黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

オペラ@アンジュ

2012-05-06 | スイーツ
 ショコラガナッシュと、バタークリーム、コーヒーシロップの染み込んだスポンジが交互に重ねられています。
 前からあるけれど、何気にコーヒー味は避け気味なので、ようやく食べました(笑)。
 
 パティスリー・アンジュ:新潟(燕)

『幽女の如き怨むもの』三津田信三(原書房)

2012-05-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
貧しい家に生まれた小畠桜子は、親に売られ、十三で<金瓶梅楼>にやってきた。梅の名が源氏名としてつけられている他の女たち同様、緋桜という名をもらう。
花魁になった同じ村出身の年上の娘が、綺麗な格好をしていたのを見ていた桜子は、花魁というものに夢を抱いていたが、やがて廓の現実を知ることに。
そんな中、人気花魁だった通小町が、幽女が出るという、いわくつきの別館三階の特別室から身を投げる事件が起こる。許嫁が嫁に迎えたと知らせる手紙が見つかり、そのショックで自害したものだと思われたが、その後、何かに操られたかのように桜子が、同じ部屋から身を投げそうになり……“第一部 花魁 初代緋桜の日記”、
作家・刀城言耶に昔の話を語る、かつての<梅遊記楼>の女将・半藤優子。
戦争の足音が聞こえはじめ、客として嫌いな軍人がやってくるのを厭った母が、営んでいた<金瓶梅楼>を突然辞めると言い出したことから、跡を継ぎ女将となった、娘の優子。それを機に、店の名を<梅遊記楼>を改める。
人気だった緋桜花魁に良く似た、糸杉染子という女が店に入ることになり、彼女を二代目緋桜として売り出すことにする。
そんな中、さる筋からの頼みで廓で密かに預かっていた身重の人妻・登和が、望まぬ子を産んだ直後、件の部屋から身を投げた。
さらに事件は起き……“第二部 女将 半藤優子の語り”、
戦後。売りに出されていた<梅遊記楼>を買い、<梅園楼>というカフェーを始めた伯母・淑子から、かつてその場所で起きた怪事件について噂を聞いた作家・佐古壮介。
二つの廓で、核となっていた緋桜。その三代目を、山田花子という病気の夫を抱えて、店で働くことになった女に継がせることにしたことから、何か起こるかもしれないという。
折りしも、その廓でずっと働いていた女たちが店で働くことになり、彼女たちから話を訊くべく、店で伯母の手伝いをすることになった壮介。その取材課程を記した『幽女というもの』という原稿を、『書斎の屍体』誌に連載することに。
そんな中、紅千鳥の情人・漆田大吉が件の部屋から落ちて……“第三部 作家 佐古荘介の原稿”、
ある事情で、かつての三つの遊廓で起きた事件の謎を解決することになった、怪奇作家・刀城言耶。
優子から話を訊き、それらの事件についての解釈を述べる……“第四部 探偵 刀城言耶の解釈”を収録。

シリーズ第八弾。
戦前から戦後にかけて、三つの店(建物的には同じだけど)で起きた、緋桜の名を持つ三代の花魁が関わった三つの身投げ事件の謎を追うお話(ちなみに花魁という呼び方は使っていても、江戸時代の最高位としての遊女の意味ではなく、一般的な遊女の意)。
今回は刀城が事件に巻き込まれて、いろいろ起きる展開ではなく、既に終わっていることへのひとつの推理を提起する感じ。
第一部の花魁のパートが、特に秀逸でした。
……個人的に、表紙の装画は上下逆に見るのが正しいのかも、とか思ったり…(話的に/笑)。

<12/5/5,6>