父はおらず、母は彼を産んだときに死んだため、祖父に育てられた少年・イヒカ。
祭の花絵で地主の娘・イオエの歓心を買おうと、花をさがしていた彼は禁じられている深山へと迷い込み、そこで女に助けられる。彼女の元に泊まった夜、逃げるようにと囁く声が聞こえ、一人の少年と出会う。彼はババと名乗る、その女によって、ずっと山に閉じこめられて生きてきたという。そんな彼を助けにくることを約束し、彼の大切にしている鏡を預かったイヒカだったが……『朱の鏡』、
住んでいた山の中の小さな村を離れ、豊かなセイの国の商人の娘・フツの元で働いていた侍女イオエ。
フツは北のゲンの小領主・サガの息子の婚約者だが、体のいい人質となるだけの輿入れを嫌がり、病を理由に先延ばしにしていた。しかし、とうとうサガの兵たちに待ち伏せされて連れて行かれそうになり、助けを求めるべく、療養中という名目で引き込んでいるフツの祖母の元へ走るイオエ。
一方、少年は宗主の元で人質となっている父の命乞いをするため、珍奇な動物好きな宗主に貢ぎ物にすべく深山へとやってきた。そこで老婆・ババと少年・テルヒが現れ、彼・カシイがサガの息子だと見抜く……『黒の櫛』、
都好きな母と2人で暮らしているオシヲ。ただ喜ぶ顔をみたいばかりに、染色を生業とする彼女の望むまま、染色に使う青い実を取りにゆくため、禁じられた深山へとしばしば足を運んでいた。そんな彼はある日、オシヲは追われる女に乞われ、崖の上に上る手助けをする。
そんな中、母に新しい都からきたというジョウという男ができ、オシヲの存在は……『青い衣』、
ミネの家の娘・タクシの家に夫婦が訪れ、母は彼らに小屋を貸した。やがて妻・タキには赤ん坊が生まれるが、夫・オシヲを追ってきたらしい別な女が現れ、言い争う声を聞くタクシ。
そんな中、山の神様のため、彼女が竃の上に飾っておいた大きな菓子が消えたが、そこには子供の足跡が一筋しか残されておらず……『白い針』、
事情があって深山で暮らす板谷の商家の娘だった布都に仕える五百枝は、彼女の実家に使用人として入り、しばしば家の様子を鳩につけた手紙で報せていた。しかし布都が読む手紙を聞いていた忍男爺は、その内容に何故か一喜一憂。
そんな中、三軒小屋に一人で暮らす婆の元に都からの男の客人が訪れ、婆は彼らに3つの昔語りをする…黒い櫛の話、青い衣の話、白い針の話を。
そして代わりに男が語ったのは、帝の子を身ごもった女官が兄の恋人・佐奈の名を騙り、都の東にある深山の奥に落ち延びた話で……『囲炉裏の前で』、
ずっと昔、深山の奥で出会った少年から預かった伊緋鹿。しかしその後山火事があり、少年も亡くなったものと思っていた彼は、せめて無くした鏡の代わりの鏡を墓前に備えようと、その後都へ出て、鏡師の元で鏡作りの修行をしていた。しかし、その修行半ばにして師匠が亡くなったことから、故郷近くの森に住む鏡麻呂の弟子になった。
そんなある日、足を怪我した伊緋鹿は、鏡麻呂の客人である朱雀という男に助けられるが、その晩、作業小屋が火事に見舞われる。そんな騒動の中で、彼の手元から、自分が以前無くした鏡が転がり出てきたのを見た伊緋鹿は、朱雀がかつて村に住んでいた忍男であることを思い出す。彼は昔山でその鏡を拾い、それを鏡麻呂に預けていたのだという。そして朱雀は、件の子供が生きていると告げる……『黄金長者』の6編収録。
奈良・平安あたりが舞台っぽい歴史テイストなお話(ちょっとファンタジー?)ですが、ちょっとミステリ的な手法も使われていたり。
昔話というのは、こうした裏の意味合いも含まれているのだなぁと、興味深かったり。
<09/3/15>
祭の花絵で地主の娘・イオエの歓心を買おうと、花をさがしていた彼は禁じられている深山へと迷い込み、そこで女に助けられる。彼女の元に泊まった夜、逃げるようにと囁く声が聞こえ、一人の少年と出会う。彼はババと名乗る、その女によって、ずっと山に閉じこめられて生きてきたという。そんな彼を助けにくることを約束し、彼の大切にしている鏡を預かったイヒカだったが……『朱の鏡』、
住んでいた山の中の小さな村を離れ、豊かなセイの国の商人の娘・フツの元で働いていた侍女イオエ。
フツは北のゲンの小領主・サガの息子の婚約者だが、体のいい人質となるだけの輿入れを嫌がり、病を理由に先延ばしにしていた。しかし、とうとうサガの兵たちに待ち伏せされて連れて行かれそうになり、助けを求めるべく、療養中という名目で引き込んでいるフツの祖母の元へ走るイオエ。
一方、少年は宗主の元で人質となっている父の命乞いをするため、珍奇な動物好きな宗主に貢ぎ物にすべく深山へとやってきた。そこで老婆・ババと少年・テルヒが現れ、彼・カシイがサガの息子だと見抜く……『黒の櫛』、
都好きな母と2人で暮らしているオシヲ。ただ喜ぶ顔をみたいばかりに、染色を生業とする彼女の望むまま、染色に使う青い実を取りにゆくため、禁じられた深山へとしばしば足を運んでいた。そんな彼はある日、オシヲは追われる女に乞われ、崖の上に上る手助けをする。
そんな中、母に新しい都からきたというジョウという男ができ、オシヲの存在は……『青い衣』、
ミネの家の娘・タクシの家に夫婦が訪れ、母は彼らに小屋を貸した。やがて妻・タキには赤ん坊が生まれるが、夫・オシヲを追ってきたらしい別な女が現れ、言い争う声を聞くタクシ。
そんな中、山の神様のため、彼女が竃の上に飾っておいた大きな菓子が消えたが、そこには子供の足跡が一筋しか残されておらず……『白い針』、
事情があって深山で暮らす板谷の商家の娘だった布都に仕える五百枝は、彼女の実家に使用人として入り、しばしば家の様子を鳩につけた手紙で報せていた。しかし布都が読む手紙を聞いていた忍男爺は、その内容に何故か一喜一憂。
そんな中、三軒小屋に一人で暮らす婆の元に都からの男の客人が訪れ、婆は彼らに3つの昔語りをする…黒い櫛の話、青い衣の話、白い針の話を。
そして代わりに男が語ったのは、帝の子を身ごもった女官が兄の恋人・佐奈の名を騙り、都の東にある深山の奥に落ち延びた話で……『囲炉裏の前で』、
ずっと昔、深山の奥で出会った少年から預かった伊緋鹿。しかしその後山火事があり、少年も亡くなったものと思っていた彼は、せめて無くした鏡の代わりの鏡を墓前に備えようと、その後都へ出て、鏡師の元で鏡作りの修行をしていた。しかし、その修行半ばにして師匠が亡くなったことから、故郷近くの森に住む鏡麻呂の弟子になった。
そんなある日、足を怪我した伊緋鹿は、鏡麻呂の客人である朱雀という男に助けられるが、その晩、作業小屋が火事に見舞われる。そんな騒動の中で、彼の手元から、自分が以前無くした鏡が転がり出てきたのを見た伊緋鹿は、朱雀がかつて村に住んでいた忍男であることを思い出す。彼は昔山でその鏡を拾い、それを鏡麻呂に預けていたのだという。そして朱雀は、件の子供が生きていると告げる……『黄金長者』の6編収録。
奈良・平安あたりが舞台っぽい歴史テイストなお話(ちょっとファンタジー?)ですが、ちょっとミステリ的な手法も使われていたり。
昔話というのは、こうした裏の意味合いも含まれているのだなぁと、興味深かったり。
<09/3/15>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます