黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『望月のあと 覚書源氏物語「若菜」』森谷明子(東京創元社)

2012-01-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
中宮彰子に使える、式部こと香子。書き綴っている、光源氏の物語があちこち好評で、熱心な読み手である女房たちは、独自に年立て(年表)を作っているという。
それを元に、まだ描かれていない部分を書いて欲しいと頼まれた香子。今書いている『若菜』の話は、ずいぶん長く重苦しい話であることから、『少女』と『梅枝』の間にあたる時期の、華やかな物語を描こうと考えた。亡き夕顔の遺した娘の存在を思い出した香子は、玉葛と名付けた彼女を中心とした物語にすることに決める。
そんな中、香子は、恋上手、歌詠みの名手と評判の親友・和泉から、東三条院南殿の釣り殿に若い娘向けの衣装を届けて欲しいと頼まれる。秘密裏に養われているらしい存在に、そのさまざまな憶測が流れていたが、そこに暮らしているのは、道長の異母妹であった亡き綏子尚侍の娘で、太宰大弐源有国の養女として筑紫で暮らしていた瑠璃姫であるという。綏子に対して、複雑な思いを抱きつつもそれが叶わなかった道長は、代わりに瑠璃を愛人として囲おうと、その頃合を見計らっていたが一条帝や冷泉帝も崩御し、喪に服することになった瑠璃には手が出せない。女房の阿手木を彼女の元に送り込み、ある計画を考える香子は、玉葛と彼女の境遇を重せ合わせつつ、物語を綴る……

王朝ミステリ第3弾。今回は源氏物語の玉葛の話から若菜のあたりを執筆しているところで、あれこれ。
例の和歌の“望月”に象徴されるような道長の権勢の中で、密かな反逆を試みる式部。
道具のように軽んじられてように見えて、結構したたかに生きている女性たちの強さも垣間見れて楽しかったり。

<12/1/24,25>


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