ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

「巳」の山の想い出 - 丹波・蛇山(おろちやま)

2013-01-24 07:32:32 | 今日の大和民俗公園

【蛇  山】おろちやま。兵庫県氷上郡山南町西部にあり標高358m。国土地理院地形図には山名の記載はない。山頂に岩尾城跡があり、地元では城山と呼ばれている。
【登 山日】200117日(日) 曇のち雪
【メンバー】ML低山徘徊派、山南町自然愛好会、千が峰愛好会、山南町商工会など計25
【コースタイム】 和田小学校10:05…和田下町登山口10:23…城山頂上11:4312:45…和田小学校13:12

この年の初登りは「丹波のたぬき」さんの肝いりで行われる、干支の山での低山徘徊派オフ。集合場所の山南であい公園は至山、石金山の登山口にあり、今日登る蛇山は加古川越しに西北に、背後の岩屋山や篠ヶ峰、千が峰に比べると丘のように見える。

MLメンバー以外にも「たぬき」さんの無線仲間、山南町商工会、山南町自然愛好会の方などを含め総勢24人の大パーティになる。見送りに来て下さった山南町観光協会会長さんからバンダナや地図などを頂き、下山場所の和田小学校に移動する。車を置かせて貰って左手に山を見ながら、町並を東へ歩いていく。中腹に注連縄を巡らした大きな岩があり、その下で祭拝が行われているのが仰がれる。

 稲荷神社の赤い鳥居が登山口である。すぐに神社と小さい土俵の横を過ぎて、山道になる。先導はボランティアで町の自然を守っておられる藤原さん。四国88箇所を模した石の地蔵をいくつか見ながら、共同アンテナが二本立つ最初の小ピークに着く。ここからアカマツが多い尾根道になる。少ないがマツタケが生えるそうで「雑菌が混じらぬように松葉をかくともっと採れるようになる」と聞く。南側の展望がよい258mピークで小休止。集合場所だった公園の上の至山(イタリ山)から右へ石金山に続く稜線、左やや遠くに妙見山が見える。地面にイノシシが掘り返した跡が、少し先にはイノシシが身体を擦りつけて木肌のめくれた木もあった。

尾根道の木に所々、赤ビニールが捲かれているが、藤原さんは「赤布は良いがビニールはいつまでも残るからね」と、歩きながら根気よく外していく。少し勾配が強まり小さな岩場を登る。ピークを越えて緩く下る。ここまで北北西に向かってきた道はほぼ西に行くようになる。辺りはクヌギ、ナラなどの雑木林で、足元はコウラジロ、ついでウラジロの大群落。「けっこう上り下りがあるなあ」と声が挙がる頃、南南西に蛇山山頂が見えるピークに立つ。「城山まで440m」の標識があった。山頂近くの石積みに何人かの人影が見える。

 緩く登り返して15分ほどで頂上についた。「蛇山356m」の標識を付けた木の枝越しに、うっすらと雪を被った千ヶ峰が望見される。藤原さんたちが持って上がられたという青いベンチが一つ置いてある。南側の少し低い所が天守跡で先ほど見えた人たちが食事をされていた。こちらから見ると、石垣が何段にも残っていて山城址の感じが濃い。さらに一段下の町を見下ろす広場で荷物を下ろす。ここにも青いベンチが幾つかと、説明板などが設けられている。たぬきさんから地酒「小鼓」を頂き、全員で乾杯。ご指名で僭越ながら音頭をとらせて頂く。全員の自己紹介のあと、思い思いに陣取って昼食になる。食事が終わる頃から、午後は崩れるという予報通りチラチラと雪が舞ってきた。

頂上からはほぼ南に向かって、滑りやすい急坂を下る。岩の露出した所では、低い位置にロープが張ってある。途中に深い空堀跡や下知殿曲輪、南曲輪などの小広場がある。雪は次第に激しくなり、みるみる両側の雑木林やザック上を白く染めていく。親縁寺への分岐からは緩やかなジグザグの道になり、やがて笹原の中を通ってイノシシの像やニワトリ小屋のある小学校の裏に出た。

この後、関東へ転勤するML仲間の歓送イベント。今日行われる「蛇ない」行事や薬草湯にも未練が残ったが、道路状況が心配で、お別れの挨拶もそこそこに車に乗った。帰途、予想以上の急な積雪で国道は長い渋滞、ようやく中国道に入ったら神戸JCTでは6時間も足止めを喰い、帰宅は23時前になった。しかし、丹波の自然と人の優しさは、いつまでも心に残ることだろう。素晴らしい初山行の一日だった。