「前衛」7月号に、「マルクス未来社会論の”発掘”」(上)ー不破哲三」が掲載されました。 この論文は、「全国学者・研究者党後援会全国交流集会(4・12)での記念講演」を「整理し、加筆」したものです。
今年1月の日本共産党第26回党大会の「決議」では、「日本共産党の未来社会論」が注目され、党内外に大きな確信を広げています。
今回の不破講演で、私が新たな認識を得た点は次のところです。
「未来社会の『自由の国』と『必然の国』の関係は、階級社会で見る、上部構造と経済的土台の関係に似ているところがあります。 その角度からみますすと、資本主義社会では、利潤第一主義が発展の原動力ですから、発展の推進力は経済的土台にあります。 しかし、未来社会では、それこそ、『自由の国』での人間の発達が、基礎である物質的生産の領域、『必然性の国』に作用して、生産力の新たな発展を引き起こすわけで、社会発展の原動力が、『自由の国』、いわば上部構造に移る、そういってもよいぐらい人類の歴史の大転換になるのです」
「まさに、その面から見ても、人類社会が階級社会から未来社会に足を踏み出すことは、人類社会の『前史』から『本史』への転換に値する、社会の根本的な大転換だと、位置づけることができると思います」(「前衛」7月号、29頁)
この人類の大転換を保障するのは何でしょうか。 不破さんは、マルクスの「資本論」の一節を紹介しています。
「この国[必然性の国、すなわち物質的生産のf領域]の彼岸において、それ自体が目的であるとされる人間の力の発達が、真の自由の国がーーといっても、それはただ、この基礎としての右の必然性の国の上にのみ開花するのであるがーー始まる。 労働日の短縮が根本条件である」(資本論⑬1435ぺージ)
不破さんは、次のように解説しています。
「マルクスのこの文章にあるように、物質的生産から離れた『自由の国』では、人間の発達それ自体が目的となり、そういう時間と機会が社会のすべてに人間に保障されます。 ここに、未来社会のなによりの特徴があります」
「それは、人類がもっている知的潜在力が限りなく発揮される社会となるでしょう。 そこで新しい発見があり、技術の発達があったら、それは必ず『必然の国』、物質的生産の領域に反作用します。 その結果、生産力が発展すれば、それがまた労働時間のさらなる短縮をもたらして、『自由の国』が拡大する。 マルクスがいまの文章で、『自由の国』は『必然の国』の上にのみ開花する、しかし、その根本条件は『必然の国』における『労働時間の短縮である』と書いたのは、この発展の相互関係を、簡潔だが力強い言葉で表現したものでした」(同誌28~29頁)
不破さんは、日本における未来社会・社会主義社会の展望について、次のように指摘しています。
「これは、決して遠い目標ではないのです。 日本のような発達した経済力をもった国が、社会主義をめざす道に足を踏み出した時には、早い段階から、社会のすべての構成員が生活時間の大きな部分を自由な活動にあてられるという社会を実現できるのです。いままでだったら、特別な条件が保障された方でなければ、知的な活動へはすすめません。 大学を卒業しても、仕事をみつけられず、その能力を生かせない人がたくさんいます。 本当に自分が願っている活動分野にすすめる人はきわめて限られています。 しかし、新しい社会では、そういう条件が社会のすべての構成員に保障される」
「こういう社会、人類がもっている知的能力が限りなく発揮される社会が、資本主義の時代を通じて客観的には準備されてきている、その点をつかむところに、未来社会論を研究する大事な点があると思います」
安倍政権の憲法破壊の「戦争する国づくり」は、「人間が持っている知的能力」を根本から破壊する道です。 この道に未来がないことは明らかかです