黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『人外境ロマンス』北山猛邦(角川書店)

2013-08-10 | 読了本(小説、エッセイ等)
大学のエレベーターで出会った、ハーフのような中性的な青年に一目惚れしたわたし。キュウと名乗るその彼とケーキを食べに行く関係にはなったのだけれど、ある日、彼がいつも持ち歩いているヴィオラのケースの中にクロスボウが入っているのを目撃してしまう。彼は殺し屋なのか……“かわいい狙撃手”、
隣のクラスにレイコという転校生が来た。そんな彼女に既視感を覚える僕。
幼い頃、出かけた山の別荘で出会った少女に似ていたのだ。しかしその少女は既に火事で亡くなってしまったらしい。
その態度の冷淡さから、次第にクラスから阻害されはじめたレイコ。そんな彼女がクラスメイトが見張る倉庫から忽然と姿を消すという事件が起き……“つめたい転校生”、
大学の夏休み、東北の旅館・睡蓮荘で泊まり込みのアルバイトをすることにした弓子。そんな彼女は、一年前に幼なじみの恋人を亡くし、心が死んだようになっていた。
旅館では、うるさい相方の青年シオネとの仕事に追われる弓子だったが、そこでシオネと同じ顔ながら雰囲気の違う男性ハルに出会う。シオネの双子の兄だという。ここに来てから悪夢を見なかったかと問われるが……“うるさい双子”、
亡くなった新人漫画家の代わりに採用された、売れない漫画家の俺。そんな中、同じマンションでおかしなものを見たらしい住人が亡くなったと妻が聞いてきた。そんな「見たら死ぬ」という言葉が、俺の記憶を静かに呼び覚ます。
思えば、高校時代のクラスメイトや嫌みな上司など周囲に死者が多い俺には、その心当たりがあった。
それは、小学校の夏休み。祖父が暮らす田舎で遭遇した<くねくね>という存在で……“いとしいくねくね”、
二週間前に発生した先端科学技術大学の教授殺しの件に関わっている、車井警部。
そこへ目撃者だと持ち込まれたのは、人ではなく一株の薔薇・アンブリッジだった。ひょんなことからその薔薇と意思の疎通がはかれるようになった警部は、その薔薇と共に事件の捜査をすることに……“はかない薔薇”、
古い洋館で聴いたピアノの音。弾いていたのは、青白い顔をした青年で、彼が何者か気になるわたし。
そんな彼が弾いていたのは、聞き覚えのあるメロディだが思い出せず、たびたび洋館に調べにいくようになる。
そんなある日、ゲームセンターで件の青年に出会ったわたしは……“ちいさいピアニスト”の6編収録の短編集。

それぞれに、ちょっと不思議な“人外”とのロマンスを描いたお話。
相手が相手だけに(笑)ちょっと切なくもありますが、どこかほのぼのテイストで、楽しい一冊でした。

<13/8/10>


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