5歳女児のCちゃんは二分脊椎症。当治療院には月に1回来院し、お母さんと2人指圧を受けています。2歳の時から自宅でお母さんがCちゃんを圧し、その効果を確認しながら治療院で指圧治療を続けているのです。
その間、お母さんの熱意をひしひしと感じてきました。将来的には、必ず目的が果たせることを確信して楽しみにしています。
そんなお母さんが昨年春、整形外科医からCちゃんのアキレス腱手術を勧められました。医師は子供の将来を思っての提案ですが、お母さんはとてもショックを受けていました。その気持ちはよくわかります。手術までには間があるので、その間の指圧治療で手術を回避できないかと相談されました。
もともとたいへん意欲的なお母さんです。圧し方を覚え自宅で一生懸命実践しました。成果は、みるみる出てきました。動画を撮ったのを見比べて見ると明白です。嬉しさがこみ上げる結果でした。
ところがその後、9月に動画を見たときには彼女の動きに若干のいい変化は感じましたが、体調によってはある事かなと思う程度でした。10月の撮影結果には「夏の疲れかな?」と陰りを感じました。
Cちゃんの動きは、11月から12月と変わってしまっています。新年になり、Cちゃんの動きは、よかった当時と比べると、明らかに後退していました。いったい原因は何? 納得できません。
二分脊椎症の子供達の光になる、とお母さんと一緒に頑張っていたのに? 歩行改善は可能との手応えをしっかり掴んでいたのですが…。さすがに悩みました。
この日、いつものようにお母さんを圧し終えた後、Cちゃんを圧しました。彼女のお腹を圧して、すべての謎が解けた気がしました。その原因は、「コロナ騒ぎ」だったようです。大人はもとより子供達の生活全般まで、コロナによるしわ寄せで様変わりしています。日々、窮屈を強いられています。
Cちゃんの腹部には、人間がマイナス感情(不安、恐怖、怒り、ショック等々)を持った時に出るコリが強く出ていました。大人の腹部にはよく出るコリですが、子供ではあまり見ないのです。圧す私の方がショックでした。こんなコリを作っていたCちゃんを愛しく感じました。
「シッカリ圧してあげよ!」
Cちゃんの普段の生活を聞いてまたまたショックを受けました。子供の環境の中にそうとう深く「コロナ」が染み付いていることを改めて知り、言葉が出ませんでした。
たとえば、ある日の保育園での昼食用意中、Cちゃんが箸を床に落としてしまい拾おうとした時、先生が焦ったように「ジッとしてて」と大声で指示。彼女はそこに立ちすくんでいたそうです。先生は、クラス全員の配膳後、Cちゃんを洗面所に連れて行き、手洗いと消毒の後やっと席に戻したそうです。先生方もコロナ患者を出さないように必死なのですね。
でも、子供はそれまで当たり前だと思っていた行動を大声で制止され、戸惑ってただウロウロするばかり。その時のCちゃんの様子が目の前に浮かびます。一事が万事、このような事ばかりでは大人も子供も堪らないと言葉を失いました。コロナ禍の生活は、子供達に行動の制限を強く課している現実を突きつけられました。
Cちゃんを圧して、すべてにおいて合点がいきました。思い返してみると9月・10月あたりから、コロナが増え始め加速してきました。それに伴ってCちゃんの動きが退行してきたのです。コロナ生活のストレスにより心身共に辛くなってしまったのだと思います。可哀そうに、しかしコロナに負けてはいられません。一緒に頑張ろう!