11月20日
午前中は指圧をして、そのあとホテルに戻ってランチ。ここまでは昨日と同じパターンです。この日、食事のあと全員で由布島へ行こうということになりました。前にも書きましたが、西表島へはこれまで4回も来ています。しかしいつも指圧に明け暮れ、どこへも行ったことがなかったのでとても嬉しかった。ぜひ行きたかったところの1つです。
ホテルから車で40分ほどの距離ですが、途中10分ほど、中野わいわいホールへ寄り道をしました。文化祭の展示品などはここで見ることができるのですが、西表の民具を作らせた第一人者というノージの品物が展示されているのです。ノージというのは人の呼び名です。ちゃんと本名があるのですが、昔から地元の人がノージと呼び、呼ばれると返事をするのです。でも本人が、「なぜノージか分からない」と言うのですから不思議です。
夜には文化祭のフィナーレの催しがあるため、午後5時には展示物が撤去されます。彼の作品は全国的に名が売れており、著書も何冊か出しています。作品を見られないというのもあまりに残念なので、由布島へ行く前にちょっとのぞきました。ノージは私の指圧愛好者でもあり、この日も午前中に施療したばかりです。
そのあとでやっと目的地へ到着しました。話には聞いていましたが、初めて来た由布島。西表島からの約400メートルを、水牛車に乗って渡ります。昔は稲作の拠点で住民も多かったそうですが、今は島のオーナーの自宅と観光の従業員宿舎があるだけで、10数人が住んでいるそうです。
島には売店やレストランがあり、いろいろなお土産を売っています。水牛の角でできたフクロウや装飾品など、珍しいものもあります。
その奥には植物園。周囲2キロ、面積0.15平方キロという狭い島ですが、島全体が植物園で、4万本以上のヤシや、さまざまな熱帯植物があり、群生するブーゲンビリアがみごとです。この島へ渡る水牛車は10人から14人乗り、観光客にたいへん人気があります。
海面は大潮の干潮時には干上がり、満潮時には1.5メートルにもなるそうです。この日、来たときは水深40センチ程度でしたが、帰りはやや潮が満ちて70~80センチになっていたでしょうか。
水牛は実に利口な動物で、牛方(うしかた)の言葉を理解して行動するため、ほとんどムチは使わないといっていました。何より車を引くときは、自分から車の“引き手”に首を入れる。終わると自分からは外すのです。目的の対岸に着くと、Uターンして次の客が乗るのを待つ。何と可愛いではありませんか。
由布島には池があります。その周りを柵で囲い、長いリードをつけた水牛を放しておくと、自分で池に浸かるのです。話によると、水牛は体温がたいへん高いので水につかって下げる、とか。ともかく可愛い。夫は3回目だといいますが、私は初めて。ぜひもう1回来たいと思いました。
夜は島人文化祭のフィナーレです。「舞台の部」ということで古典太鼓、舞踊、三線を堪能させてもらい、最後、島の参加者が一体になって踊っていました。感動的なひと時といえるでしょう。
11月21日
この日は早朝から大騒ぎになりました。と言っても騒いでいた、というか慌てていたのは夫だけ。私は「夫なら何とかするだろう」とホテルのレストランで悠々の朝食。あと参加した5人は、事態を知りませんからもちろん慌てることもありません。
実は西表に連絡船で到着したのは上原港、帰りもこの港でレンタカーを返却する予定でした。朝9時20分出港の船ですが、チェックアウトもありますからあんまりゆっくりはしておれません。
7時ちょっと過ぎ、夫とレストランに降りて行きました。すると入口に「上原港― 石垣港 欠航」と貼り出されているではありませんか。風波が強いから、という理由です。レストランにはすでに他のメンバーが来ており、出発に合わせ早い目の食事をしていたのです。
私は何とかなるだろう、と思っていました。しかし夫はそれどころではありません。食事もお粥を一口食べただけで、さっそく対策を練っていたようです。
ホテルから上原港までなら車で10分弱。しかし、上原港から見て島の反対側にある大原港から船が出るというのです、そこまでは1時間かかるのです。その場合、レンタカーの返却はどこでしたらいいのか。
レンタカー会社が始まるのが8時です。それから打ち合わせて、大原港まで1時間。そのあと指定個所に返却手続きをして港まで行き、9時30分の船に乗る。なるほど、時間はギリギリでしょう。
何とかなるだろう、と私は楽観していましたが、その通り何とかなりました。夫に来てもらってよかった、と思った一瞬だったかもわかりません。石垣から那覇への航空便が決まっているので、この船に乗らなければ間に合わなかったのです。しかも往復ツアーパックで組んでもらったので、違う便に変更できないそうです。
那覇へ到着しました、ここは大都会、集合時間まで自由行動です。私は夫と首里城へ行きました。空港からモノレールで首里駅まで、そのあとタクシーですぐです。以前も来たことがあるのですが、そのときは時間もなく、周囲をざっと見ただけで帰ってきました。
この日は40分ほど時間をかけて、中を少しは見ることができました。日本本土の古来の城とは全く異なり、やはり昔は日本とは違う「琉球王朝」だったのだ、と強く感じたものです。
16時55分那覇発、羽田には午後7時過ぎに着きました。気流の関係かどうか私には分かりませんが、沖縄便は往路より復路の方が早いのです。
ともかく無事任務を果たし、また観光もできて満足のいく4日間でした。私の体調の関係もあり、「これで最後か」と思っていたのですが、現地の皆さんが喜んでくれる様子を見ると、また来なければいけないのかな? と考えています。
繰り返して言います。次に西表行きが決まったときは、なるべく大勢参加できたらいいな、と私は考えています。(西表島の報告終わり)
西表島と由布島を結ぶ水牛車
池に浸かって体を冷やす水牛
フィナーレの舞台を楽しむメンバー
那覇の国際通り
首里城の守礼門
ノージの作品