「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

経験のない厳しい外反母趾、7年間の激痛が1回の指圧で消える

2016年01月31日 | 分類なし

 ダウン症では日本の第一人者といわれる医師から依頼され 、Mさん(27歳、女性)に指圧治療を行うことになりました。彼女はダウン症ですが、約7年間、睡眠が阻害されるほどの外反母趾の痛みで悩んでいるということでした。初めに、「外反母趾の指圧は一般的に改善まで時間がかかる」と説明して取りかかるつもりでした。

 主訴は左足指の痛みです。初診時、彼女の足を見て本当に驚きました。確かに「外反母趾」ではあるのですが、それは想像を絶する状態でした。足指が、10本とも正規の位置に並んでいません。
 しかも、上足底(足裏の指関節の根元に近い所)に、非常に大きなコブ状のものができていて、医師は「粉瘤(ふんりゅう)」と診断したそうです。切除手術で取るかどうか、判断に迷った結果、今に至っていると母親から聞きました。 

 私がいちばん気になったのは、第1指の位置が陥没して、第2指がその上に重なっています。足を裏側から見ると指が4本しか見えません。本来身体は、仰臥位になった時、第1指が下がってしまうと、「もう歩きません」 と言うメッセージだと、指圧学校の実技講師に教えてもらったことがあります。
 このコブ状のものがあることで、第1指が下がっていても、かろうじて歩けていたのでしょうか。であれば、「身体の意思」は改善したいと訴えている、と思いました。ダウン症の彼女は言葉を発しません。でも圧すことで、彼女の意思はよく分かります。同時に人の身体の不思議を感じて、何とも言えない気持ちになりました。

 この状態を見た時、「さて如何したものか?」 と思いつつ 、「やるしかない!」 というのが結論でした。ところが何と! 全身指圧1回でみごとに痛みは取れました。痛いその部分だけを圧しても、こういう効果は出ないのです。基本指圧のありがたさを圧し手としても強く感じ、本当にホッとしました。現在、痛みは取れましたが、このままでは、いつまた痛くなるかわからないし、反対側の足も同じような変形が、進んできています。
 しばらくは2週間に1回のペースで圧すことにしました。彼女は、とても指圧が気に入ってくれたようです。

 お母さんが、彼女が通っている施設で、障害福祉サービスのモニタリング報告書を持ってきて見せてくれました。
 「足の調子が、良く…」 と、書類の中のあちこちに、指圧に通って喜んでいる様子が、たくさん書かれていました。
 きわめつけは、初めて参加した運動会で走っている写真を持って見せてくれました。走れるようになっていたのです。

 このケースは、私が経験したことのない厳しい外反母趾ですが、彼女やお母さんと一緒に頑張ってみたいと思っています。粉瘤といわれるコブも、わずかずつ小さくなり始めたように見えます。しかし粉瘤の中は「垢(あか)」のようなものらしので、果たして小さくなるものかどうかはわかりません。また報告ができる日がくることを楽しみにしています。それまで…。

初めて目にした厳しい外反母趾


足裏には巨大な粉瘤もできている


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ダウン症の H ちゃん、「指圧で脊椎側弯症が完治」と医師も認める

2016年01月21日 | 指圧の活動

 Hちゃん(女性・16歳)はダウン症です。2年前の春、整形外科で脊椎側弯症との診断を受け、ダウン症の日本における第一人者である主治医から、「指圧でなんとかできないか?」 と相談を受けました。私は数人ではありますが、以前から指圧で側弯症の改善や完治をした経験があります。しかも彼女は、まだ(当時)中学3年生です。側弯症は原因が解らず、小学生後半から成長が終わるまで(18歳くらいまで)進行していく可能性が強い病気です。整形外科では「一生治らない」と言われ、プラスチック製の装具(コルセット)を使うか、ひどくなれば外科手術をしなければならないのです。
 手術は背中や脇を切開して、椎骨を金属棒やネジ、フック、ワイヤーなどを組み合わせて矯正して止める大掛かりなものです。お母さんは、本人にとって苦しいコルセット装着に納得できず、もちろん手術はいや、「なんとか方法はないものか?」 と、医師に相談して私のもとに話がきました。私は、即座に「まだ15歳。何とかしてあげたい」と思い、申し出を受けることにしました。彼女の側弯症の角度は27度です。都内在住なので、川越までお母さんが運転しての来院です。

 初診時、圧し始めて私は、自分がウッカリしていたことに気がつきました。ダウン症の患者さんに多いと思いますが、異常なほどに緊張感が強く、身体を圧されると力が入り、体が硬くなってしまいます。彼女もそうでした。圧すこと自体が大変で、ほとんどのところが圧せない状態から始まってしまいました。指圧治療で「圧せない」となると最悪です。
 
少しずつ慣れてもらうまでかなりの時間を要しました。地道に、少しでも多く圧せるように…。必死にそのことだけを考えて、工夫しながら圧すので大変苦労しました。思うように圧せない苦労はありましたが、彼女独特の可愛さが救いで、指圧治療を続けることができたと思います。はじめは1ヵ月に2回の治療でした。その後、彼女が受験生なので、治療は受験が終わってから、 ということで小休止にしました。
 
 
高校に進学した去年の春から指圧を再開。この時点で側弯症の角度は17度に改善していることが整形外科のレントゲン検査で確認されました。子供は、大人と違い身体が改善の方向に向くと、病状がそれほど進まないことはよくあることです。また新しい学校は通学が遠路なのでそれだけでも疲れますから、指圧は月に1回ぐらいのペースで治療しました。それでも一回一回良くなって行くのが感じられましたが、昨年暮の1221日に、レントゲン検査で完治していることが確認されました。
 
レントゲン写真で見ますと、彼女の緊張感が最後まで取れなかったため、治療上大事な部分である鼠蹊部、第5腰椎と第4腰椎間が僅かな歪みが残っていたのですが、これが圧した感覚と同じなのがとても興味深かった。心身障害児総合医療療育センターの整形外科T医師が、「指圧で良くなった」と認めてくれたことを、私はもちろん皆で心から喜び合いました。
 
最後まで圧させてくれなかった鼠蹊部抜きの指圧治療 、これも私にとって初めての経験でした! 勉強になりました。 

 ところで去年の9月から、側弯症70度の方(女子)を指圧しています。「70度」というのはどんな状態なのか? 経験がない角度なので緊張して待ちました。なるほど、これは少々時間がかかる、と初診時に思いながら始めています。整形外科では、手術を勧められても仕方がないのです。彼女も、この暮の(1225)レントゲン検査で、「経過観察」 になりました。ご両親は、とにかく、手術を阻止したいと思い、来院されています。また報告します。

 写真が縦並びで見にくいかと思いますが、ご容赦ください。上から 順に、4枚を説明します。
① 2013年8月1日のレントゲン写真。立位27度です。
② コルセットを装着し11度に矯正。頸部が無残に曲がる。
③ 全身指圧を2週ごとに受けて半年経過。
④ 立位なので、これぐらいの歪みは問題ないと診断された。圧せなかった第4腰椎と、第5
 腰椎の間に少し歪みが残った。
【お断り】 医師からレントゲン写真のコピーをいただいたのですが、1・2枚目は写真が

転しているようなので左右が逆になっていますがご了承ください。また、写真を横に並べよ
うとしたのですがうまくできず、縦長に並べてしまいました。お見苦しいと思いますがよろし
くお願いします。










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新年のご挨拶

2016年01月01日 | 分類なし

   謹んで新年のお喜びを申し上げます。 

 昨年は一方ならぬお世話になり、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年が皆様にとってより良い年でありますよう、心からお祈りいたします。
 私が病に倒れ、仕事に復帰して5年目を迎えます。体調を考え、以前と比べ仕事量を減らしていますので、多くの方に大変ご迷惑をかけ、心苦しく思っています。
 しかしこのところ勉強会をとおして、基本指圧に対するスタッフの技量が大きく進歩しております。指圧師の国家試験を優秀な成績で突破してきた者たちです、必ず皆様のご期待に応えることができると確信しています。
 
今後ともいっそうのご指導、ご鞭撻をお願いいたします。  

  2016年元旦        村岡曜子治療院  村岡 曜子


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