚いたSAJは国母に選手村への入村式を自粛させ、直後にお詫び(?)会見を開いたのですが、出席した国母が服装について記者から問われると、「チェ」と舌打ちをし「(う)るせーな」と小声でつぶやいたあと、「反省してま~す」とニヤついていたのです。この様子がテレビで報道されたものですから、追い討ちを掛けて抗議の電話とメールが殺到したというわけです。
 SAJではこれを重大なことと受け取り、国母の開会式出席をやめさせ、競技の出場辞退と日本への召還を申し入れたそうですが、橋本聖子団長のとりなしで汚名返上のチャンスを与えることになりました。しかし開会式に出られないことを反省した様子など毛頭ありません。本人の「(開会式中は)宿舎の部屋でゆっくりしてます」(夕刊フジ 2.14)、などの言葉を聞くと何をかいわんやです。

 国民の多数はSAJの対応を支持していると思われますが、新聞・テレビでは国母の側に立つ発言も多くみられます。

「…選手団の入村式への出席を自粛させたり、開会式の参加を取りやめさせる対応は全体主義的で、明らかに大げさ。…」(教育評論家・法大教授の尾木直樹氏「サンケイスポーツ 2.14」)

「自分のスタイルを通しているだけなのに、そんなに悪いことなのかという意識が国母選手にはあると思う。…JOCに『日の丸の重みが分かっていない』といった批判が寄せられるのは筋違いだ」(スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏「毎日新聞 2.13夕刊」)

「それはそれこれはこれで、入村式には出させたらいいんちゃうん。要はメダルを取ったらいいんやろ(要旨)」(歌手の和田アキ子氏 「TBSテレビ・アッコににおまかせ 2.14」)

 尾木氏の「全体主義的」発言はなんともあいた口が塞がりません。それでは小・中学校は全体主義ですか、警察官はどうなんですか。入村式への出席を自粛させたのは、会見で「(う)るせーな」とつぶやいたあと、「反省してま~す」とニヤついていた一事を見ても、正しかったのです。まるっきり反省の気持ちがないことに対し、猛省を促したものです。
 いろいろの企業で不祥事があったとき、代表者などが「お詫び会見」をして深々と頭を下げます。「またか」という思いがあるのは事実ですが、これが「反省してま~す」とニヤついていたとしたら、果たしてそれを認めることができるでしょうか。それは反省している態度ではないからです。

 谷口氏の発言。「JOCに『日の丸の重みが分かっていない』といった批判が寄せられるのは筋違いだ」と述べているようですが、どう筋が違うのでしょうか。国母本人に連絡が取れない以上、JOCなりSAJに「こんな国辱的で、日の丸を背負った気持ちのない者は競技に出すべきではない」と意見を言うのは当然ではないですか。

 和田氏の言い草は、メダルさえ取ったら風体などはどうでもいい、と受け取れます。個人旅行に行ってるんではないんです、日本国民として恥ずかしくない立ち居振舞いを求めるのは当然のことでしょう、あんまり低レベルな発言に幻滅です。私たちの気持ちは、メダルを取れなくてもいい、世界に恥を曝したくないということなのです。

 もし、あなた方が会社を経営していたとします。ロン毛、鼻ピアス、腰パンでシャツを外に出した人を社員に雇いますか。他社へ営業に行かせることができますか。ファミレスでこんな人がオーダーを取りに来ても、違和感はありませんか。こういう者を、日本の代表として世界の桧舞台に出して、恥ずかしくないのですか。私は国母を擁護する人たちに聞いてみたいのです、国辱とは思いませんかと。

 そもそも服装というのはとても大事です。昔中国で、竹林の七賢のリーダーに阮籍という男がいました。たいへんな秀才だったのですが、長髪を振り乱し、着物の前をはだけ、乱暴な言葉を使うのを「格好がいい」と考えていました。ところが政府要人の子どもたちがそれを真似て、やがてそれが司馬氏の滅ぶ兆しになったというのです。  

 韓国へ旅をしたとき、現地の男子はみんな短髪で、また目上を大事にする姿を見て、私は日本の徳育教育に思いを馳せて暗い気持ちになりました。国母は大学生といっても、子どものときからなまじスノーボードがうまかったため、甘やかされて自分を律するということもなく、「ワルガキ」のままに育ってきたのです。
 SAJが厳しく対処することは、本人の将来を考える上からも、大いに喜ばしいのではないでしょうか。個人旅行をしているのではないのです。国威発揚のためとはいえ、国民の税金で派遣された代表です。いっそうの自覚を望みたいものです。

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