黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『恋の病は食前に』拓未司(朝日新聞出版)

2011-05-30 | 読了本(小説、エッセイ等)
出版社に勤める奥田健二は、希望とは違うゴシップ誌『週刊トリップ』の配属になり、料理評論家の草刈春男の担当をすることに。草刈はコラムはおもしろいものの、人間性に難があり、しかもある理由から、女性はもちろん、恋人がいる人間には担当を任せるわけにいかないという。
そんな中、大田原牛の五万もする超高級ステーキに難癖をつけ、暴れようとする彼をなんとか宥めた健二。機嫌をとる為、後輩の田村に急遽美味しい店を訊ねたが、教えられたそこは寂れた食堂“お食事処 倉武”だった。
草刈の怒りを覚悟した健二だったが、意外なことに美味しいと食べまくり。どうやら店員で、店主の娘の倉橋洋子に<スイッチ>が入ってしまったらしい……“麗しの横手焼きそば”、
コンビニでバイトする、気の弱い男・吉仲耕平は、客としてやってきた女性に一目ぼれ。そんな彼女は、おでんを買う際、生姜醤油があるかを訊ねた。
そんな翌日、耕平は、“カエデ”と店外デートを認めろと、中年男が難癖をつけている場面に遭遇。
またしても店にやってきた彼女は、おでんを購入。差し出した払込用紙から西尾里香という名前だと知るが、突然身を隠した。そこへやって来たのは、先に見た中年男で、どうやら彼のいうところの“カエデ”とは里香のことであるらしい。思わず彼女の働いているところを突き止めた耕平は、彼女がデリヘル嬢だと知るが……“姫路おでんの純情”、
美人人気作家・蒼井ひとみこと竹内和佳が、偏屈な料理評論家を主人公に、これまでとは傾向の違うユーモアあふれる作品を書こうと決め、その取材として草刈にアプローチをしたが、途中でへそを曲げられてしまった。
草刈に取り入るには奥田が良いという噂を聞きつけ、彼を介して交渉することに。ただし和佳に迷惑がかかるかもしれないと、謎の忠告をされる。
実は、本当に作品を書いているのは、ふたつ下の妹・葵。容姿にコンプレックスがあり、表に出たがらない彼女に代わり、和佳が代役を務めているのだ。
今回の顔合わせに葵を誘い、一緒に出かけたが、途中まで怒っていた草刈の様子がおかしい。どうやら<スイッチ>が入ったらしいのだが、相手は和佳ではなく、葵だった……“シロコロ・ホルモンのすれ違い”、
高校二年生の森山直也は、四十三になる尾崎豊ファンの母・圭子のことで悩んでいた。
ずっと親ひとり子ひとりで暮らしてきたが、最近その母が仕事から帰ってくるのが遅くなり始めたのだ。幼なじみの美咲の、同窓会で昔好きだった人に再会して恋心に火がついたのでは、との言葉に動揺する。
そんな中、家の近くで、道を訊く中年男に声をかけられた直也。訊いていたのは彼の住む家。知らぬふりをするが、その後、件の男が家にやってきた。母と仲の良い同級生だったという男に、思わず、直也の友人だという嘘を突き通すことに……“肉巻きおにぎりの青春”、
空気を読むのが巧みで、テレビで活躍するイケメン料理人・森田武彦。女遊びの激しい彼には、パン屋で働く恋人・香織がいる。
そんな彼女から相談を持ち掛けられ、店にやってくると、草刈が、妙に香織に対してなれなれしい態度に、むっとくるも、調子を合わせて、師匠と持ち上げる武彦。
そんな香織から、彼女を見張るストーカーらしき人物がいると相談され……“イタリアンスパゲッティの目覚め”の5編収録。

傲慢で扱いにくく、おまけに一目ぼれしやすく、妄想癖のある厄介なグルメ評論家・草刈。その周辺で起こる騒動を描いた連作で、各話とも流行のB級グルメが絡めてあります。
お話だから笑い話で済んでるけど、実際いたら、かなりイラっとすると思う…(笑)。

<11/5/30>


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