治療院には色々な職業や、素敵な趣味をお持ちのかたたちが来院されます。私はそんなお話をお聞きすることを、たいへん楽しみにしています。先日、にこにこして治療を待っていたOさん。バッグから大事そうに小さな花の束を手渡してくれました。
「茶花(ちゃばな)です」
Oさんは、茶道の先生(教授)です。治療中、茶道ついてわかりやすく説明し教えてくれます。茶花とは茶室の床に飾る花のことで、「ちゃか」ではなく「ちゃばな」と読むそうです。千利休の「花は野にあるように」という考えから、あんまり華美なものは使わないという。自然の風景をそのまま伝えるために、茶花には山野に生えている野草を使用することが多いらしい。
お話は聞いていてとても興味深く、引き込まれてしまうのですが、お互いあんまり夢中になってOさんの治療が疎かになってはいけないので、その点を十分注意しながら圧しています。
前回、Oさんの庭に育てている花(茶花)を小さな花瓶に飾ってくれました。中央に薄いピンクの可憐な高砂芙蓉。あと、ヤノネボンテンカ、時鳥紫、ワレモコウ、鷹の羽ススキ(矢羽ススキ)を小さな葉を立てておしゃれに仕上げています。自然の草花を飾り、季節を楽しむことを教えているように思います。茶道の中で唯一生きているものを愛でていることで、いっそう自然の素晴らしさを実感・共感できるのでしょう。
ところで昔から「茶道」のことを「さどう」と聞いていましたが、最近は「ちゃどう」というかたも多く見かけます。調べてみたところ、室町時代に茶の湯が成立。安土桃山時代に千利休が茶の湯を完成させ、その千利休に4人の孫がいました。長男が家を出、残った3人が千利休以来の道統を継ぎ、それぞれ表千家、裏千家、武者小路千家(順不同)と呼ばれるようになったそうです。
表千家は特に決められていないが一般には「さどう」を使った。裏千家では「ちゃどう」を、武者小路千家は「さどう」「ちゃどう」どちらでもよかったが、原則「茶の湯」を使ったという。呼び方ひとつを取り上げてもなかなか興味があります。
Oさん、指圧治療効果の障りにならないように注意しますので、また教えて頂きたいですね。よろしくお願いします。