京都大原紫葉工房便り

京都洛北・大原の里のしば漬屋から、毎日!情報発信。

新顔商品の話。

2008-02-22 21:17:49 | お漬物の話
1月の立川催事の準備の際。
伊勢丹のバイヤーさんから、何か催事特別企画商品を、と頼まれまして・・・
困った挙句、若!が作ったのが、これ。



「紫蘇かぶら」
中くらいのかぶらを下漬けした後、紫蘇味の調味液に漬けたものです。

御覧の皆様は、これを見て、どうお感じになりますか?

若!にはゴメンやけど、妻!、ちょっと苦手です。
気持ち悪くないですか?
かぶらに紫蘇って。
なんか、この色も嫌です。

若!、企画に詰まって、挙句にこんなトンデモナイ代物を作ってしまったのか。
あ~あ~、催事でこんなおかしな商品出すようになっちゃオシマイね。
じいちゃんが築き上げてきた伝統を、息子がこうやって壊していくのか・・・

と、憂い目で見ておりました。

マジで。
こんなもん、売るようになっちゃ、そろそろデパート催事からも撤退せねばならぬかな、と考えておりました。
妻!は、密かにね。
(こうなると、激しい夫婦喧嘩の勃発も覚悟しなければならない・・・)

12月の浦和催事の前に、「紫蘇かぶら」の試作品が出来上がって。
催事の前に、若!が「出来たよ~」と言って、二階の家庭用冷蔵庫に入れていってから・・・
若!が催事に行き。
そして、帰ってきてからも。
封を開けずに、放ったらかしになっていた「紫蘇かぶら」
気持ち悪いから、食べる気がしなかったんです。

おいおい、どうすんの?
マジで催事で売る気?
これはヤバイよ、絶対に。
(ここで言うヤバイとは、若者が使う「すごい」という意味でなく、本来の「ヤバイ」という使い方です。)

二階に持って上げられてきて、冷蔵庫に入れられて。
無理やり「食べろ」と言われてもねえ。
迷惑な話。
食べたくない。

放っておいたら、発酵してきて袋が膨れてきてしまいました・・・
「捨てたい」
と、思いましたが。
もったいないし、若!に食べた感想を聞かれても困るから・・・
開けて食べてみることにしました。

食べたら、絶対におかしな味がするはずだ・・・
ほしたら、本気で1月催事で売るのを反対しよう。
バイヤーさんの注文は絶対命令か?
断ると、催事で使ってもらえなくなるのか?
どうか分からんけど、伊勢丹さんも、催事で苦情が来る様な商品は売りたくないはずだ・・・
そう思い、食べることにしました。

封を開けたら。
発酵していたから、案の定、臭気が漂いましたが。
(発酵して、濁ってしまった汁を捨てて、少し水道で洗い流し・・・)
細かく刻んで見ると・・・
あら
なかなか、いけるじゃない。
食欲を下げるネーミングと、嫌な第一印象・・・とは裏腹に。
なかなか爽やかな味と、食欲をそそる漬物の香り。

(ここで、いきなりケチョンケチョンの批評から、宣伝?、褒めの姿勢に変わります

なかなか美味しかったです。
「紫蘇かぶら」
ネーミングは気持ち悪いけど、なかなか良いじゃない!
ちょっと液の色はグロテスクなのですが。
紫蘇は、うちの紫蘇の塩漬けの味。
紫蘇香料は使ってないので(だったと思う・要確認)、ああいう香料のような、しつこい香りはしません。
(嫌いなんですよ、あの味が)
好印象でした、食べてみると。

そいで。
無事、1月の立川催事にも送られることになったのですが。

催事の準備で余ったやつを、三千院門前のお店で売ってもらったら。
これが、思わぬ好評で
どんどん注文が来るようになりました。
あれまあ。

催事企画の一発屋で終わるはずだった「紫蘇かぶら」ですが。
どうやら、辻しばの定番商品への道のりを歩み始めたようです。



というわけで。
どんどん袋詰め、出荷してます

そのうち、ネット注文も出来るようになるかな。
まあ、いきなり、このビジュアルから御覧になる方は買い辛いかもしれませんが。
怖いものみたさでお求めになるのも、また一興かもしれません。

夏まで企画が保たれれば、「新紫蘇・かぶら」というのも、良いかもね。
摘みたて紫蘇でかぶらを漬けるというものです。

あ?
でも、かぶらの旬は冬か・・・
かぶらの古漬けで、「新紫蘇かぶら」?

・・・・・

一歩ゆずって。

冬の、塩蔵紫蘇の旬かぶらと。
夏の、フレッシュ紫蘇の塩蔵かぶら・・・
どっちが良いでしょうか?

まあ、旬もクソもない(汚くてゴメンなさいね)
わざわざビニールハウスものでするより、良いかもしれませんね。
時代の流れとしては。

どっちにしても。
若!くんには、頑張ってもらいたいものです。