「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

二分脊椎症の排泄障害を克服して結婚・妊娠

2021年01月10日 | 指圧の活動

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 久しぶりの投稿です。私が主催して19年間、NPO法人にして15年、浪越指圧を後世に正しく伝えようと私なりに頑張ってきた基本指圧研究会でしたが、10年前に罹患した脳出血の後遺症など体力的な限界から解散を決議しました。これがなかなか大仕事でした。他に野暮用などもあり、ついついブログを書くのをサボっていましたが、報告したいことは山ほどあります。
 まず二分脊椎症の排泄障害について、今回本当に嬉しかったことをお知らせします。私が二分脊椎症に携わって約12年を迎えます。ご存知のように、この患者さんは自力排便ができない方が大変多いのです。ごく軽い人は浣腸などで対処しますが、多くは日を決めて洗腸しなければなりません。
 しかし患者さんにとって、これは重大問題です。しかも現代の医学では、症状を改善できないのです。専門医も病状を治すのではなく、洗腸器具の改善に努力しているのが実態です。私は洗腸の患者を指圧で自力排便に導く方法に取り組み、過去2回、日本二分脊椎症研究会で発表して大きな反響を得ました。

 指圧治療をとおしこれまで10数人の自力排便を実現して、患者さんからは「人生が変わった」とたいへん喜んでもらいました。しかし残念なことに、二分脊椎症患者の排泄障害を担当してきた指圧師は、基本指圧研究会でも、私の治療院でも、私以外にはいません。もちろん指圧業界でも聞いたことがありませんでした。「何とか人材を育てたい」、この私の思いに応えて頑張っている人も多く、「あと一歩」という思いもあります。
 二分脊椎症は、人間の根幹の脊椎に関する病気です。患者さんの状況や症状が、1人ひとり全く違います。指圧を施すのにも、とても難しい病気です。患者さんと家族と指圧師が、試行錯誤しながらも同じ思いで必死に向き合ってこそ効果を生むのだと信じています。

 改めて言いますが、二分脊椎症は、自力排泄がうまくできないことが多い本当に厄介な病気です。人間の「尊厳」にかかわる部分が悩みになり、生活自体が日々たいへんな病気です。それだけやり甲斐がある仕事だとも思っています。基本指圧を施すことで、人工的な排泄を下剤、浣腸、洗腸、さらにカテーテルでの排尿などに頼ることしかなかった体が改善できる方法があったのです。

 この仕事を通じて、私自身が「天にも昇る」ほどうれしかった最近の体験をお伝えしたいと思います。
 数年前、若い女性が自力排便ができるまでになり、そのあと結婚して幸せになった例が2人ありました。彼女らは保健のために今でも時々指圧を受けに来院しています。つい最近、この2人が相次いで妊娠しました。これだけでも十分嬉しいニュースですが、検診の結果、2人とも帝王切開せず出産する予定だそうです。
 この2人が以前たまたま治療院で会ったことがあります。同じ病気だと知り、嬉しそうでした。その2人が、妊娠したのです。彼女たちの予定日は4月27日と5月3日です。私が必死になって施術した二分脊椎症患者さんです。まるで自分の娘の出産を待つ気分です。
 妊婦さんを圧すときは、特別な気持ちが湧きます。赤ちゃん、そして新米ママ、頑張ってね!!


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