『浅草色つき不良少年団』祐光正（文藝春秋）

戦前の浅草。色の名前を付けた不良少年団が3つあった……美少女を頭目に置いたという『浅草紅色団』、かなり際どくあくどいこともやっていた『浅草黒色団』、規模は小さいが団結力のあった『浅草黄色団』。
その黄色団を率いていたのが、“似顔絵ジョージ”こと神名火譲二少年である。
売れない漫画家であった“私”は、仕事で戦前の浅草の事を調べることになり、神名火氏を訪ねた。そんな彼から聞いた、かつての話を綴る連作短編集。
紅色団の幹部・お菊に相談があると呼び出されたジョージと弟分の辰吉。ところが、何故か黒色団の連中に襲われ、その最中に辰吉は刺されてしまう。何とか追手をまいて、ある屋敷に逃げ込んだものの、辰吉はそこで力尽き亡くなる。ところが翌朝、ジョージがその場で目を覚ますと、辰吉の死体の他に、見知らぬ女の死体が増えていて……『幻景淺草色付不良少年團(あさくさカラー・ギャング)』、
黄色団のジャンケン雅が顔も知らぬ女に恋をした。彼女の顔を目撃した工事人夫たちの話から出来上がった似顔絵はカジノの踊り子・マチコに似ていた。彼女には双子の姉がいたが、2年前にある事件で亡くなっていて……『墨東鬼啖事件』（※『墨』にはさんずいが付きます）、
前の事件で知り合った平井太郎の新居に呼ばれた紅色団の頭目・紅色団の頭目・冬瓜の百合子とジョージ。そこに来ていた客・大水春栄に誘われた家で、瓶の中に入っている美少女を目撃したジョージ。しかし警察を呼びにいっている間にそれらは形もなく消えていた……『瓶詰少女』、
紅色団にあこがれていた少女・里村せんと黄色団の少年・長吉が決闘することになり、立ち会いを頼まれていたジョージだったがうっかりその用件を忘れてしまう。ところが、その決闘によりおせんが死に、長吉ともう一人の立会人である、紅色団の退紅の昭子が、その死んだはずのおせんごと姿を消したという……『イーストサイド物語』、
まだジョージが浅草を闊歩する前の話。大震災の最中、隣の少年・重夫と共に地下室の水槽の中に閉じこめられてしまったジョージ。そこに警察に追われていた鎌鼬男が現れ……『二つの墓』の5編収録。

昭和初期版・IWGPな感じ。
この辺の時代は大好きだし、有名人の姿などもちらほらと垣間見えて楽しいです♪
『瓶詰～』に出てきた少女・樒のその後も気になりますし、是非続編が読みたいですvv

<07/6/26>