黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』門井慶喜(講談社)

2009-07-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
弁論術学習に特化した超エリート校・雄弁学園。6歳から演説、議論、陳述研究の訓練に励み、大人でも太刀打ちできないほどの技術を持つ高校生たちが、新しく担任となった能瀬雅司に着任早々、3つの難題を投げかけた……「テレポーテーションが現実に可能であることを証明せよ」「海を山に、山を海に変えられることを証明せよ」「本当にサンタクロースがこの世にいることを証明せよ」
議論混乱をきっかけに前担任・五十嵐桂子を休職に追いやった生徒たちを前に、プラトンの『饗宴』1冊を読んだきりで卒論をでっちあげった能瀬が出した回答とは……『パラドックス実践  高等部』、
初等部の弁論大会の結果に異議があるという夫人…準優勝になった蟹沢雄人の母・徳美がやって来た。大会の担当だった荒木響子は、苦情に対応することに。
その大会で優勝したのは、響子のクラスの生徒・佐久米まなみの“鮭の産卵……<かわのいきもの>から”だったが、その内容が出典としてあげている本の内容と異なっている為、規定に違反しているのではないか、という……『弁論大会始末  初等部』、
中等部でかつて教えていたものの、今は不遇をかこつ塩鍋遠次。
そんな彼が、一回だけ臨時で授業を受け持つことになったクラスには姉の子・いずみがいた。彼女に出した「自然科学的真実の方が実感的真実よりも実感的であることの例をあげよ」という宿題を簡単に答えられてしまった彼は、思わず「自然科学的真実がすなわち実感的真実でもあり、なおかつ自然科学的真実でないことで実感的真実でもないという例をあげよ」という難題を出して……『叔父さんが先生  中等部』、
学校で痛手を受け休職中の五十嵐桂子は、郷里の徳島に帰っていた。そんな彼女は母と共に出かけた兵庫県の猪名川町で高等部部長で、4月から学園長になうという栗坂穣一夫妻に出会う。
桂子は4月から大学の臨時採用の非常勤講師として、復帰することになっていたのだが、大学の“新聞”に載っていた<アメマケ先生>北橋絵美莉が、彼女が最初に授業で取り上げた<雨ニモマケズ>を題材にしたことが気に入らずそれを拒む……『職業には向かない女  雄弁大学』の4編収録。

弁論の勉強をしている手ごわい子供たちの相手をする、教師たちのお話。
弁論という、あまりないタイプの題材で興味深かったです。

<09/7/17>


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