七里ガ浜海岸周辺は強豪が犇めくイタリア料理店激戦区。我が家から歩いて徒歩15分以内にも、有名店が3つある。そのうちのひとつは自宅から徒歩5分だ。戸建住宅がほとんどで人口も少ないことを考慮すれば、かなりのお店数密度である。もう少しエリアを広げれば数はグッと増える。しかし実は我が家ではタベルナ・ロンディーノを除き、近所のイタリア料理店には行ったことがないのである!なぜなら我が家には近隣強豪と互角に渡り合える私という名シェフがいるから・・・ウソ。 スパゲティは得意だ。様々なスパゲティを作ることが出来る。すでにお気づきかもしれないが、実はスパゲティに限らず、このブログに掲載した料理はそれだけでほぼ完結するワン・プレート料理である。私はそれしかできないの・・・。
そんな私の得意料理のひとつがスパゲティ・ボロネーゼ。イタリア北部の街ボローニャ(Bologna。「ボログナ」と読んではいけない)風の牛挽肉でこってりと仕上げるスパゲティだ。今日のランチはこれに決まり。 私はまずオレンジページ社の「基本のイタリアン 副題:とりあえずこの料理さえ作れれば②」を開く。なんという副題だ。しかも強豪レストランと戦うのに「基本の・・・」を開かねばならないところが少し心許ないが、気にしない気にしない。
すでにこの本を買ってから9年経った。これまでキッチンの調理台の上に何度も広げられ、上から水や調味料が落ちて、もはやこの本は中も表紙も波打っている。その「基本の・・・」の本で最初に掲げられた基本中の基本レシピが、8ページにあるこのボロネーゼである。必要な材用は麺以外には、牛挽肉、玉ネギ、ニンニク、ホールトマト、デミグラスソース、パセリ、オリーブオイル、コショウ、塩。そのようにこの本には書いてある。しかし私は強豪店と戦うために、醤油とバターを少量混ぜた。これで勝てる。
下の画像は下準備を終わったところだ。いつもこの段階に達した頃、ダイニングで遊んでいる妻が「まだ出来ないの?お腹が減ったわぁ~」と呑気に叫ぶが、このブログの前々回の投稿でそのことを私が書いたら、それを恥じたのか今日は静かに待っていた。常日頃そうありたいものである。下準備済みの具材や調味料が整然と並ぶ様は美しい。妻が静かなので、私はゆっくりと撮影に勤しむことが出来た。ホールトマトとデミグラスソースは缶詰を使う。ここまで作っていたら大変だし、でたらめに高くつく。
さあ調理開始である。牛挽肉を炒めるところからだ。その後ニンニクを炒める。さらに玉ネギを炒める。この順番でないとアカンのか?よくわからないが、「基本の・・・」にはそう書いてある。実に明快に書いてある本で、信頼している。しかし!私はこの段階で私自身の誤りに気が付いた。西友七里ガ浜店で牛挽肉だと思って買ったものが牛豚合挽だったのだ。ボロネーゼはやはり牛挽肉が本来のスタイル。 白状すると、同店の肉売り場で私はたびたび同じ誤りを犯している。M店長さん、合挽と牛挽肉の取り間違い防止措置をとって下さい。って、私が不注意なだけだろうか。
気を取り直して調理続行。すでにボロネーゼを何度も作っている私にとっては、牛100%だろうが合挽だろうがたいした問題ではない。炒めて炒めて、とにかく炒めて玉ネギがしんなりして透明度を増し、甘ぁ~く見えて来たところでデミグラスソースとホールトマトを投入だ。デミグラスソースはご存じハインツ社製。ホールトマトはカゴメ社製。ここで2社さんにリクエストがある。半分のサイズの缶を作って欲しい! さてホールトマトを入れたらほぼ完成だ。あとはコショウを入れたりして味を整えながら煮詰めるだけである。
出来ちゃった!パセリを載せて食べるだけだ。食べてみた。なぁ~んと美味い。あっさりしたものを食べる傾向にある私だが、このボロネーゼのソースはこってりしっかりと作りたいと思う。ベースとしてのトマトの中で玉ネギや挽肉の具が香ばしく甘くなる。そこにデミグラスソースでこってりとした味わいが完成する印象だ。このソースは美味しく感じる許容幅が広い。あんなのでも美味しいし、こんなのでも美味しい。調整がいか様にも効くのである。 美味しいなぁぁぁぁ。。。 牛肉100%でなく合挽を使うという、自分の不注意に起因するハンディを背負いながらも、私はご近所の強豪店を超えたようだ。ムフフフフ。
ランチを食べていると、外は雨になった。ここのところ連日晴れで、雨が降るのは何日ぶりのことだろうか。庭のカエデも生き生きとしている。