黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『荻窪 シェアハウス小助川』小路幸也(新潮社)

2012-03-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
中学一年の時に父を亡くして以降、家計を支えて働く母の代わりに家事を担い、双子の弟妹の世話をしてきた、沢方佳人。
高校卒業後も、近所の酒屋でバイトをしながら家族の世話をする生活に満足していたのだが、他にやりたいことがないという彼を心配する母からある提案をされる。
母の知り合いである、建築士・相楽奈津子が、沢方家が昔から世話になっていた小助川医院のレトロな建物をリノベーションして、<シェアハウス小助川>を始めるという。
小助川医院は、二年前まで開業していたが、今は廃業し、母家ではタカ先生こと小助川鷹彦が、五十代にして一人で、隠遁生活。
タカ先生は、大家であるとともに健康面でのアドバイザーを兼ねてもらうことになり、昔から彼を知っている佳人に入居してもらい、これからやってくる入居人たちとのパイプ役を頼みたい、というのだった。
かくしてやってきたのは、五人の男女……大学に入学したばかりの女子大生・橋本恵美里、高校卒業後、書店に就職が決まった細川今日子、大学卒業後、幼稚園の先生になった三浦亜由、レストランのウエイターをしている三十代の大場大吉、そして四十代独身の歯科衛生士・柳田茉莉子。
互いに知恵を出し合いながら、快適に暮らし始めた彼らだったが、さまざまなことが明らかとなって……

家事が得意だけれど、特に目指すものがない十九歳の青年・佳人を中心に、荻窪の元医院を改築したシェアハウスに集う人々を描いたお話。
『東京バンドワゴン』とは、またちょっと違う“家”のカタチでした。
目標を見つけ歩みだした佳人を始め、彼らの今後も気になるところですが、純然たる続編とかはなさそうな感じ、かな(物語の中のシェアハウスはこのまま続くのでしょうが、メンバーが入れ替わってそうなので)。別の作品にちょこっとでもその後の彼らが垣間見れたら、嬉しいかも。

<12/3/26>


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