「政府は20日、『慰安婦』問題への旧日本軍の関与を認めて謝罪した『河野洋平官房長官談話』(1993年)の検証結果に関する報告書を衆院予算委員会に提出しました。 提出を受け菅義偉官房長官は同日の記者会見で、『警鐘するという政府の立場は変わらないとのべ、談話の見直しは行わないことを表明しました」(「しんぶん赤旗」21日付)
「20日の予算委員会理事会では、加藤勝信官房副長官が出席。 日本共産党の宮本岳志議員は、『これによって河野談話が認定している強制性に関する現状認識に何ら変わりはないか』と質問。 加藤官房副長官は『その通りです。 河野談話の認識をいささかも変更するつもりはない』と答えました」(同紙)
同日、日本共産党国会議員団総会のあいさつで、志位和夫委員長は、この問題について次のように指摘しました。
「この国会では、歴史を改ざんする勢力とのたたかいも重要な課題となりました。 日本軍『慰安婦』問題で、軍の強制と関与を認めた『河野談話』を葬ろうという動きが、、『維新の会』など一部野党から提起され、安倍政権がそれに迎合するもとで、わが党は、それを全面的に論破する見解を発表しました」
「見解の発表は、内外メディアにも注目され、この問題での潮目を変える力となりました。 『河野談話』見直し派からのわが党の見解に対する反論は、今日に至るまでも一切なされていません」
「政府は、『検証』なるものを行いましたが、見直し派が求めていた元『慰安婦』からの聞き取り調査の『検証』はできず、『日韓両政府の事前のすり合わせ』なるものについても、”最終的な談話は日本政府が主体的に決定した”との見方を打ち出しました。 これを受けて政府は、『河野談話』の見直しはせず、継承するという立場をあらためて示しました」
「これらは、『河野談話』見直しを画策した『靖国』派への痛打となるものであります。 日本共産党は、日本政府による被害者への謝罪・賠償、事実にたった歴史教育の実施など、この問題の解決にむけて、引き続き力をつくすものであります」
今朝の各紙は、「社説」でこの問題を取り上げていますが、「読売」の社説は、「河野氏は談話発表時の記者会見で、強制連行の有無についての質問に、『そういう事実があった』と答えた。 誤った認識をさらに広げた河野氏の罪は重い」「河野談話が起点となり、日本が慰安婦を強制連行したかのようなような誤解が世界中に広がっている」「河野談話があるために、政府は有効な反論が行えずにいる」
などと、激しく「河野談話」を非難し、他紙との異様な違いを感じさせるものとなっています。
あらためて、多くの方々に、「歴史の偽造は許されないー「河野談話」と日本軍「慰安婦」問題の真実」-「日本共産党志位和夫委員長見解」をお読みいただきたいと思います。
来春のいっせい地方選挙勝利をめざし、神奈川県下各地で、志位和夫委員長、山下芳生書記局長、市田忠義副委員長、小池晃副委員長、田村智子参議院議員を迎えて演説会が開催されます。 今日(20日)は、志位委員長が川崎市中原区で、横浜市南区では田村智子参院議員を迎えて演説会が開催されます。
大和市の演説会は、7月19日(土)午後1時から3時、市内の渋谷学習センター ホールで田村智子参院議員を迎えて開かれます。 多くの市民のみなさんのご参加をお願いします。
この間、志位委員長が弁士をした演説会が、大阪、東京、千葉、京都、札幌で開かれました。 志位委員長の演説に、参加者から、「元気と勇気が出た」「やっと投票できる党に会えた」などの感想が寄せられているといいます。 志位委員長の演説を元にしたDVDも大変、評判となっています。 視聴した党員や後援会員からも「わかり易い」「活動に確信が湧いた」などの感想が出されています。 日本共産党のホームぺージからも視聴できます。
志位さんは、「安倍内閣の暴走の一歩一方が、国民との矛盾を、世界との矛盾を広げ、自ら墓穴を掘りつつあります」「この政権は威勢がいいように見えますが、実はもろく、必ずどこかでぽっきりいきます。 国民の力でぽっきりいかせようではありませんか」と訴えています。
志位さんは、「いまの国会は憲法9条改定の条件づくりとなる改憲手続き法改正に日本共産党以外の政党が賛成するなど、戦前の『大政翼賛会』をほうふつとさせる『翼賛』国会となっているが、『決して戦前には戻ることはありません。 なぜから(国会には)日本共産党という存在があるからです」語りました。
そして、志位さんは、日本共産党の3つの力の存在を強調しています。
その一つは、「綱領の力」です。 日本の政治を変える科学的展望を示している綱領は、その力を今、大きく発揮しています。 日本と世界の大きな変革の流れを深くとらえ、安倍政権の暴走とその矛盾をあばき、どんな問題でも「対案」を示し、歴史をつくる主人公である国民と共同し、前進する力は無限です。
二つは、92年にわたる日本共産党の歴史の力です。 天皇制の暗黒政治に、アメリカの支配にも、旧ソ連や中国毛沢東派の干渉にも、節を曲げず、日本と国民の平和と幸福な未来をめざして活動した不屈の歴史です
三つは、全国2万の支部、30万人を超える党員の国民と広くつながった活動、自前の組織を持ち、自前の財政で活動する、草の根の力です。
今日から始まった県下各地で開催される党幹部を迎えての演説会に、是非、多くの県民、市民のみなさんに参加していただきたいと思います。 また、感想や意見をどんどんお寄せ下さい。 共に、力を合わせて憲法が生き、輝く日本を、自治体をつくりましょう。
「社会保障を大変質させる医療・介護総合法が18日の参院本会議で自民・公明両党の賛成で可決を強行、成立しました。 日本共産党、民主、みんな、維新、結い、社民、生活の各党が反対しました」(「しんぶん赤旗」19日付)
日本共産党は小池晃議員が反対討論を行いました。 「要旨」を同紙から紹介します。
「第一は、介護保険利用料2割負担の根拠が完全に崩壊したにもかかわらず、これを撤回しないことです。 政府は、年金収入280万円の世帯では、平均的な消費支出をしても年間60万円が余るので2割負担は可能だということを唯一の論拠にしていました。 参院の質疑でその説明は崩壊し、60万円余るという説明は撤回され、大臣は『反省している』と述べました。 このような法案をこのまま採決するなど国会の自殺行為というべきであり、撤回すべきです」
「第二に、要支援者への訪問・通所介護を保健給付から外し、市町村のに地域支援事業に置きかえることが、受給権のはく奪にほかならないからです。 地域支援事業に移行した場合の専門的サービスは『多くとも現状維持』、2025年度に5割程度になるという試算が示されました。 新たな要支援と認定された人には、ボランティアなどのサービスしか提供されなくなる恐れがあります。 要支援への給付費伸び率5・6%が3・7%に抑制され、2035年度での給付抑制は2600億円にのぼります。 サービス単価や人件費の切り下げ、利用者の負担増につながり、介護サービスを質量ともに低下させることは明白です」
「第三に、特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上に限定することに、何の道理もないからです。 52万人の特養待機者のうち17万8千人は、「要介護1、2」です。 こうした方々は今でも入所待ちの行列に並んでも後回しにされていますが、今度は行列に並ぶことすら許されなくなります。 多数の方々の入所の権利を奪いながら、それに代わる施設計画は示されていません。 『介護難民化』『老人漂流社会』はいっそう深刻にならざるをえません。 どの問題をとっても制度の根幹を揺るがす歴史的大改悪であると断じざるをえません」
「第四に、上からの強権的な医療計画の押し付けで、国民の医療を受ける権利が侵害されるからです。 都道府県主導で病床の再編・削減を推進する仕組みがつくられ、病院が従わない場合、医療機関名の公表、各種補助金や融資対象からの除外など制裁措置をとります。 国民皆保険制度を支えてきたのは、自由開業医制度とフリーアクセスの原則のもとでの、質の高い開業医と民間病院、公的病院の献身的な努力と自発的連携です。 強権的なベッド規制は、国民皆保険制度の根幹を揺るがすもので容認できません」
「『社会保障のため』と言って消費税増税したのに社会保障の拡充には回さず、社会保障の拡充を求めると『財源不足』を口実に拒否し、法人税減税に走りだし、その財源は社会保障の削減で賄う。 これほど身勝手で無責任な政治が許されるはずがありません」
「日本共産党は、自民党政治にかわる新しい政治、憲法25条の生存権保障を全面的に実現する改革の実現のために奮闘する決意を表明するものです」
昨夜、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた「閣議決定で『戦争する国』にするな! 大集会」に大和の仲間10数人と参加しました。 会場には入れない人も含め、5千人が参加し、国会コースと銀座コースに分かれてデモ行進し、請願、アピールしました。
集会では、多彩な団体、人たちがあいさつ、発言しました。 水地啓子日弁連副会長は、「全国52単位弁護士会が解釈による集団的自衛権行使容認に反対する会長声明や意見書をあげている」と報告しました。
元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄さんは、「国民をないがしろにして日本を戦争する国に変える大きなあやまちを許すわけにはいかない」と訴えました。
子どもをだっこした若いお母さんも、「子どもを戦争にいかせるわけにはいかない」と語りました。
日本共産党の国会議員団も参加しました。 志位委員長が、「集団的自衛権の行使は、『アメリカの戦争のために日本の若者の血を流すことこそ、その正体だ。 この憲法破壊の暴挙を必ず打ち破ろう」とよびかけました。
17日の与党協議で示された政府の閣議決定案が、今日の「しんぶん赤旗」に掲載されています。 しかし、閣議決定案は終了後回収されたため、その全貌は明らかではないが、「公にされた『概要』(たたき台)と題したペーパー1枚だけ」だったといいます。
同紙は、「与党協議の出席者によれば、閣議決定案には高村氏が13日に『私案』として示した『武力行使の3要件』の内容がほぼ、そのままの文言で盛り込まれています。 この3要件は、海外での武力行使を禁じた憲法9条に基づき、日本が実力行使できるのは『我が国への急迫不正の侵害』に限るとした『自衛権発動の3要件』に代わり、『他国に対する武力攻撃でも『武力行使を可能にするというもの。 閣議決定案では、『国際法上は集団的自衛権が根拠になる』と明記しています」と報じています。
閣議決定案は、「憲法第9条の下で許容される自衛の措置」として、
☆ 集団的自衛権の明記
☆ 「他国に対する武力行使」「国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」で武力行使可能に
と記載されているとのことです。
この考え方こそ、戦前の日本が、中国やアジア、太平洋地域を侵略した「生命線論」「自存自衛論」の復活ではないでしょうか。 侵略戦争の反省の上にできた憲法の下では、絶対に認められないことです。
特に許せないのは、こうした論理が、独裁者、ファシズム国家と深く結びついていることです。 戦前の日本、ヒトラードイツ、旧ソ連のスターリンとその後継者の体制等です。
こうした政治体制の下で、最も残酷に蹂躙されたのが、侵略された国や地域の人々の「生命、自由そして幸福追求の権利」であり、同時に、侵略した国の「国民の生命、自由、そして幸福追求の権利」でした。
だからこそ、日本の憲法では、前文、9条と一体のものとして、憲法第13条が規定されているのではないでしょうか。
安倍政権による「憲法破壊のクーデター」を阻止し、憲法をさらに高く掲げた日本こそ、国民の誇り、世界からの信頼の根本にあるものではないでしょうか。
「日本共産党は16日、社民党、無所属議員と共同し、昨年12月に圧倒的多数の国民の反対の中で成立が強行された秘密保護法の廃止法案を参院に提出しました。 法案の内容は、秘密保護法をただちに廃止するものです」(「しんぶん赤旗」17日付)
同紙は、いま、国会の最終盤で、秘密保護法の廃止法案を提出した理由・意義について、日本共産党の山下芳生書記局長が提出後の会見で次のように語ったことを伝えています。
「山下氏は、日本共産党が秘密保護法に反対した他の野党との共同を重視する立場で、今国会冒頭から各党に呼びかけを続け、努力してきた経過を説明。 その上で、『なぜ今日、提出するのか』と述べ、自民・公明f両党が国会を政府の秘密保全体制に組み込む”秘密国会法”ともいうべき”国会法改定案を提出し、13日に衆院通過を強行し、17日から参院でも審議入りがねらわれていると指摘。 このタイミングで提出する意義を強調しました」
「山下氏は、国民の中では、秘密法廃止を求める運動が成立後も広がり続けていることにふれ、”秘密国会法案”ではなく、今こそ国会で廃止法案を審議すべきだと強調。 『世論と連携して成立のため奮闘したい』と述べ、今後も引き続き各党・議員に賛同を求めていく考えを示しました」
「議案発議者は日本共産党の小池晃、社民党の福島みずほ、無所属の糸数慶子、山本太郎の各参院議員。 提出・会見には山下、又市の両氏とともに、小池、仁比、福島、山本の各参院議員が同席しました」
これから、中央林間駅での集団的自衛権行使・容認に反対する宣伝署名行動、その後の東京・日比谷野音での集会参加に出かけます。
「朝日」16日付は、「邦人救出 想定に穴」「自国の責任が原則 米軍頼れず」と解説記事を掲載しています。 以下、ポイントを紹介します。
「米軍の準機関紙『星条旗新聞』は2012年5月、朝鮮半島有事の際に米軍が韓国在住の米国民ら約20万人の避難計画を準備していると、報じた。 20万人を避難させる必要がある米軍に3万人の日本人を救う余裕はあるのか、元自衛隊幹部は指摘する」
「1997年~98年の日米交渉で米側が日本に伝えた、『米軍による救出・保護作戦での国籍による優先順位』(当時の政府関係者の証言)
1、米国籍を持つ人 2、米国の永住許可証の所有者 3、英国やカナダ国民ら 4、その他の外国人(日本人を含む)」
「日本の防衛を担当する防衛省・自衛隊からは、そもそも公海上での米軍支援という『点』を抜き出すような政府の想定に対し、疑問の声が上がる。 自衛隊は朝鮮半島で戦争が起きれば、①弾道ミサイルへの対応、②米軍への支援、 ③原発など重要施設の防護やテロ対処など本土防衛、④韓国からの日本人救出など輸送管理ーーについて対応部隊を一斉に動かすと想定。~防衛省関係者は『もし日本人を乗せた米艦が戦地から日本へ帰ってくるような事態が起きるなら、その時は日本も直接攻撃され、自衛隊が出動しているはずだ。 つまり集団的自衛権で米国を助けるどころか、日本が自国の防衛に対応を迫られている状況になっているだろう』と指摘する」
道下徳成・政策研究大学院大教授(安全保障論)のコメントが掲載されています。
「政府や与党も極端なシナリオばかり出し、現実に沿った議論ができていない。 日本が集団的自衛権を行使するなら、その本来の意義は、多国間での安全保障協力で、アジア全体での平時の抑止力強化につなげることにあるはずだ。 米軍への支援や有事のシナリオばかりが注目されがちだが、多国間で議論や情報交換を重ね、場合によっては軍事演習などにも参加することも考えるべきだ」
「東西冷戦が終わり、世界の多極化が進むなかで日本の安全保障を考えるには、平時やグレーゾーン事態(準有事)が有事に進展しないよう、リスクを管理し、抑え込んでいくことが重要だ」
道下教授の指摘は、日本共産党の「北東アジア平和協力構想」=「平和的安全保障」の考え方とも共通するところがあるように思います。
同紙は、海部俊樹元首相、与謝野馨元官房長官、加藤紘一元官房長官3氏の発言を掲載しています。 加藤氏の発言を紹介します。
「戦後日本の平和を守ったのは、田舎の保守系無所属の人たちだ。 惨めな戦場を経験し、戦後は黙々と地域に尽くし、この国を食えるようにした。 世代交代で今、戦争を知らない政治家が国民をあおっている。 僕の田舎の後援会事務長は16歳で少年兵になった。 朝飯を一緒に食べた同期の仲間が隣で頭を撃ち抜かれて死んだ。 いずれ自分も死ぬ。 その前に恋がしたい。 それで慰安所に行った。 むしろの仕切りの中に入ったら、朝鮮の女性がいたそうだ。 『申し訳なかった』。 戦後、心の中で女性に謝り続けていたんだ」
「僕は体験者から直接話を聞いた人間として発言し続ける。 政府が与党に示した集団的自衛権などの15事例なんて、官僚の小細工だ。 防衛庁長官や官房長官を経験したが、集団的自衛権を使えず、日本の安全が保てなかったという経験はない。 米軍に紛争地から日本人を連れて帰ってもらおう、という話もなかった」
「尖閣諸島はヤギのすむ岩山。 『安保がある』というけれど、尖閣を守るために、なぜ米国の若者が死ななきゃいけないのか。 オバマ大統領が命じますか。 外交は机上の空論じゃない。 自分たちの家族の命をかけることとして考えるべきなんだ。 中国の脅威というが、中国の観光客は増えている。 もっと民間交流を進めよう。 日中とも外務官僚が仕切り、妥協の発想がない。 日本を取り戻すというが、取り戻す日本とは何ですか」
「前衛」7月号に、「マルクス未来社会論の”発掘”」(上)ー不破哲三」が掲載されました。 この論文は、「全国学者・研究者党後援会全国交流集会(4・12)での記念講演」を「整理し、加筆」したものです。
今年1月の日本共産党第26回党大会の「決議」では、「日本共産党の未来社会論」が注目され、党内外に大きな確信を広げています。
今回の不破講演で、私が新たな認識を得た点は次のところです。
「未来社会の『自由の国』と『必然の国』の関係は、階級社会で見る、上部構造と経済的土台の関係に似ているところがあります。 その角度からみますすと、資本主義社会では、利潤第一主義が発展の原動力ですから、発展の推進力は経済的土台にあります。 しかし、未来社会では、それこそ、『自由の国』での人間の発達が、基礎である物質的生産の領域、『必然性の国』に作用して、生産力の新たな発展を引き起こすわけで、社会発展の原動力が、『自由の国』、いわば上部構造に移る、そういってもよいぐらい人類の歴史の大転換になるのです」
「まさに、その面から見ても、人類社会が階級社会から未来社会に足を踏み出すことは、人類社会の『前史』から『本史』への転換に値する、社会の根本的な大転換だと、位置づけることができると思います」(「前衛」7月号、29頁)
この人類の大転換を保障するのは何でしょうか。 不破さんは、マルクスの「資本論」の一節を紹介しています。
「この国[必然性の国、すなわち物質的生産のf領域]の彼岸において、それ自体が目的であるとされる人間の力の発達が、真の自由の国がーーといっても、それはただ、この基礎としての右の必然性の国の上にのみ開花するのであるがーー始まる。 労働日の短縮が根本条件である」(資本論⑬1435ぺージ)
不破さんは、次のように解説しています。
「マルクスのこの文章にあるように、物質的生産から離れた『自由の国』では、人間の発達それ自体が目的となり、そういう時間と機会が社会のすべてに人間に保障されます。 ここに、未来社会のなによりの特徴があります」
「それは、人類がもっている知的潜在力が限りなく発揮される社会となるでしょう。 そこで新しい発見があり、技術の発達があったら、それは必ず『必然の国』、物質的生産の領域に反作用します。 その結果、生産力が発展すれば、それがまた労働時間のさらなる短縮をもたらして、『自由の国』が拡大する。 マルクスがいまの文章で、『自由の国』は『必然の国』の上にのみ開花する、しかし、その根本条件は『必然の国』における『労働時間の短縮である』と書いたのは、この発展の相互関係を、簡潔だが力強い言葉で表現したものでした」(同誌28~29頁)
不破さんは、日本における未来社会・社会主義社会の展望について、次のように指摘しています。
「これは、決して遠い目標ではないのです。 日本のような発達した経済力をもった国が、社会主義をめざす道に足を踏み出した時には、早い段階から、社会のすべての構成員が生活時間の大きな部分を自由な活動にあてられるという社会を実現できるのです。いままでだったら、特別な条件が保障された方でなければ、知的な活動へはすすめません。 大学を卒業しても、仕事をみつけられず、その能力を生かせない人がたくさんいます。 本当に自分が願っている活動分野にすすめる人はきわめて限られています。 しかし、新しい社会では、そういう条件が社会のすべての構成員に保障される」
「こういう社会、人類がもっている知的能力が限りなく発揮される社会が、資本主義の時代を通じて客観的には準備されてきている、その点をつかむところに、未来社会論を研究する大事な点があると思います」
安倍政権の憲法破壊の「戦争する国づくり」は、「人間が持っている知的能力」を根本から破壊する道です。 この道に未来がないことは明らかかです