11月11日付「NHK大河ドラマ『坂の上の雲』の放映に思う」と題したブログで、「しかし心配は尽きません。取り上げるのがNHK、(略)最近も『日台戦争』など、ありもしなかったことを捏造報道して顰蹙を買ったばかりです」と書きましたが、もしもNHKの報道をご存じない方がいらっしゃるといけないので、ここで簡単に説明させていただきます。
これは4月5日放送のNHK「JAPANデビュー」シリーズ第1回「アジアの“1等国”」で言われたことです。この放送は、同盟国としてイギリスの要請で参加した第1次大戦において、戦勝国になった日本が1等国の仲間入りを果たしながら、なぜ国際社会で孤立したのかを探るのが趣旨だというのです。
しかし私がブログに書いたように、「日台戦争」などというものは、そもそも歴史に存在しませんでした。この言葉だけではありません。NHKは自分の書いたシナリオに沿って、ありもしない日本の「悪逆非道振り」を台湾人に語らせるという形式で、最も親日的な国・台湾と日本の仲を裂こうとしたものです。これが中国共産党(中国北京政府)のやり口で、中央宣伝部対日工作の方針に乗っかったのがNHKというわけです。
「正論」6月号に掲載されたノンフィクション作家・河添恵子氏と、「Will」 7月号に掲載された「日本文化チャンネル桜」社長・水島総氏、評論家・黄文雄氏の文章をそれぞれ引用させていただいて、その内容を紹介してみます。
◆「日本支配に対する激しい抵抗運動が台湾全土に広がり、後に日台戦争と呼ばれる…」
河添氏「…ん? 日台戦争なんて初耳…」
黄氏「『日台戦争』などはとんでもない捏造、歪曲です。さらに、戦後の台湾では、国民党による侵略と虐殺の歴史がありました。台湾人は、常に支那人と戦ってきたと言っても過言ではない」
◆「台湾の先住民族パイワン族をロンドンに連れて行き、『人間動物園』として展示」
河添氏「…民族衣装を着て伝統的な踊りなどを紹介しているのだから、『動物園』はないんじゃない…」
水島氏「このNHK取材陣のやらせ、歪曲取材による歴史事実の『捏造』は、他の部分にも及んでいる。許しがたいのは『人間動物園』についての部分である」
―- これはロンドンで「日英博覧会」が開催されたおり、日本から相撲一団や米俵製作を実演披露した農民も参加した。その中の一つとして、台湾の先住民族パイワン族が民族衣装を着て踊りを披露したものです。これを「人間動物園」というなら、日本人が和服を着て日本舞踊を踊って見せれば、日本人の人間動物園になるのでしょうか。ボリショイバレー団が日本公演したときは、ロシア人の人間動物園なのでしょうか ――
◆「中国語を禁止し、日本語の使用を強要」
河添氏「…戦前に台湾で使われていたのは台湾語や客家語。それを禁じて中国語(北京語)を強要したのは、戦後の中国国民党政府なのだけれど…」
黄氏「NHKは知らないようですが、もちろん、当時の台湾人は中国語も知らないし、話せません。だからこそ、日本は共通言語として日本語教育をした。(略)さらに日本は、日本人の公務員や警察官と師範学校教師には台湾語学習が必要とし、(略)台湾に住む5万7335人の日本人のうち、台湾語が話せるのは6269人、全体の10.9パーセントにもなっていた。戦後、台湾に入ってきた国民党は台湾語を勉強しないどころか、台湾語を禁止し、消滅させようと北京語を強制しました」
書けばキリがありませんが、この実態を考えていただけばお分かりでしょう。NHKの報道がいかに悪辣かわかるというものです。この番組を見て、台湾人出演者の中心人物だった柯(か)徳三さんはNHKのディレクターに次のように抗議したそうです。「あんた、中共の息がかかっているんだろう。私が聞くところによると、朝日新聞とNHKは、北京に呼ばれてチヤホヤされて貢物を持って行ったんだろう。そういったんだ」(水島氏)
黄氏は次のように述べています。
「私は番組のあまりの歪曲、捏造に驚愕し、その『歪曲』に該当する箇所を116ヵ所まで書き出してみました。しかし116ヵ所まで挙げたところで、逆に『史実に基づいて事実を語っている』箇所を挙げてみればよいのだ、と気づいた(笑い)。探してみましたが(略)ただの1ヵ所も事実はなく、100%が歪曲と捏造です。
拓殖大学の発行している『台湾論』と『百年史』の戦前編を担当し、台湾人であった(現在は日本に帰化)私が言うのですから、間違いない」
このような捏造報道を繰り返すNHKが、唯一受信料を取っている公共放送なのだから、まことにあいた口が塞がらないとはこのことです。
最後に、NHKの歪曲を撃破する水島氏の言葉を掲載して締めくくりとします。
「さて、NHKが主張している日本の台湾統治の悪評価は事実なのだろうか。実は百年前、日本の台湾統治をアメリカのニューヨーク・タイムスが大絶賛している記事が存在している。『SAVAGE ISLAND OF FORMOSA TRANSFORMED BY JAPANESE』(Published on September 25th,1904 New York Times)で、1904年9月24日付のレポート記事だ。 この記事は右の見出しを二ューヨーク・タイムスのデータベースで検索すれば、無料で見つけることが出来る。
〈日本統治で一変した未開の島、台湾〉
〈誰の手にも負えなかった事を、数年間で克服した脅威の偉業〉
〈他の植民地宗主国への教訓〉
(略)
アメリカの記者が日本の台湾統治を絶賛している。これとて、かなり台湾関係者、研究者にとっては、よく知られた資料のはずであり、NHKの製作陣が知らぬはずはないのである。
(略)
第1回、第2回、そしてオープニングタイトルの印象操作手法を見るとき、このシリーズの出演者や映像の選択と順序等の編集が、いかに天皇と皇室を戦争の原因であるかのような悪質な印象操作、意識操作を秘かになしているかが、明白に浮かび上がってくる。
ひとつだけ、誰も気がつかぬ恐ろしい事実をあげておこう。日本のテレビ史上、番組のオープニングタイトルバックに『明治天皇』や『昭和天皇』の御姿が使われたのは今回が初めてである。それもヒトラーやスターリンと同列に並べられて、である。これは相当に恐ろしい新事実である。
NHKがどんなに誤魔化しても、日本国民はこの番組が巧妙な謀略映像であり、歪曲された歴史解釈であることを理解し、真剣に対処しなければならない。これは、血は流れないが、未来の日本の行方を左右する情報戦争なのである」
文章を引用させていただいた先生方と、出版社に感謝いたします。