「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

猛暑の中の清涼剤、曼陀羅華に心和む

2010年07月30日 | 私の趣味

 昨年夏のことでした。鈴木林三先生の治療所で、先生が丹精されている草花がみごとに開花したのを見て、思わず「これは何という花ですか?」と聞いたことがあります。曼陀羅華という朝鮮朝顔の原種であることを、初めて知りました。

 白い花ですが、渋みのある葉の色が花の清楚さをより引き立たせています。花と葉の相性の素晴らしさに、さすが自然の世界は素晴らしいと心底感心しました。こんな素敵な花の柄の着物が着たいなぁ、などと思ったほどです。先生にお願いして、種を少しいただきました。5月頃が巻き時と聞いたので、ティッシュにソッと包み大事にしまってそのときを待ちました。

 ゴールデンウィーク前々日。
「よし、今日がいい!」

 新しい植木バチに土を入れて、種をソッと蒔きました。日当たりのよい場所に置き、毎日水やりを欠かさずに芽が出るのを待ちました。可愛らしい双葉がでてからは順調に育ち、あの清楚な白い曼陀羅華を毎日楽しめるようになりました。「種が取れたらほしい」との予約がたくさんあります。

 250年前、華岡青洲が世界で初めて、全身麻酔で乳癌の手術を行ったのは有名な話です。後に西洋薬学の発達により、華岡青洲が生み出したこの「痛仙散」といわれる麻酔薬は使用されることがなくなりました。当時、治療所・医学校・住居を兼ねた春林軒の青洲のもとに、全国から全身麻酔を学ぶために若い医師が大勢訪れたそうです。その医師たちにより痛仙散は、各地で多くの病人を助けたといわれています。

 曼陀羅華がその痛仙散の主成分であることは、様々な調査で明らかになっています。曼陀羅華の実の部分が用いられ、その他にトリカブトなど五種類の薬草を配合して作られたといいます。

 ひとつ間違えると人の命を奪ってしまう劇薬の痛仙散です。この成分分量は文字に残してはならないとのかたくなに教えが守られていて、文献として現存しないといいます。それゆえ、今でも正確な痛仙散を再現することはできないそうです。

 そんな毒を持つ曼陀羅華が、この夏の厳しい暑さの中で美しい姿を見せてくれます。猛暑の中の一服の清涼剤となった美しい白い花。理屈抜きで素敵です。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

同窓会実技研修会、研究会から25名が参加

2010年07月27日 | 指圧の活動

 7月25日、同窓会主宰実技研修会に参加するために、午後1時で仕事を切り上げて、後楽園の日本指圧専門学校に急いで出かけました。目指すは2時20分から始まる、鈴木林三先生の「医業のための基本指圧」研修です。

 今年は25名の基本指圧研究会々員が参加し、共に実技研修に臨みました。外は異常な酷暑ですが、その暑さにも負けない熱意で指導を受けました。夏の1日、母校の道場で新旧入り交じって勉強できる幸せをつくづくかみしめた、有意義なひとときでした。

 私は実技研修が大好きです。いつもこれが一番楽しいと感じています。この日も、何ともいえない充実感に満ちた時を過ごすことができました。会長はじめ、執行部の方々の並々ならぬご尽力に心から感謝いたします。ありがとうございました。

 またこの会の発足当初から会の発展に情熱を注がれた幹事長には、感謝という言葉だけでは言い尽くせない気持ちで、ただただありがたいと思っています。参加さえすれば、いつでもちゃんとした技術が学べる、そんな場があるのは本当に安心です。この研修会が末永く発展することを心から願っています。一流の人ほど人一倍精進し、必死に練習しています。私たちは天才の術を身に付けたいと思うのですから、ただひたすら練習する以外ないのです。

 この日教えていただいたことを今後の練習でしっかり身に付けて、次回11月の名古屋地方研修会に臨もうと思っています。
 
ありがとうございました。
 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポスト印象派展、「パリの粋」を味わう

2010年07月26日 | 私の趣味

 六本木の国立新美術館で開催中の、「オルセー美術館展2010『ポスト印象派』」を見に行って来ました。パリのオルセー美術館が全面改装中につき、このたび115点もの作品の来日が叶ったのです。

 絵画好きとしては、日本に居ながらにしてパリのオルセー美術館を堪能できることになったのですから、見に行かないわけにはいきません。さすがの人気で入場制限20分待ちの列ができていましたが、ありがたいことにクーラーの効いた屋内での行列なので、この日の猛暑は苦にならずに済みました。

 館内は、かなりの混雑でした。おおまかですが、画家別の展示はなかなか見やすくてよかったと思いました。ただ残念なのはゴッホ、ピカソはオルセー自体のコレクションが貧弱なのか? との疑問を感じざるを得ず、あれでは反って展示しない方がいいのではと思いました。

 私のすぐそばでゴッホの作品を見ていた方が、「ゴッホってどこがいいのか分からないわね」と。私は「ゴッホは本当にとても素晴らしい画家なのよ! ぜひオランダへ行って見て下さい。心底感動ものですよ」との言葉が喉先まで出て来そうになるのを押さえるのに必死でした。

 ロートレックもしかりです、私が何度かみたことのある力強い3作品が展示されていましたが、あれだけでロートレックのよさは理解できないだろうと思いました。

 ポスト印象派展なのでドニやドガ、シスレー、スーラ、ピサロ、ボナール、ベルナール等々といった19世紀と20世紀の画家達中心での開催なのですから、これはこれなのだと理解することにしました。アンリ・ルソーに至ってはコメントのしようがありません。

 個人の好みの問題ですからそれを批評しようとは思いませんが、印象派はやはりモネ、マネ、セザンヌ、ルノアール、ファン・ゴッホ、ピカソ、ロートレック、ゴーギャン等々。技巧に走らず雄大で、温かく伸びやかでゆったりした時間を有する、壮大な感覚の前期印象派の画家達の作品が個人的には好きだと今更ながらによくよく分かりました。

 会期は8月16日までです。「粋なパリ」へぜひ。



写真は故・黒川紀章氏が “自然との共生”を
テーマに設計・管理した国立新美術館

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北斎生誕250周年「浮世絵展」で感動再び

2010年07月23日 | 私の趣味

 7月19日、葛飾北斎の生誕250周年記念の浮世絵展に行ってきました。「晩年の境地『富嶽三十六景』」と題して1日から開催されている展覧会、どうしても行きたくて、すべての行事の照準をそこにあわせてこの日を待ちました。

 2年前、両国の江戸東京博物館で開催された「ボストン美術館展」で初めて浮世絵の素晴らしさに触れ、江戸文化の芸術性の高さに感動を覚えたこと、最高の幸せだと感じています。できることならあの江戸の街に生まれ、江戸の街で遊んでみたかったとさえ思っています。

 葛飾北斎が富嶽三十六景を発表したのは、すでに70歳になってからです。そのあとも、もっともっと向上したい、という強い思いを抱き続けていたと知りました。

「もっと上手く。もっと上手く…」

 命の炎が消えるその日まで、願い続けたといいます。その並み外れた信念には、心底傾倒せざるを得ません。その職人としての信念に、何とかあやかりたいと思ってしまいます。

 富嶽三十六景全編を通して驚嘆させられるのは、その構図の奇抜さです。70歳にして、「まだまだ」という考えの貪欲な一念に、天才の技が辿り着いたのだと感心せざるを得ません。富嶽三十六景の全46点は、晩年の境地を余すところなく示しています。

 会期は7月25日まで、まもなく終了してしまいます。興味のある方はぜひ足を向けられることをお勧めします。必ずよかったと感じていただける、と確信しています。

 地下鉄副都心線、又は千代田線で「明治神宮前」下車徒歩3分、5番出口から地上に出て進行方向真っ直ぐに進み初めの右折路地を曲がるとすぐに看板が見えます。「浮世絵 太田記念美術館」です。

 今回は120点余りを展示しています。小さな美術館ですから疲れることなく、思う存分北斎を堪能できること請け合いです。 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沖縄・西表から脊椎側湾症の治療に

2010年07月15日 | 指圧の活動

 仕事をしていたら電話が鳴ったので、出てみると久し振りに西表島のSさんからでした。
 
聞けばタケル君が学校の健康診断で、“脊椎側湾症”との診断が下ってしまったというのです。お母さんは心配そうに「指圧で治りますか?」と聞いてきました。

「大丈夫、よくなるから心配いらないですよ」
 私の話を聞いたとたん、さっきまでのうかない声に明るさがでました。
「でもいつもより時間を余計にとらなくてはならないから、夏休みになったら早めに来てほしいのです」

 この瞬間、私の頭の中でインディージョーンズのテーマ曲が鳴り始めました。“すぐにヤル気満々になってしまう性格”丸出しです。

 後日、夏休みに入ってすぐの7月24日に来て、8月18日に帰る航空券を買った、との連絡が入りました。途中には治療所のお盆休みもあります。7月25日~8月17日までの限られた時間で、脊椎側湾症に対する基本指圧の対応が行われます。

 親子は「治癒」を期待して、はるばる沖縄の離島からやって来るのです。まずは治療時間の工面から始めなければなりません。母親の治療と、あと2人いる弟君達の治療も希望されています。そんなに沢山の時間が、果たして本当に工面できるのでしょうか?

 思わず空を見上げて深呼吸をしました。何とか工夫してみよう! きっとどうにかなる! 漠然とですが、そう感じているのが不思議です。
 今回はお祖父さまであるM先生(お医者様)にキチンとレントゲン写真を撮っていただき、診断していただいたうえで、治療後に治った状態を診ていただく予定です。“成長期”は病気も身体と一緒に育ってしまいます。何としても、タケル君の健康を守りたいと強く思っています。

 あの可愛い笑顔に、もうすぐ会えます。
 西表島から健康管理のために、毎年夏休みにやって来るタケル君達の一行。夏の恒例行事になって早いもので、もう10回目になりました。結果報告はまた後日…。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

指圧の後は、意識して動作をゆっくりと…

2010年07月13日 | 基本指圧の素晴らしさ

 ひょんなご縁からすっかり指圧愛好家になられたNさん(56歳女性)、打撲の後遺症による違和感を基本指圧により改善したいということで、時々治療にみえていました。

 先日、午前中に治療を受けて帰られました。そのとき、翌日から出かける予定の台湾旅行の話しに花が咲き、明るい彼女らしく、楽しい余韻を残して帰宅されたのです。

 しかしその日の午後、そのNさんから電話が入りました。「さっきの指圧で身体が軽くなったんですけど、今、ギックリ腰みたいになってきたのです」というのです。
 よくよく聞いてみると、洗濯物を取り込もうとして手を伸ばした時に“ギクッ”となったそうです。

 2年ほど前の出来事を思い出しました。
 施術中、うつ伏せになっている患者さんの左側を圧し終えて、右側に移るため患者さんに顔をゆっくり右に向けていただいたとき、アッとういう間もないタイミングで、患者さんがなんとその場で首の寝違いを起こしてしまったのです。

 前例のない初めてのことに、そのときは正直驚きました。
「こんなことって本当にあるの?」
 目の前で、みるみる肩の筋肉がムワーッと硬縮して盛り上がってくるのを、目撃してしまったのです。そのときはその場で即座に対応し、直ぐに寝違いを弛め、事なきを得たので良かったのですが…。
 長年やっていると色々なことを経験するものだ、とつくづく思います。

 今回のNさんの場合は、ふだんは腰が悪いため動かなかった部分が施術により弛み、動いてしまったのだと推測されます。
 前出の寝違えの首もそうなのです。今まで動かなかった可動域以上に動いてしまったのです。こんなことは、私も初めての体験ですが、鈴木林三先生に伺ったところ十分有り得ると指導いただきました。やはり身体が指圧を受けることにより弛んで、何時もは動かない部分まで動いてしまったのだろうということでした。

 なるほど納得です。私も指圧を受けた後は無意識ですが、ゆっくりのんびり、ノタノタ動いています。それは、身体を守る動作を無意識にしていた、ということなのだと分かりました。いつも通りにサッサと動く気にはなれないのです、それが正解なのだと今更ながらに理解できました。

 指圧を受けて体を弛めることは大変体にいいことです。受けた後、しばらくは回復期です。少なくとも施術当日は、ユックリめに動くように気を付けてください。

 Nさん、台湾旅行はキャンセルされたと聞きました。ご主人と「旅先でのことでなくて良かった」と話し合われたそうです。

 力で強く圧していた当時は、こんなとき自分の圧し方に不安を持ったでしょうが、「今は無駄な力を使わずに圧す基本指圧以外」にはやりませんから、今回の対応も自信を持てたことが、ありがたいとつくづく思いました。

  Nさんは、後日動けるようになって直ちに施術することができました。なるほど腰と腹部に「これだな」と思われる硬さがハッキリありました。誠心誠意しっかり圧すことができ、ホッとしました。
 どうか施術当日は、ユックリめでお願いします。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺がんの術後、基本指圧で体調管理

2010年07月12日 | 素晴らしい指圧効果
 Tさん(75歳男性)はこのたび肺癌を手術されました。これは術後10日目の、基本指圧による対応の報告です。

 退院直後のこの日、うまく時間の都合がついたので、奥様と一緒に指圧を受けていただく運びとなりました。奥様の運転で来院されたTさんは、身体の置き場がないといった状態で、膝を抱えたりうつ伏せに寝てみたり、横向きに肘枕をしてみたり起きて座って居たり、と同じ格好で長くはおれない辛そうな様子です。その様子から、ミゾオチの張りかたの厳しさが容易に想像できました。

 主訴は、右肩から右肩甲骨にかけての、眠れないほどの激しい痛みです。「身体にメスが入ったのだから傷が痛むのは仕方ないけど、なんでこんなに右肩と右肩甲骨が痛いのか。痛みのために眠れないのがとても辛い」と言っておられました。

 右肺にできた癌は発見が早かったので、第1期Aという早期癌で種類は上皮扁平癌.癌の中ではそれほど悪質ではないと診断され、抗癌剤の投与もせずにすみました。これは快復に向けては大変助かります、ありがたいことだと思いました。

 右肺の上葉1枚全部とリンパを摘出し肋骨も切られています。術後の快復には基本指圧による体調管理は大変有効であると考えますが、Tさんはこの日は、圧すための姿勢が思うようにとれません。

 こんなとき施術者としてつくづくありがたいと思うのは、基本指圧においては受け手がとれない姿勢がある場合、無理やりその姿勢で圧さない方が効果的であるというところです。

 Tさん、圧されるごとに楽になっていくのが圧し手にも伝わってきます。右前頸部は、激しい張りかたで圧すと傷に直に響いてしまうのでやさしく、やさしく、深追いせずに圧しました。ピーンと張ったミゾオチも、圧すほどに少しずつ緩んできました。どうやら同じ格好で居られるようになりました。次いで奥様の指圧中、Tさんが少しホッとした様子で待っていらしたのが印象的です。

 ご夫婦揃って、私が基本指圧を学んでいく過程を、初めからリアルタイムで見てこられた方たちです。ずっと応援し続けてくださった、そのお気持ちに感謝しています。それに対して、こういう形で応えられるようになったこと、感慨無量です。

 基本指圧を学び始めて17年目の夏、1人でも多くの方の役にたてたらこれ以上嬉しいことはありません。この夜、Tさんが術後初めて朝まで穏やかに眠れた、と奥様から嬉しい報告をいただきました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4回目の神戸、改めて基本指圧の凄さを知る

2010年07月07日 | 素晴らしい指圧効果

 7月5日、1ヵ月ぶりに神戸へ出張治療に行ってきました。
 

 4回目なのでずいぶん慣れてはきましたが、正直、私の年齢で神戸に日帰りの仕事は、体力的に厳しいものがあります。しかし、患者さんの身体状態の好転変化が、「また来てよかった」との思いの原動力になっているのです。

 受け手のこの不思議な身体の力は、どこからくるものなのでしょうか? 基本指圧でこんなに好転変化をするとは…。身体が持っているこの“治癒力”は、いったいどこから湧いてくるものなのでしょうか? 不思議です。

 この日、圧してみて一番感じたことは、やはりこの方が持っている身体の力の凄さでした。それゆえ、あれほどの仕事をこなしてこられたのか、と感慨無量になりました。

「とにかく直感力が凄い」
「先祖を大事に、周りを大事にされる」

 側近の方々のご意見も納得のいくものです。並々ならぬお人柄を語られていたのが、大変印象的でした。

 なるほどそれら総てが「身体の力」となって変化を呼んでいるのか、となにやら深く納得した次第です。このあとこの方のために、いかにしたら一番いいのかを考えている自分も、なにか分からない不思議な力に動かされているような気がしています。

 今は、当初感じたほど神戸は遠くないと思っています。そして、基本指圧を長年学んできてよかった、というのが実感です。それにつけても直感力の鋭い方が、なにかにつけて「基本指圧、基本指圧」とおっしゃるそうです。そして神戸からの要請を受ける基本指圧は、これまた凄いと感じています。
(写真は新神戸のホームに入ってきた「のぞみ」。これから帰ります


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする