黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『官能と少女』宮木あや子(早川書房)

2012-08-16 | 読了本(小説、エッセイ等)
ロリィタブランド<エンジェルガーデン>の販売員であるマユコは、常連客の武田がサブチーフを務めるジェラー<ナインマイルズ>に飾られている、コンクパールとダイヤモンドで作られた花の指輪に恋焦がれていた。だが高価であるそれを買うことができず、たびたび店に通っては見つめる日々。
そんなある日、常連客の美しい母娘…“黒川様”が来店。娘が欲しがった人気のワンピースが品切れであった為、他の店から取り寄せる約束をする。その日の夕方、武田から件の指輪が売れてしまったと聞き、落胆するマユコ。
明後日、ワンピースが届いた旨を連絡すると、黒川様(母)は何故かあの子の代わりに着て欲しいという。一度は断ったマユコだったがそれを着て、待ち合わせの場所で会うことになり……『コンクパール』、
八歳年上の数学教師・中村と付き合っている養護教諭・斉藤。
春。重度の花粉症で、たびたび保健室にやってきてはベッドを借りにきていた少年・岸田と親しくなり、言葉を交わすようになる。ゴールデンウィークには、高尾山に一緒に出かけたりもした。中村が受け持つ、自傷を繰り返す少女・和泉の存在を持て余す中、学校から姿を消した岸田。
夏休み前、中村のパソコンを借りる為、彼の部屋を訪れた斉藤は、そこで思いがけぬものを見つけてしまう……『春眠』、
美しい“夫”を持つ、柴田亜由。留守がちで、出かけるときには彼の友人たちも一緒だけれど、平気。
彼の仕事には夏休みもなく、土日もお盆休みも正月休みもない。彼女の元にやってくるのは、既に彼女が寝てしまった後だとしても……『光あふれる』、
うさぎのような恋人と暮らす須藤。けれど職場の木下とも肉体関係を持っている。
そんな中、次第に帰りが遅くなりはじめた恋人……『ピンクのうさぎ』、
両親がいなくなった後、九歳の靖恵を引き取ってくれた叔父様。学校に通わず彼からさまざまなことを教わった。
毎年五月のはじめに十日ほどマンションを留守をする為、一人で留守番をしていると男たちが現われた。隙を見て部屋を飛び出したが……『雪の水面』、
大学に通う和泉榊は、眠り姫と呼ばれている。世間ではかつて犯罪の被害者であったとされていたが、彼女は中村を愛していた。しかし会う事は許されない。心療内科の看護師兼受付の牧に頼み、中村に会う為、刑務所へと出かけるが……『モンタージュ』の6編収録の短編集。

空虚を抱える傷つきやすい少女たちの懸命の恋、そして愛の毒に侵されてる人々のお話。
『春眠』と『モンタージュ』は同じ世界の中のお話(視点が違いますが)。『コンクパール』は、『雨の塔』のあたりとリンクしてるかも?(未確認)
語り手が(基本)少女だから美しいですが、同じ話を男の視点から書いたら、見事に犯罪以外の何モノでもない気が(笑)。
世界観的には、初期の嶽本野ばらっぽいかな。

<12/8/16>


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