ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

私の関西百山(84) 牛松山

2014-10-06 06:00:00 | 私の関西百山

84 牛松山(636.5m ) <京都北部>

(うしまつやま)京都府亀岡市保津町にあり、丹波富士とも呼ばれる美しい姿の山である。古くは石松ヶ岳と呼ばれたが、雨乞いのために牛を生贄にしたことから牛祭り山となり、転訛して牛松山になったという。



2009年は丑歳だった。1月27日、恒例の干支の山へ登る。亀岡市内を抜けて桂川にかかる保津橋を渡ると、正面にどっしりした牛松山が全容を現した。北保津で民家の並ぶ細い道を通り、竹林の中を抜けると福性寺駐車場の鳥居横に露地の広場があった。



注連縄の掛けられた鳥居を潜ると、山頂の金毘羅神社まで十八丁の参道が始まる。幅広い丁石道をゆっくり登って行く。



二丁には文化年間の文字が見える美しいご神塔、三丁近くには明治時代建立の鳥居があった。ここを過ぎると勾配が弱まり、松の木が並ぶ快適な尾根歩きになる。



歩き始めて20分ほどで右手の展望が開け、薄い霧に包まれた亀岡盆地の上に北摂の山々が頭を出していた。少し急な勾配と緩い登りが繰り返され、全く疲れを感じずに高度を上げる。



十一丁の石のご神塔には、たくさんの杖がもたれ掛けてあった。十三丁から急坂になる。毎日登山の人らしい男性が今日初めて出会った人だった。展望の良い場所に出て、しばらく急坂を頑張ると次の町石があった。まだ十五丁くらいかと思っていると何と十七丁まで来ている。



なんだか拍子抜けするくらいのあっけなさで、なだらかな広い道になった。鳥居を潜り、56段あるという石段を登る。小広場の右手に絵馬堂、その奥に金毘羅神社が建っている。



絵馬堂には保津川下りの安全を願って奉納された舟二艘が天井に吊るされ、建物の蔭に消え残った雪が僅かに残っていた。最高点を探して踏み跡を登るとパラボラアンテナのある建物横に山名板があった。



東側には、愛宕谷川を挟んで愛宕山から南に延びる稜線が、屏風のように連なっている。ちょうど真下辺りがユズの里で名高い水尾になるのだろう。青空から暖かい日差しが降り注ぎ、風もなく全く寒さを感じない山頂で昼食を済ませる。



分岐に下り、国分に向けて3分ほど歩くと左手に三角点があった。林の中で展望はない。すぐにテレビ中継所があり、ここからは急な下り道になる。保津ヶ岡への地図上の分岐を見送り、愛宕神社を見学して帰ることにする。ジグザグの急坂続きで、送電線の通る分岐を赤テープのある踏み跡に入る(正規の道は左)。何箇所か倒木を越えて壊れた古い祠や苔蒸した石鳥居を見ながら下ると神社南側の舗装路に出た。



愛宕神社は「全国1000社の愛宕神社の本宮」で、拝殿前に大きなイヌマキ、社務所前に大きなスギの木が聳え、いずれも「亀岡の名木」と書いた札が下がっていた。神前に詣で、しばらく境内を見学して神社を後に府道を帰った。
【コースタイム】登山口(福性寺南の鳥居)10:00…金毘羅神社11:20~11:30…牛松山(636m)11:35~12:00…三角点(629.2m)12:07~12:12…愛宕神社12:55~13:05…北保津バス停13:35…登山口13:45

13年前の10月4日

2014-10-04 06:00:00 | 過去の今日

錦繍の霞沢岳

2001年10月4日、前夜、島々から岩魚留を経て徳本峠の小屋に泊まった私たちは、快晴に恵まれたこの日、霞沢岳に登りました。ご存じのように常念山脈最南端にある2,646mの山ですが、1984年までは一般登山道がなく霞沢か八右衛門沢を登るのが唯一のルートでした。深田久弥が日本百名山に入れるか否か悩んだという不遇の山です。

この日も小屋から霞沢岳に登ったのは、埼玉の青年と私たちの3人だけでした。昼までに頂上に着かなければ引き返すつもりで6時20分出発。

小屋の前からは30年前に二人で登った笠ヶ岳が正面に、

その横に穂高連峰が真近に見えました。

『今日始めてのピークは2428m 、地図を見ると東西と南北に走る二つの尾根が十字状に交差している。ジャンクションという名の由来だろう。展望は東側だけが開け、左から蓼科山、八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス…そして御嶽と乗鞍岳が並んでいる。甲斐駒の左に正真正銘の富士の姿。登り切るとようやく霞沢岳からK1に続く稜線が望めた。まだ嫌になるほど遠い。』

展望を楽しむ間も惜しんで出発。湿地帯を抜けて樹林帯を登ると、次の下りでは梓川の流れとその右手上に常念から蝶、大滝と続く稜線が見えました。手前の尾根は真っ赤なハゼノキの葉が彩っています。

『六百山からK1に延びる稜線が近づき、最後の急登になった。文字通り胸をつくような、シャクナゲやハイマツの根を掴んでの喘登である。』

K1ピークに立ちました。

『真っ青な空の下、展望は申し分なく、行く手に目指す霞沢岳、その手前にK2、右に噴煙を上げる焼岳が低く見える。真下は上高地で梓川の流れを挟んで帝国ホテルと温泉ホテルの赤い屋根が妍を競っている。穂高は朝からとは姿を変え、奥穂が真正面に来る。左の西穂への稜線、ジャンダルム、畳岩が懐かしい。前穂への吊尾根も去年、二人で歩いたばかりだ。あの時泊まった岳沢の小屋も見える。』先に出発した同宿の青年に写真を撮って貰いました。

K2のピークを越えて本峰へ向かうと、『見た目ほどは長くかからずに登り着き、素晴らしい山に登れた喜びに、思わず二人で固い握手を交わす。ハイマツに囲まれた狭い頂上には、三角点と新旧二つの山名板があった。』

頂上滞在、わずか10分で下りました。K2では二羽のライチョウに出会い、K1で昼食をとりました。徳本峠に帰り16時に下山開始。

日本山岳会上高地山岳研究所に着いたのは18時過ぎになりました。長丁場でしたが、しかし達成感は格別で、美しい錦繍をまとった山、正面の穂高を始めとする素晴らしい展望…今も目に浮かびます。


今朝の大和民俗公園(14.10.02)

2014-10-02 09:45:40 | 矢田だより

10月に入り、朝夕はめっきり涼しくなりました。爽やかな朝の空気を吸って公園を巡ります。

色付いた桜の葉がハラハラと舞い落ちます。

コスモスが朝日を待っています。

柿の実も葉も美しく色付きました。

ハゼは真紅に染まり、秋が深まるのを感じさせます。家から往復30分、公園内で1時間近く過ごして1万歩ほどの朝の日課を終えました。


私の関西百山(83)皆子山

2014-10-01 07:59:37 | 私の関西百山

83 皆子山(971.5m ) <京都北部>

(みなこやま)京都府の最高峰である。渓谷と自然林の美しさを楽しむことができる京都北山でも人気の高い山である。旧山名は霞ゲ嶽と呼ばれていたが、現在の名は旧制三高山岳部による命名である。山頂へは足尾谷~ツボクリ谷、寺谷、皆子谷からの3つのコースがある。



1998年11月3日、二人で大津市平から百井川沿いの林道を走り、ゲート横に車を置かせて貰う。いかにも北山という雰囲気の杉の美林の中、川添いの林道を抜け寺谷出合に来る。橋は流失していたが徒渉は出来そうだ。この谷を登り、皆子谷を下るつもりだったが、もし下りた後で百井川を渡れないと困るので、さらに奥へ進む。



林道終点から川へ下ると対岸に登山道が見えたが、ここにも橋はないのでズボンをたくし上げ、靴は首にぶら下げて川に入る。結構、流れが速く水嵩は膝上まであったが、それ程冷たくないのが幸いだ。



杉林の中を少し登りまた下って皆子谷に下り、飛び石伝いに何度も渡り返したり、傍らの道を辿ったりして高度を上げていく。



所どころに大小の美しい滝を架ける明るい谷で、最初の10分ほどの間は鮎釣りの人を見かけたが、後は誰にも出会わない。流れは次第に細くなり、傾斜が強まる。木の根を掴んでよじ登って小台地状の所に出た。とてつもなく大きいブナの木が、青空一杯に黄金色を散りばめて立っている。辺りは緑の笹原。思わず「静かな、静かなヤマの秋…」と和子が歌い出した。



流れを離れ、背丈を超すササの中を急勾配の直登。僅かの頑張りで寺谷からの道との合流点である稜線に出る。



蓬莱山から権現山へ続く比良南部の山並み、その左に琵琶湖と大津市街が見える。琵琶湖大橋が霞んでいた。山頂へはササの中を5分ほどで到着。



小広い台地に先客が2人、私たちと逆に、寺谷から登ってきて皆子谷へ降りるという。ここからは武奈ヶ岳のゆったりした姿が美しい。



寺谷を下る。こちらは皆子谷に比べると道も良く、傾斜も緩いので歩きやすい。深まりゆく北山の秋を惜しみながら、元来た道をのんびり歩いて帰る。しばらくぶりに快晴と展望に恵まれ、山らしい山に登れた喜びで一杯の二人だった。
【コースタイム】平8:30…寺谷出合9:00…徒渉地点9:35~9:45…<皆子谷>…尾根に出る11:30~11:35…皆子山11:40~12:25…<寺谷>…山道谷道分岐13:15…寺谷出合13:45…平14:15
 
2001年9月22日、日本山岳会関西支部例会14人パーティ。バスで鯖街道へ入り、足尾谷橋下車。15分ほどで林道が尽きると足尾谷に沿った道になる。道が次第に狭まり、木橋を渡ったり飛び石伝いに行きツボクリ谷に入る。



美しい滝やハシゴ場などが続くが、京都バスの「北山トレック」200人の大パーティに追いついてしまう。なんとかトラロープのある急坂の手前で、中間点と先頭のガイドがトランシーバーで連絡を取り合って、先に行くことができた。



目印になる大きなトチノキからの標高差300mの急な登りは少し厳しかった。まず別の支流沿いに行く。やがて水が少なくなった支流が溝になった中を登る。虎ロープの急勾配の登りから最後は笹原の急坂を登り切ると皆子山山頂だった。



今日も雲一つなく比良の山並みの眺めが美しい。正面が武奈ヶ岳、その左に蛇谷ヶ峰が見える。慌ただしく記念写真を撮る間に、山頂はぞくぞく登ってくるトレックの人で埋まってくる。予定を変更して二年前の皆子谷を下りることになった。快晴に恵まれた楽しい山行で、諸先輩から色々教わることが多かった。しかも涼しくて、ほとんど汗もかかなかった。あの大パーティに追われずにゆっくり谷歩きが楽しめたら、もっともっと良かったのに…。
【コースタイム】足尾谷橋9:10…ツボクリ谷分岐10:45…<ツボクリ谷>…皆子山山頂11:35~11:45…昼食(皆子谷)12:15~12:45…林道終点13:45…平14:50