「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

「鳩山法相は死に神」、朝日新聞の報道に反論

2008年06月23日 | 雑感
  法務省は17日、88~89年に東京都と埼玉県で起きた連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚(45)ら3人の死刑を執行した、と発表しました。宮崎については、実に犯行から20年目でした。 
  これを指揮した鳩山邦夫・法務大臣に対し、朝日新聞が18日夕刊の記事で、「死に神」と切り捨てた、と新聞・テレビ等のメディアで盛んに取り上げました。産経新聞(H20.6.21)では次のように報道しています。

 「『死に神』と鳩山法相を表現したのは、18日付朝日新聞夕刊のコラム『素粒子』。約3年の中断を経て死刑執行が再開された平成5年以降の法相の中で、鳩山法相が最も多い13人の死刑執行を行ったことに触れ、『2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神』とした」  

  朝日新聞の記事に対して鳩山法相は、「…そういう軽率な文章を平気で載せることが世の中を悪くしていると思う」と批判し、不快感をあらわにしています。  
 
  そもそも死刑が確定した場合は、日本において死刑執行を最終判断するのは、刑事訴訟法の定めにより法務大臣が指定されています。同時に、死刑判決確定後6カ月以内に執行されなければならないというのが規定です。 
  死刑の存廃ははさまざまに論議されていますが、いまだ決着はついていません。私には私なりの意見がありますが、ここではその是非を論じることはいたしません。

  しかし日本は法治国家です。現在死刑が存続しており、「判決確定後6カ月以内に執行」と法で定められている以上、法の定めに則って粛々と行うのが法相の務めでしょう。 
  ところが執行の判を押すのを嫌い、在任期間中に1名も死刑を執行しなかった法相が複数いるのも事実です。もし、個人的な意見、持論といったもので実行をためらうなら、その任に就くこと自体がおかしいのではないでしょうか。首相から声がかかったときに、理由を明らかにして法相就任を固辞すべきでしょう。  

  今、職務を粛々と果たそうとする鳩山法相を、「2カ月間隔でゴーサイン」「新記録達成」「またの名、死に神」と揶揄(やゆ)する。「悪法もまた法なり」(ソクラテス)です。もちろん死刑制度が悪法だと言っているのではありません。「法の厳守」こそ大切だということなのです。  

  死刑囚の家族も、あるいは「これによって罪の一端でも償ってくれた」と、悲しみの中にも厳粛な気持ちになっているかも分かりません。 
  それをこんな軽い、嘲弄するような言葉で汚していいのでしょうか。私は筆者の見識を疑います。

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お掃除ロボット、助手として力を発揮!!

2008年06月20日 | 雑感
 「お掃除ロボット」が開発されていることは、以前から知っていました。しかし数年前に私が知ったころは、40万円近い価格に設定されていました。気にはなっていたのですが、あんまり高価なので買い控えていた、というのが実情です。 
  ところがある日、夫が「掃除ロボットがずいぶん安くなって通販で扱っているよ。欲しいんじゃないのか」と声をかけてきました。かつて私が欲しそうに話すのを覚えていたようです。聞けば高値のときの20分の1程度の値段、一も二も無く「頼んでください」と言っていました。  

  人気が高いらしく手元に届くのに1カ月もかかりました。今使い始めて約ひと月です。私の当初の期待は、次のようなものでした。  

 ≪私に代わって、勝手にお掃除してくれる夢のような掃除機! スイッチONで、あとは縦横無尽に働いて掃除をしてくれる。留守の間にお部屋はピカピカ≫  

  そんな「夢の自動掃除機」のはずだったのです、しかしこの思惑はハズレでした。ロボットは、スタートさせるとまずクルクル小さな円で回ります。その円が少しづつ大きくなって、何かにぶつかると方向を変えます。ぶつかる度に方向を変えたり、また一定の距離を直進すると方向を変えます。 
  机の下なども、ぶつかっては方向を変えながら、上手に掃除ができますが、“ゴミやホコリの存在をキャッチして動くわけではない”ので、隅から隅まで、くまなく綺麗に掃除をというのは無理のようです。どうしてもやり残しが出てしまいます。  

  1時間タイマーをかけて作動させておくと、全体には綺麗になった感じにはなりますが、ゴミの存在は無視して好き勝手に動いているので、仕上げにはやはり人手が必要です。  
  そこで考え方を変えて、ロボットにまかせ切りにするのは止め、私の掃除の助手に徹してもらうことにしました。  

  治療室は全面畳敷きで21.5畳あります。ここを毎朝ホウキで掃き掃除をすると、結構時間がかかります。仕事場の畳を大切にするためと、仕事で使える身体をつくるのが目的で、私はもくもくと毎朝掃き掃除を続けてきました。 
  ところがホウキでの掃き掃除は、ゴミが戻ってしまいがちです。そこで、掃くときにロボットを一緒に作動させておくと、吸い込んでくれるのでゴミの戻りがなく、掃除時間の短縮に役立つことが分かりました。  

  かなり色々な方たちから、このロボットの実用性について質問されます。私はプラスだと感じていますので、聞かれたら購入をお勧めしています。ただ考え方は人それぞれでしょう、使用された感想はどうでしょうか?
 

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心身ともに自然に溶け込めた箱根の宿

2008年06月16日 | 私の趣味

  6月9日(月)前夜から降っていた雨は、出かける頃には上がっていました。天気予報ではこの日は雨と報じられていたのですが、私は「晴れ女」です。内心、傘はいらないはず、と思っていました。案の定、お天気はすっかり回復しました。 
  朝一番で鈴木林三先生の指圧を受けて、12時10分新宿発の小田急線・特急ロマンスカーで一路箱根湯本へ。  

  知り合いが1年も前から予約していた箱根・宮の下の宿を、どうしてもキャンセルしなくてはならなくなった、と残念がっていたので、その権利を譲り受けたのです。 
  その宿は、箱根で最も予約が取りにくいと言われる中の1つ「箱根吟遊」です。しかも当日は私の仕事がお休みです。迷わず譲ってもらうことにしました。夫には事後承諾のかたちになりましたが、彼も楽しみにしてくれました。  

  久し振りの箱根です。まず初めに、箱根湯本に行く機会があったらぜひ買い求めたいと以前から思っていたお菓子、「ゆもち」を買いに行きました。可鹿荘の前にある、「ちもと」という和菓子やさんでしか買い求められない、品のいいお菓子です。機会があったらぜひお試しください、お奨めの一品です。  

  実は、私が行ってみたいと思っているホテルの1つが、バリ島(インドネシア)のウブドにあるアマンダリリゾートです。タイのプーケットにアマンプリが誕生したのを皮切りに、現在では12カ国に18ものリゾートがあるそうです。いずれも世界のホテルランキング上位の常連を虜にして、身も心も魅せられる極意がアマンリゾートにはあるといいます。  
  私はかつてバリに行ったことがありますが、宿泊したのはサヌールビーチのバリ・ハイアット。ここも素敵なホテルでしたが、次の機会はアマンダリリゾートかフォーシーズンズと思っています。  

  今回の宿は、偶然アマンダリのアジアンテイストと和の融合をテーマに造り上げた宿でした。館内は廊下をはじめ、エレベーター内から階段まですべて畳敷きで、足袋で終日過ごすことができます。 
  日頃畳にこだわる私には最高に嬉しい演出です。また宿全体に漂う香りとBGM、照明や調度品などによる不思議な雰囲気が日常の喧騒を拭ってくれます。 
  ロビーはもちろん、ラウンジ、バーカウンター、見張らしのよいバルコニーなど、館内のどこもかしこもとにかく居心地がいいのです。読みたい本ややりたいことも用意していったのですが、2時半にチェックインしてから寝るまで、何もしないでただボーッとしていました。目の前に迫る山の緑に見とれ、花の素晴らしさとこんなに色々な鳥がいるのか、と思うほどのさえずりに聞き入っていました。  

  木々の隙間を通り抜けてくるそよ風は格別です。暑くもなく、寒くもなく、お風呂上がりにバルコニーでくつろぐと時間を忘れてしまうのです。 
  部屋の露天風呂もゆったりした造りで、そのまま脇のソファーで満天の星を楽しみました。花鳥風月と満天の星を思う存分満喫でき、極上の時間を味わうことができました。
  機会があったらぜひまた行きたい、と思う宿に出会えたことに感謝します。 (ロビーからの景観。写真は「箱根吟遊」のホームページから)
 


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「肩甲下部」 の動きに画期的な発見

2008年06月13日 | 指圧の活動

  5月23日(金)17時から、川越道場で矢野龍彦先生・長谷川智先生によるグループレッスンが行われましたが、そのおり、肩甲下部の動きに対して画期的な発見がありました。 
  私が指圧で圧(お)すときの動きを長谷川先生に分析していただいたのですが、「この動きはツーボックスですね」ということでした。ここ数カ月、色々な動きの検証やディスカッションがあった末の結論です。  

  「上体が一体で動くように」と教えを受けているので、体環を一個で扱おうという意識が頭のどこかで働いていたようです。今回ハッキリと、それが自覚できました。上体が一体で動くためには、まずこの意識を捨てなければできないはずです。 
  身体の中では、色々な部位がさまざまな微妙な動きをして助けあいながら、結果、上体が一個で動くのだということがよく分かりました。 
  圧すときに頭を働かせてはいけないと分かってはいても、つい「足はこう構えて、手はこうで」等と頭で考えてしまいます。当然不自然な動きになり、身体のあちこちに力が入ってしまいます。  

  今回の画期的発見により、「上体が一個で」動こうと頭で考えてしまう呪縛を取り去ることができました。今までデモンストレーション等、人に見られると動きがまったく変わってしまうのが悩みでしたが、このツーボックスの概念のおかげで解決できそうです。 
  なんだかワクワクしています。身体の「操作」が、少し自由にできるようになった気がします。骨体操5番、初心者マークの背中バージョンができれば、「これぞまさしく指圧体操」だと思いました。 

 「ツーボックス」についての説明は、ここでは省きます。言葉だけの説明は誤解のもとになりそうな気がします。研究会の練習の場で、実際に動きながらの説明にしますのでご期待ください。楽しみです。


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ナンバの動きと日本舞踊の「共通点」に気づく

2008年06月11日 | 分類なし
  仕事上で大変興味深く、面白い体験をしました。 
 
  F さん(女性70歳)は、子どもの頃からずっと日本舞踊を続けている方です。仕事を持ちながら、2人の子どもの育児中も途切れることなく稽古を続けることができたこと、ラッキーであったとつくづく言われています。 
  今ではご自分の会を主宰され、毎年5月には川越で大勢が参加する大きな発表会が開かれます。 
 
  3月のある日、指圧に見えたとき 「そろそろ5月に向けて踊りの稽古を始めなくては」 と仰っていました。  
  F さんは、過去左膝を痛めた経験があり何度か左膝から水を抜いたことがあるそうです。水を抜くと膝は変形してしまいます。複数回水を抜いているのでF さんの左膝には残念ながら変形が認められます。 
  さらに、少し無理をすると痛みが出るのが悩みのタネです。そんなこともあり、忙しさも手伝って、踊りの稽古は多少さぼりがちだということでした。  

  案の定、3月に稽古が始まってすぐ左膝に痛みが出ました。指圧を受けるとすごく楽になると喜んでいますが、稽古が進むにつれ、少し心配になるほど左膝の負担が増してきました。 
  それでもやらなければならないので頑張っていましたところ、発表会まであと2週間と迫った頃、身体中の様子に不思議な大きな変化が見えてきました。なんだか全身がとてもシッカリした感じになってきたのです。  
  F さんも「膝の痛みが楽になってきた」と言っています。どうやら踊りの「振り」が身体に滲(し)み込んで、頭で考えなくても自然に身体が動くようになったようです。 「日本舞踊の動き」は、まさに「ナンバの動き」です。頭で考えないで自然に身体が動けば、これが身体にはプラスになるのだとすぐに納得がいきました。 

  頭で考えずに良い動きができると、それが理想的な自然な動きとして身体に作用することが、F さんのこの2カ月の身体の変化の中に見ることができました。 
  指圧技術上達の面からも、自然な動きを目標としているので、大変興味深い経験でした。F さんがこの2カ月言われていた、生活様式の変化も膝が弱くなる要因だと思う、というのも納得のいく話でした。椅子やベッドの生活を止めて畳でちゃぶだいと布団で暮らしたほうが、足腰のためには絶対に良いはずだ、とも主張されていました。  

  指圧も本物を目指すなら、やはり畳に布団です。技術習得と治療効果の面からはもちろんですが、自分の健康上からも畳にこだわるべきだと改めて感じました。

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目が不自由な柴犬 「クッキー」 の散歩

2008年06月09日 | 雑感

  リードをつけられた色々な犬が、私の治療所の前を散歩で通ります。仕事をしながらそれを眺めているのも結構楽しいものです。

   毎日、ある程度決まった時間に、決まった人が愛犬を連れて通るので、見慣れた顔触れになりますが、時には「今日はあのこ(犬)は、通らなかった」とか「あっ、このこは久し振り! 元気そう」など、ふだんと違った展開もあります。 
  またスタッフと、なんとなく「あの犬可愛いね」とか、「あのこカッコイイね」などと語り、いつの間にか一方的に親しみが沸(わ)いて、知り合いのような気持ちになっていたりしています。  

  それぞれが個性的で可愛らしいワンちゃんですが、以前からなんとなく気になる芝犬がいます。「いやいやお散歩しているのかな」と何気なく思っていたのですが、その歩く姿が少しユーモラスでなんとも愛らしいのです。 
  引っ張られて首輪が頭から抜けそうになり、その首輪に頭の皮が寄せられて盛り上がっています。そしてそのままの格好で、“ヒョイ! ヒョイ!”と少し頭を振るような独特なリズムを刻みながら、小さな歩幅で引っ張られたまま歩くのです。 
  よく見るとうつ向き加減ではありますが、尻尾も真上に上げています。どう見てもいやいや歩いている様子ではないのです。 
  この芝犬が通るのが楽しみになりました。

 「あっ! 来た、来た!」 
  スタッフや、犬好きな患者さんの間でも人気ものになりました。

 「今日は来ないね」
 「さっきあっちの道を行ったよ」 
  いつしか皆で毎日待つようになりました。 
  そんな折、夕方手があいた瞬間にその犬がやって来たのです。仲良しになるチャンス到来です。思わず飼い主さんに声をかけました。  

  かなり話がはずみました。彼女の名前は「クッキー」、15歳のメスだそうです。犬の年齢を人に換算するときは「×7」と聞いたことがあります。いわゆるドッグ・イヤーです。それが正しいとすれば15×7で、なんと105歳! エーッ! 凄い!  

  気の毒に、クッキーちゃんは眼が見えないそうです。そのうえ認知症だというのです。でも散歩に行かないと家では排泄をしないということで、毎日連れて出ているのだそうです。 
  飼い主さんは、時々通りすがりの人に「可哀想に」と言われる、と少し困っていました。動物虐待、いわゆる年寄り犬を無理矢理引っ張っているように思われてしまうらしいのです。たしかに、私にも一見そう思えました。でもよく見るとちゃんと散歩を楽しんでいるようです。 
  眼が見えないので、首輪がぬけそうになるほど引っ張られながら歩くことで、行く「方向」が分かり、安心して歩けるようです。 
  飼い主さんはクッキーの頭を撫でながら、「仕方ないよねー、頑張ろうね」と声をかけていました。私たちも思わず「頑張ってね」とクッキーにエールをおくりました。  

  犬を挟んでの楽しい会話の一時でした。飼い主さんがクッキーに「さ! 行くよ」と声をかけリードを引きましたが、クッキーは私達の前から動きたがりません。何度か促され、やっとまた散歩の態勢に戻りました。ヒョイ! ヒョイ! ヒョイ!。私達のエールがクッキーに通じたようで嬉しくなりました。  

  また驚いたことに、その飼い主さんが私に「ここの先生ですか?」と聞きました。このブログを読んでいて下さる方だったのです。また以前出版した私の本も読んで下さったというのです。
  もう初対面の気がしません、いっきょに距離が縮まったと感じた夕方のひと時でした。
 


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「基本は自己管理」、目を見張るタツヤ君の変化

2008年06月01日 | 素晴らしい指圧効果
 「『599グラム児に脊髄縫合』― 慈恵医大、世界最軽量で成功 ―」 
  毎日新聞(H20.5.17)紙上で目に留(と)まった記事です。 
  二分脊椎症の障害を持って生まれた599グラムの超未熟女児に対して、生後2日目に、顕微鏡を使って開いた脊髄を縫いあわせる手術に成功したものです。女児は3285グラムに成育し、無事退院したという報道でした。直径2ミリの脊髄を、髪の毛の10分の1の太さの特殊糸で縫合したそうです。  

  二分脊椎症の発生率は10万人に6人の割合だといいますから、日本にもこの障害と戦っている大勢の患者さん(その家族も含めるとかなりの方々)がいらっしゃるわけです。 
  しかし一般には、この病名も症状も、知られていないのが現実だと思います。私も知りませんでした。不勉強といわれるかも分かりませんが、タツヤ君と会って初めて知ったのです。 
  やがては人口肛門、人口膀胱へ、さらに車イスの生活を余儀なくされることが彼等の行く道だというのです。現代医学でこんなことが常識とされていることに納得がいかず、今タツヤ君と症状改善のためにチャレンジしているのです。  

  私は指圧師ですから、身体を圧(お)しながら彼の変化を観察できますので、細かく身体の状況をチェックして、安全を確認した上で進行しています。 
  昨年9月から、桐朋学園大学教授の矢野龍彦先生と同講師の長谷川智先生が、タツヤ君のために毎月私の治療所に来て下さっています。彼を対象にした体操「チャレンジ・ナンバ」も順調に効果が上がり、好転ぶりはまるで奇跡を見るような思いです。 
 
  5月の体操指導は23日(金)に行われました。タツヤ君の身体の各部位はかなり緩(ゆる)んで、動きに大きな変化が出ています。  

  この障害の特徴の1つに、先足歩行があります。踵(かかと)が地面に着かずにつま先で歩くのですが、今ではほぼ踵が着きそうなほどに変わり、歩く後ろ姿を見ると、近所の人でも彼とは気がつかないほどです。 
  今月はその辺を徹底する体操が処方されました。彼にとっては非常に難度が高い体操です。しかし、「よしっ! 村岡先生! また来週から頑張ろう!」とやる気満々です。  

  タツヤ君の治療を決心してから、私は浪越指圧と骨体操(矢野・長谷川両先生が考案された体操)を併用して、高い効果を上げることに成功していました。 
  本来なら、本業である指圧のみのお付き合いでも十分なのですが、なぜ体操の分野にまで出しゃばってやっているかというと、常々仕事上感じていたことが、彼を通してハッキリつかめたからです。  

  それは「身体の基本は自己管理」という単純なことです。自分の身体のさまざまな「訴え」に、耳を傾ける習慣を彼に持たせたい、と強く思っています。障害を持つ彼は、人に手をかしてもらうことに慣れきっています。 
  基本指圧は大変有効なのですが、彼の場合100%頼りきりになってしまうのが目に見えていたのです。当然のことですが、私が一生彼のそばにいてあげられる訳ではありませんから、「頼り切り」を捨て、「自分の身体と対話して生きていく」ことを覚えて欲しいと願ったからです。その上でお手伝いできる分を指圧で、というのが私の考えなのです。  

  今はありがたいことに、矢野先生と長谷川先生が、ご厚意でタツヤ君のためのメニューを組み込んだ体操を考えてくださり、ご指導くださっています。そんなわけで私の指圧はギリギリ2週間に1度の割合で対応しています。  

  日本中、いや世界中には、かなりの数の二分脊椎症と戦っている方々がいるはずです。その方々の希望の星となれるよう頑張りたいと思っています。

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