Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

ソフトバンクがクラウドで目指すのは

2009-11-19 23:59:59 | Weblog

 大手各社がクラウドサービスに乗り出す中、ついにソフトバンクもクラウドサービスの開始を発表しました。携帯電話やインターネットなどの他業種と同じく、最大の訴求点はやはり「価格」・・・では無いかもしれません。

ソフトバンクテレコムが浮かべた白い雲 ASCII.jp

 ソフトバンクテレコムが、同社のクラウドコンピューティングサービス第一弾として「ホワイトクラウド シェアードHaaS」「ホワイトクラウド プライベートHaaS」の提供を発表した。

 確かに、発表のキーとして、4725円/月からという価格はあるのですが、それよりもそのサービス提供形態の方が今回の発表のキモと言えるでしょう。

 サービスの実現に関しては、「ホワイトクラウドコミュニティ」と呼ばれるハードウェア/ソフトウェア各社とパートナーを組むことで、各レイヤーに多彩な製品を組み込んでワンストップで提供する戦略が見て取れる。実際、ソフトバンクテレコムのプレスリリースに記載されたホワイトクラウドコミュニティの説明には「個々の企業単独ではカバーしきれない様々なクラウドコンピューティングサービスを共同で実現し、サービスの付加価値を高めることを目的とします」とある。

 これをそのまま解釈するならば、パートナー各社の製品を柔軟に組み合わせることで、顧客にとって最適なサービスを提供できる、となります。つまり、ソフトバンクはクラウドをプラットフォームとして提供し、顧客ごとに利用サービスの管理を行う事で、支払いやテクニカルサポートの窓口を一本化すると言う事をやろうとしていると思われます。

 このクラウドサービスによって、顧客側は他社の提供するクラウドよりも、より柔軟で多彩なサービスを構築出来き、かつ支払い等を一本化出来ること。そしてコミュニティに参加する企業側は、一社単独では出来ないような、よりニッチなサービスの提供や、広範なPR戦略、顧客管理や料金回収の委託と言ったメリットを享受できることになります。

 懸念としては、ソフトバンクが”元締め”として存在することで、各社が提供するサービスの利用料のダンピングが進む可能性が考えられること。また、複数のコミュニティ企業にまたがるサービスを構築した場合の、障害の切り分けやサポートの混乱といった問題も考えれます。

 これまでも、シェアを獲得するために、過剰とも言える価格競争を仕掛けてきたソフトバンクですが、今回のクラウド戦略に関しては、正直な所そのような方向性では進んで欲しくないです。急速な価格の低廉化は、サービスや市場の地力の低下を招き、中長期的な成長を阻害するでしょう。インターネットや携帯電話と言った、参入した時にはすでに大きくなっていた市場と違い、クラウドは控えめに言っても黎明期です。最初のうちは急くことなく、じっくりとコミュニティを育てていく方に注力してもらいたいです。


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