黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『事件でござるよ、太郎冠者』井上尚登(祥伝社)

2012-06-16 | 読了本(小説、エッセイ等)
人気狂言師・峰村みの吉こと光一郎はバツイチ。別れた妻との間に、一人息子・光太がおり、人間国宝である祖父・笠太郎とその後妻・理恵、母と弟・光二郎と暮らしている。
ある日、初めて狂言教室にやってくるはずだった生徒が、能楽堂の場所を見つけられずに大遅刻。同じ教室に通う刑事・保井元が途中でたまたま行き会い、その事情を察して連れてきたのは、とても狂言に興味を持ってるとは思えない、濃いメイクでパンクスタイルの女性・松永夏十(なつと)だった。
同じ日、教室を無断欠勤していた碓井和子が、急死していたと、後日彼女と仲の良かった村本恵から知らされたみの吉。先頃再婚したばかりだった和子。どうやら近所や親しい人々にも内緒で、夫は葬式を済ませ、家も売りに出しているという。
その前に、舞台<二人袴>を観た後の和子の様子がおかしかったことに着目した夏十は……“第一話 二人袴”、
内弟子にして欲しいと主張する夏十に、女性の内弟子は取らないと断るみの吉。
破産し住む場所がないと主張し、お手伝いとして雇って欲しいと頼み込まれる。笠太郎も難色を示すが、彼女の亡き母の経歴を聞いた途端に、一転了承。彼女の峰村家への居候が決定した。
その二時間後。能役者の阿弥川久作と妻・靖子がやってきた。
一昨日、阿弥川家のパトロンであった玄葉浩が何者かに殺害される事件が発生。彼に借金があったことから久作が容疑者として疑われているという。そこでみの吉の元に、保井に口添えを頼みたいとやってきたのだった。
しかしそれを良しとしないみの吉は断るも、恩を売っておきたい理恵は引き受けるようにと迫る。
なりゆきで、夏十が久作の無実を証明できなければ、みの吉が見合いの話を引き受けるという約束をさせられてしまい……“第二話 花子”、
国語学者であった大学教授・多々良一成が自殺したという。
保井に頼まれ、捜査に協力することになった夏十とみの吉。
当時一緒にいたのは、多々良の妻・涼子と、彼女の同級生で、多々良の担当編集者であった葛西弘。彼らの浮気を疑い、あてつけのように毒をあおったらしい。
ら抜き言葉がおかしいと、マスコミでもたびたび主張していた彼の遺した遺書が、ら抜きで書かれていたことに不審なものを感じたみの吉たちは……“第三話 附子”、
弁護士・奈村貴史が峰村家を訪れた。
みの吉のファンのひとりであった小林靖子が、一ヶ月前に亡くなり、六億の資産を峰村家に寄付するという遺言を遺していたのだという。しかしそこには、彼女の唯一の肉親である甥・上杉孝次郎が、一年以内に現われなかった場合という条件が提示されていた。彼は風来坊で、その行方は定かではなかったのだ。
それから一ヵ月後、その孝次郎が現われたと奈村から知らされたみの吉たち。
彼は本物かどうかを調べることになり……“第四話 武悪”、
保井に頼まれ、美仙という着物の販売会社から三十秒で盗み出された、レンブラントの謎を解くことになったみの吉たち。
奇しくも、みの吉の前妻で着物デザイナーである大島桜子に、美仙の社長・山藤圭吾との再婚話が持ち上がっていた。それに伴い、桜子は光太を引き取りたいと考えているらしく……“第五話 瓜盗人”、
ある日、坂井謙太朗という弁護士が、峰村家に、夏十を尋ねてやってきた。
曰く、夏十は坂井の事務所の優秀な調査員であったが、姿を消していたのだという。先に訪れた奈村は彼の知り合いで、彼から峰村家にいることを聞いたのだった。
何故、夏十は峰村家にやってきたのか……“第六話 釣狐”を収録。

狂言師・みの吉とメイクばりばり頭つんつんなパンク女(メイクを取ると美人)・夏十が謎を解くミステリ。
いろんな狂言作品を踏まえつつ、謎を解いてくのがためになりつつ、おもしろいですね。

<12/6/16>



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