「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

二分脊椎症の女性2人、健康な男女児出産の大吉報

2021年05月31日 | 指圧の活動

 今年1月10日付のブログに、患者さんの二分脊椎症の女性2人が、結婚して妊娠したという嬉しい記事を書きました。出産予定日が、4月末と5月初めでした。治療院の患者さんたち(他の二分脊椎症の方なども含め)にも、話しをしていたので皆さんが、4月あたりから「そろそろですか?」とか、「生まれましたか?」などと声をかけてくださる方が多く、よく覚えてくださっていて驚きましたし、凄く嬉しく思いました。

 これらの嬉しい反応に、「皆さんが期待して待っている赤ちゃんなのだ」と改めて思いを強くしました。予定通りに出産となれば、数日間に2人の赤ちゃんが誕生する予定です。
 一日千秋、頭の中は四六時中赤ちゃん誕生のワクワク感でいっぱいでした。少し早めの4月20日と4月27日に、2人とも無事出産しました。母子ともに健康、3千500グラムの大きな男の子と2千968グラムの可愛い女の子です。

 母体が妊娠中に指圧を受けて生まれた赤ちゃんは、頭部顔面が整った形で生まれ形がきれいだといわれます。健康的にも恵まれているのでムダ泣きせず、とても育てやすいと喜ばれます。今回のこのニュースは、私が二分脊椎症の患者さんと関わり始めて13年目の一大吉報です。 

 「以前は、普通の方のような生活は、望めないと諦めていたのですが、このように出産できて夢のようです」

 彼女たちが異口同音に言います。指圧を通してこれほどの感動に出会える、私はすべての出会いに心から感謝しています。
 まだまだこれからがほんとうの私の出番です。赤ちゃんたちの成長を見ながら、その時々に少しのお手伝いができるように控えていようと思っています。


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脊椎側弯症38度の男児、基本指圧で改善にチャレンジ ③

2021年05月19日 | 指圧の活動

 5月1日、ダウン症の11歳男児に対し、脊椎側弯症の指圧治療第3回目を施療しました。彼の状況を少し落ち着いて観察できるようになり、やっと全体像の把握ができるようになりました。
 来院し、駐車場から支えられて治療室で横になるまでの様子を動画で撮って、繰り返し見ました。すると、コミュニケーションが上手く取れないと思っていたのは、自分の勘違いではないかと気づいた箇所があったのです。
 動画を見ていると、彼の行動はそれなりに意味のある動きだと分かってきました。私が、彼の表情や動きを理解できなかっただけかも知れません。言葉ではうまく言い表せませんが、どう見ても体では色々なことを表現していると思えてきたのです。お父さんの言葉が、「委ねていますね」と私の耳に響いてきます。

 基本指圧で「圧す順番・圧点」などは、彼の状況に合わせて変える。受け手の姿勢も臨機応変に整え、1点でも多く効率の良い圧が入ることのみに集中して行こうと決めました。
 この日、治療を終えて帰りぎわに、彼が私と視線を合わせてくれました。しかも2回もです。お母さんがそれを見ていたようです。「信頼を持つと、そうします」と話していました。
 今回の治療でいちばん問題だと思ったのが、圧し手と受け手、お父さんとお母さんの四者それぞれが一生懸命なのですが、皆の気持ちがなぜか1つになり切れていなかった。彼の行動に振り回されて、治療の方向性が明確になっていなかったように感じます。目標は、脊椎側弯症を改善することなのです。だがなぜか治療がうまく進まないので、実際に悩んでしまいます。

 大きな原因の1つは、両親の治療に対する意見の相違だと感じました。今まで受けてきた治療師の施術の影響でしょうか? 1回目・2回目の私の状況把握が甘かったこともあると思います。
 整形外科では「治らない」と言われている脊椎側弯症です。その改善を基本指圧で目指すためには、これらを整理することと、ご家族に納得してもらうことが大事だと思います。特に子供の治療は、成功する大前提に皆が、同じ気持ちで心を1つにして改善に向かうべきです。

 改めて指圧治療の出発点に立ち返っていきたい。心を1つにして、何も考えずにシッカリ圧したいと思いました。


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脊椎側弯症38度の男児、基本指圧で改善にチャレンジ ②

2021年05月14日 | 指圧の活動

 紹介者の H 先生に彼が自閉症であることを確認してみました。「そうですよ」と、アッサリした返事が返って来ました。「ダウン症+自閉症+側弯症」です。これを知っていたら自信を持てないのでにお断りしたかも知れません。
 10数年前、自閉症の指圧治療を2名行ったことがあります。色々工夫し勉強し、辛抱強く挑んだのですが、まったく歯が立たず断念したことがあるからです。私は自分の師匠から「指圧は頭で考える前に、なんでも『先ず圧してみる』こと」と教えられました。ですからいつも「まず圧してみる!」と、食わず嫌いはNGだと思ってきました。私としては、ずいぶん怖気ついたものです。しかし今回は深く反省しました。

 4月24日、彼が予定通りに来院。前回と同じく入口で抵抗したのですが、お母さんの誘導であえなく中へ入り布団にゴロン! お父さんが、「3~4回目くらいで慣れますから」と。お母さんは、先日リハビリ(PT)の先生が、彼を見てしきりに「何か違う?」と頭を捻っていたと聞きました。スタッフも確かに「違う」と思っていたようです。この言葉に、私は「前回の治療効果か?」とわずかに期待しました!
 この日の治療も彼を押さえつけることから始まりました。前回、“無理やり指圧”に見えると思いましたが、圧してみると前より圧の通りがよく、体が指圧を受け入れているのが分かりました。苦労しながらも圧した手応えでしょうか?

 前回と同じく、頭部指圧は好きらしくジッと味わっています。圧す指と受け手との不思議な一体感を感じます。言葉や表情や手足・体の動きなどに細心の注意を払いつつ、コミュニケーションも留意し、彼の一瞬の変化を見逃さないように圧すことは至難の業です。
 通常行う基本指圧の手順や、圧す姿勢などがすべて違います。受け手の状況によって、どう圧(お)せば圧(あつ)が入るかを工夫します。
 子供の治療では、これと近いことをしてきているので慣れてはいます。前回と同じ、横臥位の右肩甲下部に抵抗があり嫌がります。「ここ、痛いのかな?」。確かに肋骨が、異様に曲がりすぎてはいます。ここは、前回より湾曲が、ひどくなっています。その部分は、特に控えめ慎重に圧しました。

 彼が、指圧を受け入れているのを確信できたので、シッカリ向き合おうと気持ちを新たにしました。腹部指圧のときは眠ってしまい、いちばん大事なお腹(なか)を存分に圧すことができました。ご両親ともに「いつもこんなに眠り込むことはないです」と、不思議そうに話していました。
 爆睡中でしたが、「終わったよ」「帰るよ」との両親の声にやっと目覚め、眠そうにして帰って行きました。でも圧した感じでは、弯曲が38度より進んでいるように感じたのですが? 次回は、2週間後です。圧すことで出る効果は、かなり個人差があります。おおむね信頼関係に比例するように思います。


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脊椎側弯症38度の男児、基本指圧で改善にチャレンジ ①

2021年05月02日 | 指圧の活動

 これまで脊椎側弯症の治療を基本指圧で行い、総合医療療育センターの整形外科医師に「治っている」と認められた事例があります。
 今回は、日本のダウン症研究第一人者 H 先生から紹介された、11歳のダウン症男子の例です。彼は急激に身長が伸びると同時に側弯症を発症。角度38度で、療育センターの医師から指圧治療を勧めてもらったそうで、H 先生を通してお話がありました。

 電話で、まず親が指圧を受けて納得された後、予約してもらうことにしました。子供の治療は、いつも親の納得の上で行っています。
 4月17日に治療院へ初めて当日、お母さんが、彼の身体を支えながら歩を進めて何とか到着。 前もって、「脚が悪いのであまり歩けないが、車椅子スペースはありますか?」と問い合わせがあったので、「治療院は、入り口が広く車椅子もOK」と伝えてありました。

 まずお母さんの指圧。どういうものかを体験してもらいます。
 ついで本人の治療です。初めての場所は拒否しがちだとご両親が説明されていましたが、彼は来ると体を重そうにして畳にゴロン! 極端に筋肉が萎えていて、座っているのも大変です。先ず、お父さんが畳に座ってその股の中に彼を抱えた形でお話を伺うことしました。
 ご両親が、「これを持たせると落ち着くので」と出されたのが「玩具」。大きな音を出す丸い玉が3~4個付いて、振り始めるとずっと「コンコン、コンコン」と鳴り続けているのです。これには驚きました。私の治療院は狭いうえ、耳に響く大きな音です。別に治療を受けに来ている患者さんもいます。まいりました。

 そのうえ私は11年前に重篤な脳出血を患い、後遺症で大きな音や強い光でてんかん症状が起きてしまいます。恐怖を感じたので急ぎ発作止めの薬を飲んで対処しました。圧し始めは本人の抵抗をご両親が抑えつけての治療です。これが治療? 私も初めての経験です。どう考えてもこれでは「無理やり指圧?」です。
 急展開の勢いにのまれ、そのまま圧す羽目になりました。でも気持ちがいいのか、ずっと動いていたのが、ジッと指圧を味わっている時間が増えてきたのです。私の指と彼の身体とのコミュニケーションは、取れているとの手応えも十分でした。H 先生からは、ダウン症を持つ脊椎側弯症と聞いていました。でも、どう考えても「プラス自閉症」?

 子供の治療のときには、気を付けていることがあります。
 *できるだけ手短に飽きないように圧す。
 *ダウン症の場合は、独特の緊張を理解。
 *自閉症はコミュニケーションの取れない状況を覚悟。
 *今回は激変する脊椎側弯症38度。この角度がどの程度改善できるか?

 これらをプラスした指圧治療の第1回目は、終わってみたら不思議な満足感を得た治療でもありました


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