黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『僕は長い昼と長い夜を過ごす』小路幸也(早川書店)

2010-07-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
五十時間起きて二十時間眠るという睡眠障害“非二十四時間睡眠覚醒症候群”を患っている青年・森田明二。
原因は不明だが、幼い頃父から受けていたDVから、自分の身を、母や兄妹を守るために身についたのだと思っている。
その体質故に普通の会社には就職できず、その事情に理解を示してくれた社長・藤田伴の営む、東京の小さなゲーム制作会社<トラップ>で契約社員のゲームプランナーとして働いており、その体質を活かし、藤田からたびたび<監視>のバイトを頼まれていた。
そんなある日、藤田経由で、夫の浮気を疑う妻からの依頼で、三島仁志という経理部長を監視していた明二は、その最中にウィークリーマンションで彼が倒れている場面に遭遇。成り行きで、三島のトランクと一緒に救急車に乗せられ、立ち去る際うっかり持ってきてしまったそれには、およそ二億円の現金が詰め込まれていた。
そこへ現れたのは、<種苗屋>だという男・ナタネ。<種苗屋>とは、世の中の表には出せない金を、きれいな形で表に出す職業。彼曰く、その金は三島が入手した裏金で、彼はその動きを監視していたのだという。その金を明二にくれるというナタネ。金をを奪い返そうとする人間がおり、当然明二は狙われるが、金を返しても彼が狙われることには変わらないという。
かくして、彼を補佐してくれるというナタネと行動を共にすることになり、札幌へ向かった彼らだったが、問題が持ち上がったと兄・賢一から連絡が入る。
明二の父・欣二は、札幌で金属加工を行う町工場を営んでいたが、十五年前に何者かに殺害され、母・由枝はその前年に失踪していた。その父の事件がもうすぐ時効を迎えるまで、あとひと月ほどなのだが、昔世話になった職人の作次が惚け、意味深な言葉を賢一に告げたのだという。
さらに明二の行動を不審に思って追って来た看護師・笈川麻衣子も仲間に加わり、事態を解決すべく<チーム>を組むことに……

ひょんなことから二億円を手に入れた特殊な睡眠障害を持つ青年が、謎の人物の手を借りつつ逃亡。さらに父殺害事件の真相にも関わってゆく…というお話。ミステリ、というよりはサスペンス。
ナタネさんが素敵です♪
何かこう……鶴の恩返しというか、海老で鯛を釣れました…な感じ?(違)

<10/7/18>


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