たんなるエスノグラファーの日記
エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために
 



シレー洞窟(Gua Sireh)は、サラワクの州都クチンから車で1時間ほど行ったところにあるバウ・ディストリクトにある。ビダユ人の農村の背後にある岩山の地上20~30メートルのあたりに、その洞窟はあった。約20,000年前にヒトが住んでいたという(サラワクのニア洞窟には、約40,000年前にヒトが住んでいたという報告がある)。サラワク博物館が整備した階段を登ってシレー洞窟に入ると、最初に、ひときわ印象的な木炭壁画に出くわした(写真)。ローカル・ガイドは、それは<蜘蛛>だと述べた。洞窟の入り口に、大きな<蜘蛛>を描くことで、洞窟の住人たちは、これから洞窟に入る人たちに注意を喚起したのではないかと言った。さきほど、Sarawak Meseum Journal を見てたら、その<蜘蛛>のような壁画は、「外套か獣の皮を身に着けた、大きな人物である」との表記があった。その洞窟には、25番目まで番号がふられた、おびただしい数の木炭壁画群があった。Sarawak Meseum Journal には、それらは、100年以上前に描かれたものであるとしてあった。ガイドは、曾祖父の時代に、かつて、この洞窟に逃げ隠れていた人たちがいて、その人たちが描いたのではないかと語った。19世紀の後半に、イギリスのブルックの統治下で、首狩りが横行した時代のことを言っているのかもしれない。



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