黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『密室の如き籠るもの』三津田信三(講談社)

2009-05-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
御屋敷町で、4人の女性の被害者を出した首切り魔事件が発生。元伯爵である籠手旭櫁の孫である旭正が容疑者として浮かんだが、その後彼が自殺して、事件は終息した。
それから1年近くが過ぎ、その路地ではお化けが出るという噂が出ていたが、旭正の許嫁だった阿曇目貴子は毎月お参りに。旭櫁は、旭正の代わりに、素行が悪く外に預けていた弟・旭義を呼び寄せ、彼女と婚約させようともくろんでいた。しかし貴子はそれを拒否。さらに阿曇目家には栗森篤という青年が寄宿しており、どちらも貴子を射止めたいと願っていた。
そんな中迎えた、旭正の命日。いつもの如くそこを訪れた貴子が、首を切られて殺害された。その現場の様子を目撃していた少女・鷹部深代とお藤は、作家・刀城言耶の元を訪れ……『首切の如き裂くもの』、
行商に歩いている2人の娘・菊田美枝と柿川富子。
村境にある鳥居峠に<天狗の腰掛>と呼ばれる大きな松があるのだが、その向かいに奇妙な家があったと美枝はいう。しかし富子はその姿を見ていない。そこに現れた薬売りの男は、それは幸運が舞い込む<マヨヒガ>ではないかというが、その後に現れた第二の男・九頭は忌むべき<迷家>だという。そこへ言耶が現れて……『迷家の如き動くもの』、
幼い頃より、祖母から隙間には<隙魔>という魔物がいると教え込まれてきた嘉納多賀子。そしてその言葉の通り、何度も隙間に過去や未来の光景を目撃してきた彼女は大人になり、教師になった。
そんなある日、宿直の見回りをしていた折に、ほんの少し開いた教室の扉の隙間から、校長・坂田亮一が何者かに襲われている光景を見てしまうが、それが実際に起こったことなのか、隙魔が見せた幻影なのかがわからない多賀子。
かつて、生徒を殺害してしまったこともあるという坂田の所業に反感を持つ者として、彼女の同僚・和川芳郎、富島香、山間久男が容疑者として疑われるが……『隙魔の如き覗くもの』、
終下市で質屋を営む猪丸家に、突然現れた女・葦子。記憶喪失ながら、何故か狐狗里さんに詳しい彼女は、それをきっかけとして、当主の岩男の後妻に入った。
岩男には、長男・巌の母であった最初の妻・好子と、次男・月代の母であった二番目の妻・由子がいたが、どちらも同じ蔵屋敷の二階の部屋で亡くなっていた。そしてそこには、<赤箱>という代々受け継がれる、いわくつきの箱が置かれていたのだった。
その家に<赤箱>について話を聞く為、言耶がやって来た矢先、葦子が密室状態だったと思われる蔵屋敷で亡くなるという事件が起き……『密室の如き籠るもの』の4編収録。

作家兼怪奇譚蒐集家・刀城言耶シリーズの、短編3編と中編1編(表題作)の作品集。
短編では微妙に『凶鳥~』に絡んだエピソードもあったり。
短いので読み易いですが、その分いつもよりは怪異のテイストは弱め?
『密室~』の<赤箱>が、結局どういった因縁の品なのかが気になります~(何故中身がアレなのか…)。

<09/5/23,24>


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